【広報ふじ平成26年】知っていますか発達障害のこと
理解すれば優しくなれる 知っていますか 発達障害のこと
「発達障害」という言葉は聞いたことがあっても、どのような障害なのか具体的にはよくわからない人が多いと思います。そこで今回は、「発達障害」について紹介するとともに、子どもの発達に悩んでいる皆さんに、相談窓口などをご紹介します。
◆こんなことが、気になっていませんか?
・一人遊びが多い、他人とかかわろうとしない
・おとなし過ぎる、しばしば受動的
・落ち着きがない、集中力がない、いつもぼんやりとしている
・忘れ物が多い、支度や片づけができない
・話は上手で難しいことを知っているが、一方的に話すことが多い
・話を聞かなければならない場面で離席が多い、聞いていない
・難しい漢字を読むことができる一方で、簡単な平仮名が書けない
・図鑑や本を好んで読むが、作文を書くことは苦手
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( 写真説明 )イメージイラスト
「発達障害」という障害があることを知っていますか
発達障害は、脳の発達に関係する生まれつきの障害です。発達障害の人は、他人との関係づくりやコミュニケーションが苦手です。一方、すぐれた能力を発揮することもあり、周りから見ると理解されにくい障害と言われています。
発達障害の人の支援体制を整備するため、平成17年4月1日に「発達障害者支援法」が施行されました。また、法改正により、平成22年12月10日から、「障害者総合支援法」及び「児童福祉法」の対象者に、発達障害の人も加えられました。これにより、発達障害の人も、福祉施設の利用などのサービスを受けられるようになりました。
通常学級の6.5%の子どもに発達障害の疑いが
平成24年に文部科学省が発表した調査によると、全国の通常学級に通う小・中学校の児童・生徒のうち、6.5%の子どもに、発達障害の疑いがあることがわかりました。35人の学級では、1クラスに2人は発達障害の子どもがいることになります。発達障害は、珍しい障害ではありません。
こんな発達障害があります
発達障害は、いくつかのタイプに分類されていますが、親のしつけや教育に問題があるのではなく、生まれつき脳の一部に障害があるという点が共通しています。中には、複数のタイプの発達障害がある人もいます。
●自閉症スペクトラム障害(広汎(こうはん)性発達障害)
コミュニケーション能力や社会性に関連する、脳の領域に関係する発達障害の総称です。自閉症、アスペルガー症候群のほか、特定不能の広汎性発達障害が含まれます。「ことばの発達のおくれ」「コミュニケーションの障害」「対人関係・社会性の障害」「パターン化した行動」「興味・関心の偏り(こだわり)」などの特徴があります。
●注意欠陥多動性障害(ADHD)
発達年齢に見合わないような、「集中できない(不注意)」「じっとしていられない(多動・多弁)」「考えるよりも先に体が動いてしまう(衝動的行動)」などの行動をするという特徴があります。
●学習障害(LD)
全般的な知的発達には問題がありませんが、「読む」「書く」「計算する」などの特定の学習領域について、学んだり、行ったりすることに著しい困難があるという特徴があります。
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(図表説明)それぞれの障害の特性
一人一人に合った配慮や支援を
発達障害があると言っても、障害の種類や程度、年齢や性格などによって、あらわれ方は異なります。生活の中で困難なこと、苦手なこともそれぞれ違います。そのため、一人一人の特徴に応じて、配慮したり、支援したりすることが重要です。
◆配慮のポイント
・できたことを褒める、できないことを責めない
・視覚的な情報を提示して説明する
・説明や指示は短い文で、順を追って、具体的に
・安心できる環境を整える
・善悪やルールをはっきりと教える
・温かく見守る
その子をよく理解してあげてほしい
発達障害があるかないかの境目は、非常に判断が難しく、年齢や環境によっても障害のあらわれ方は変わってきます。大切なことは、診断名にとらわれ過ぎず、その子が何を苦手としているのかを保護者がよく理解し、その子に合った接し方をしてあげることです。また、どうしてできないかの吟味は必要ですが、学校や家庭のルールに反することをすれば、きちんと叱ることも大切です。
保護者の中には、周囲の理解が得られなかったり、子育てについて家族でもめたりして、気が滅入ってしまう人も少なくありません。自分に対するケアも大切にし、悩みがあれば、ぜひ相談してほしいですね。
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( 写真説明 )静岡富士病院小児科医長 安田 寛二(かんじ)さん
気になることがあれば、まずはご相談ください
発達障害がある場合、早目に障害に気づき、適切な療育につなげることで、社会に適応する能力を身につけ、さまざまな能力を伸ばしていくことができます。
もし、子どもの発達について気になることがあれば、障害福祉課(市役所4階)や、こども療育センター、子どもが通う学校、福祉施設などにご相談ください。
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( 写真説明 )障害福祉課(市役所4階)
【就学前の子どもへの支援】こども療育センター(電話:21-9482/住所:伝法85)
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( 写真説明 )こども療育センター
こども療育センターは、乳幼児を対象にした市の施設です。通園施設である「みはら園」と、子どもの発達に関する相談を受け、早期療育につなげる「療育相談室」があります。
【利用方法】電話予約
【開所日】平日8時30分〜17時15分(祝休日、年末年始は除く)
■不安や負担を和らげたい
こども療育センター 療育相談室長 石黒 彰子(あきこ)
