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【広報ふじ平成24年】特集 戦争と平和 その2

毎日鳴る空襲警報 子どもたちと生きた日々

 私は、昭和18年から今泉小学校で教師をしていました。戦争がひどくなった昭和19年〜20年には、毎日空襲警報が鳴り、授業は1日1時間ほどしかできませんでした。警報が鳴ると、子どもたちと一斉に走り、目や耳を手でふさいで学校の周りを囲っていた生け垣のそばに伏せました。子どもたちも必死でした。教師みんなで学校にあった防空壕(ごう)に逃げ込み、難を逃れたこともたびたびあり、B29戦闘機がグラウンドに機銃掃射(※)をしていったこともありましたよ。
 また、お昼の時間にお弁当を持ってこられない子どもがいました。そのような子どもがみんなから離れてかがみ込んでいる姿は今も忘れられません。こっそり自分のお弁当を分けていましたが、あとは水を飲んで我慢するよう言うしかありません。切なくて、ふびんでなりませんでした。子どものお弁当が盗まれたこともあり、幼い子どもにそんなことをさせてしまう世の中を情けなく思いました。
 今でもB29戦闘機の爆音と子どもたちのことは心に焼きついています。もう二度とあんな経験はしたくないです。

※機銃掃射(きじゅうそうしゃ)…機関銃で連射して目標を攻撃すること。

- 写真あり -
( 写真説明 )青木 静子さん(富士見台1)
( 写真説明 )当時の今泉小学校(提供:市立博物館)
( 写真説明 )先生をしていたころの青木さん

学徒動員で働いた毎日 戦争一色だった青春時代

 私が学徒動員(※)されたのは、学校に入学してすぐの昭和19年、15歳のときでした。富士宮市の野中にあった日本火口(かこう)という工場で倉庫係として、荷物を出すための伝票管理などをしていました。
 毎朝、まだ薄暗いうちから、防空ずきんとお弁当を入れたかばんを背負って、当時住んでいた岩本から入山瀬駅まで歩きました。そこから身延線で富士宮駅に行き、富士宮駅からは、動員された女子学生全員で4列の隊列を組み、軍歌を歌いながら50分ほど歩きましたね。
 中には、師範学校の女子学生もいて、爆弾をつくっていたのでしょう、硫黄のようなもので黄色くなった、顔が隠れるくらいのマスクをしながら働いていました。
作業中に空襲警報が鳴り、防空壕に逃げ込んだこともありました。
 終戦後、学校に戻ることができましたが、卒業まではたった半年。勉強したり、友達と過ごしたりした学生生活の思い出はほとんどありません。思い出されるのは、動員されたことばかり。青春時代は戦争一色の日々でした。

※学徒動員…国内の労働力不足を 補うために学生を工場などで強制的に働かせること。

- 写真あり -
( 写真説明 )鎌田 春子さん(岩淵)
( 写真説明 )学生のころの鎌田さん
( 写真説明 )富士女子商業学校(現在の富士見高等学校)の卒業アルバム

父を知らずに育った幼少時代 私のような犠牲者を出さないために

 私は父のことを知りません。私が生まれたとき、父は戦地にいました。母に届いた1通の手紙を最後に、父は戦地で亡くなりました。
 母と私は、中之郷の母の実家で親戚と一緒に暮らしていました。家は農家で、野菜などを分け合って生活していました。
 母は幼い私を育てるのにいっぱいだったのでしょう。3つ上の姉を千葉県の父の実家に預けていました。しかし、母は弱音を吐く人ではなく、私が大きくなってからも父のことや大変だったことはまったく話しませんでした。
 父がいないことで寂しい思いをしましたが、母の家族や親戚、近所の人など周りの多くの人に助けられて私は育ちました。本当に感謝しています。
 今、遺族会の活動をしていますが、私のように戦争で家族を亡くした方はたくさんいます。私たちのような犠牲者を二度と出さないために、今の若い人たちに戦争があったことを伝えていかなければならないと感じています。戦争を知り、平和について考えてほしいと切に願っています。

- 写真あり -
( 写真説明 )安田 善彦(よしひこ)さん(中之郷)
( 写真説明 )戦地から届いた父からの唯一の手紙
( 写真説明 )戦地で亡くなった安田さんの父

戦争を知る

歴史民俗資料館「戦争とくらし」コーナーでは、常時、戦争に関する展示をしています。その展示が新しくなりました。

ところ/市立博物館分館歴史民俗 資料館2階(伝法86-7)
展示内容/「富士市の戦没兵士たち 昭和の15年戦争にみる」1931年〜1945年の戦 時中に亡くなった富士市出身の9人の兵士の生涯を紹介し、出征風景や町葬の写真、関連資料などを展示(平成25年10月まで)。
入場料/無料

★ギャラリートーク開催
会場で展示物の解説をします。
とき/8月26日(日曜日) 10時〜
問い合わせ/市立博物館 電話 21-3380

- 写真あり -
( 写真説明 )新しくなった展示コーナー


戦争は、戦地に行った人だけでなく、残された人たちにも大きな傷跡を残しました。
あなたも、この夏、もう一度、平和について考えてみませんか。
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