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こども療育センターでは、保護者の皆さんが抱えている子育ての悩みや、子どもの発達に関する不安を少しでも和らげられるようなお手伝いをしたいと思っています。「発達障害」かどうかは別として、子どものことで何か気になることがあれば、気軽に相談してくださいね。
【小学生の子どもへの支援】通級指導教室
市では、通級指導教室を設置し、発達障害の専門知識を持った教員が授業を行っています。市内では、今泉小学校に2クラス、岩松小学校に1クラス設置されています。子どもは、通常学級に通い、週に1回程度、通級指導教室の授業を受けます。
通級指導教室に通うまでの流れは、まず保護者から相談を受けた各小学校の要請で、市の学習相談員が派遣されます。そして、担任、保護者、学習相談員、特別支援教育コーディネーターが子どもの様子を把握後、支援策を検討し、通級指導教室に通うかどうかの判断をします。
子どものことについて不安がある人は、まずは学校にご相談ください。
【小学校での支援の流れ】
保護者が学校に相談
↓
学習相談員を派遣
↓
子どもの様子を把握
↓
保護者との相談のもと、支援策の検討
↓
通級指導教室への通級、医療機関との連携、通常学級での工夫した支援などを実施
■通級指導教室は、個に応じた支援をする場
今泉小学校 通級指導教室教員 加藤 丈典(たけのり)さん
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通級指導教室では、集団生活の仕方や、コミュニケーションのとり方などを教えています。例えば、絵カードを用いて、絵に描かれた状況では、どう行動すればよいかなどについて学びます。子どもたちは、通級することで、集団生活の中で上手に人とかかわることを身につけていきます。
子どもたちは、苦手なことを克服しようと頑張っています。周囲の皆さんで、ぜひ子どもたちを温かく支えてあげてほしいですね。
【福祉施設の支援】放課後等デイサービス「ほへと」「どんぐり」「ころころ」
電話・ファクス:71-3995
Eメール:donguri2592@gmail.com
住所/厚原879-9
相談受付/平日13〜20時
対象/小学1年生〜高校3年生
(一社)サン・ビレッジは、主に通常学級に在籍する発達障害の子どもの学習や生活を支援する、放課後等デイサービス「ほへと」「どんぐり」「ころころ」を開いています。さらに、保護者向けに、ペアレント・トレーニングも行っています。
また、相談支援事業所として、「いろはに」がことし10月に開所予定です。
【放課後等デイサービスを利用するには】
(1)サン・ビレッジに電話相談
(2)障害福祉課で、受給者証を取得
(3)サービス等利用計画を作成
(4)アセスメントと個別支援計画の作成
(5)通所開始
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( 写真説明 )放課後等デイサービスの様子
■早期発見・早期支援が大切です
(一社)サン・ビレッジ代表理事 稲垣 薫(かおる)さん
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サン・ビレッジには、現在80人程度の子どもが在籍しています。ここには、同じ悩みを持つ親がたくさんいます。親同士で悩みを相談することで、親の気持ちが安定してきます。親の気持ちが安定すると、子どもも安心して、落ち着きます。
誰にでも苦手なことはあります。支援を受けることを恥ずかしいと思わないで、早期発見・早期支援に努めていただきたいですね。そして、子どもが自己肯定感を損なわないように、子どもを認めてあげてほしいです。
発達障害への理解は、まだ進んでいるとは言えません。偏見をなくし、困っている人に手を差し伸べられるようになればよいですね。
一人で悩まないで…
子どもが発達障害を抱えていると、なかなか言うことを聞いてくれなかったり、周囲の理解が得られないことから、「育て方が悪いからだ」と言われてしまったりして、悩んでいる人もいるかもしれません。しかし、発達障害は育て方のせいではありません。一人で悩みを抱え込まないことが大切です。
◆相談した保護者の声
・家で大きな声で叱ることがなくなり、家庭全体の空気が明るくなりました
・今まで苦手だった、集団行動がとれるようになりました
・相談できるところがあると安心でき、孤独感がなくなりました
・親にも子にも、気持ちにゆとりができました
今回の特集は、政府広報オンライン「発達障害って、なんだろう?」を参考にしています。
ホームページ http://www.gov-online.go.jp/featured/201104/
■一緒に支援を考えましょう
障害福祉課長 伊東 美加
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発達障害は、障害かどうかを判断することが難しく、見た目ではわかりにくい障害です。周囲はもちろん、保護者や本人も気づかないことがあります。
お子さんの発達について「気になること」があるときには、今回ご紹介したようなさまざまな相談窓口がありますので、お気軽にご相談ください。
また、来年の4月には(仮称)教育複合施設が開設されますが、この施設はお子さんや保護者にとって大きな支えになると思います。
市でも、支援体制の整備に向けて一歩ずつ歩みを進めています。
これからも、一人一人のお子さんの支援を、私たちも一緒に考えていきます。
【問い合わせ】
障害福祉課
電話:55-2761 ファクス:53-0151
Eメール fu-syougai@div.city.fuji.shizuoka.jp
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広報広聴課 (市庁舎8階北側)
電話:0545-55-2700 ファクス:0545-51-1456
メールアドレス:kouhou@div.city.fuji.shizuoka.jp