皆さんは、土地改良区についてご存じですか?今回は、農地を守り、安心・安全な農作物を育てている「土地改良区」についてご紹介します。
土地改良区って何?
富士市には、(1)富士川用排水・(2)浮島・(3)吉原農地保全・(4)鷹岡農地保全・(5)富士東部・(6)富士南麓(なんろく)の6つの土地改良区があります(設立年の古い順)。
土地改良区は、農業の生産性の向上を目的に、圃場・農道・農業用水路の整備などの土地改良事業を行う団体として、土地改良法により設立が認められている法人で、都道府県知事の許可により成立しています。
基本的には、改良区内のすべての農業者が構成員(組合員)となり、理事長・副理事長・理事・監事・総代などの役員により運営されています。6改良区とも、理事長は市長が務めており、そのほかの役員は、該当区域の構成員(組合員)が務めています。
(1)富士川用排水土地改良区
昭和28年設立。市内で最も古い土地改良区です。
改良区内の富士・田子浦地区では主にお米、岩松地区のかりがね堤では、ミカンやナシ、岩本山の山腹ではミカン、山頂付近ではお茶が栽培されています。
田畑に水を供給するために、富士川・潤井川から水を引くかんがい排水施設(上堀・富士早川・下堀・四ヶ郷(しかごう)用水)の維持管理や、農作業の効率化を図るための農道改良などの事業を行っています。
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( 写真説明 )
かりがね堤のナシ畑
(2)浮島土地改良区
昭和32年設立。富士市の一番東側に位置し、北には住宅地域を挟んで愛鷹山ろく、南には沼川があります。農地は、ほぼ水田で、一部茶畑があります。
この改良区は、昔は浮島沼と呼ばれた地で、農業機械の導入は困難でした。しかし、生産性の向上を目指して、農地、農道、排水路、田に水を供給するためのポンプ場やパイプラインを整備し、農作業への機械の導入を可能にしました。
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( 写真説明 )
水田から望む愛鷹連峰
(3)吉原農地保全土地改良区
昭和41年設立。数々の改良区と統合をし、市内で最も広い改良区です。農地の約半分が茶畑です。主な農作物はお茶で、次いで野菜、ミカン、花木(かぼく)となっています。
今年度から、今宮・神戸地区の農業者と農協、今宮・神戸消防隊が「今神倶楽部(いまじんくらぶ)」を立ち上げ、農業施設の維持管理や畑かんの消防用水としての利用、草花の植栽などを行い、地域一体となって環境保全活動に取り組んでいます。
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( 写真説明 )
大淵大久保の茶畑の整備状況
(4)鷹岡農地保全土地改良区
昭和42年設立。主な農作物は、お茶と野菜で、お米とナシも栽培されています。
潤井川から水を引き、田や畑を潤すためのかんがい排水施設の維持管理や、農地・農道などの改良といった事業を行っています。
昨年度は、天間地区で用排水路の改修工事を、伝法北地区で排水路の改良工事を行いました。これによって、田や畑の水はけがよくなり、大雨による浸水被害の軽減が期待できます。
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( 写真説明 )
天間地区用排水路整備状況
(5)富士東部土地改良区
昭和48年設立。農地の約7割が水田です。お米のほか、野菜、ナシ、イチジク、菊などが栽培されています。
この改良区は、ほかの改良区と違い、独立した事務所を構え、農地や農業用施設の維持管理などを行っています。
また、昨年度から改良区が母体となり、「富士山のふもとの郷(さと)を守る会」を立ち上げ、農業者と地元企業や小学校、幼稚園などが連携して、環境保全活動に取り組んでいます。
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( 写真説明 )
須津幼稚園の園児の参加による、トウモロコシの種まきの様子
(6)富士南麓(なんろく)土地改良区
昭和49年設立。主な農作物は、お茶、シキミ、花木です。
この改良区の事業としては、農地や農道、排水路、畑かん※の整備を行いました。この整備により、それまで雨水や水道水に依存して、用水の運搬に多大な労力と時間を費やしていたものが、大幅に削減されました。現在は、施設の維持管理を行っています。
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( 写真説明 )
改良区事業完成記念碑と茶畑
昔の田植え作業
昔、浮島沼と呼ばれた、現在の浮島土地改良区や富士東部土地改良区は、写真のように腰まで田んぼにつかって田植えをしていました。現在は、土地改良事業により、機械で田植えができるようになりました。
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( 写真説明 )
浮島沼の田植え作業(昭和初期/「浮島ヶ原開拓史」から)
※用語解説
圃場(ほじょう)…作物を栽培する田畑・農園。
畑(はた)かん…ポンプやパイプラインなどにより、人工的に水を供給する施設。農作物への水やり、農薬の希釈水などに利用。
かんがい…水を川・湖などから引いてきて農地を潤すこと。
生活に密着した土地改良事業
土地改良事業は、農業のために実施していますが、農業用水路は、田畑に水を供給するだけではなく、雨水や生活排水を受け入れて、治水の役割も果たしています。また、市民の皆さんがふだん何げなく通っている道も、もともとは農道として整備されたものかもしれません。その農道の下には、田畑に水を供給するためのパイプラインが通っている場所もあります。そのため、大型車の通行を制限している場合がありますので、ご理解・ご協力をお願いします。
農地を守っていくことは、自然環境の保持だけでなく、二酸化炭素排出の抑制などにもつながり、とても重要なことです。
各改良区の農地では、安心・安全な農作物がとれます。皆さんには、ぜひそのことを再認識していただき、地元食材の消費など、何らかの形で農業にかかわっていただきたいと思います。
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農政課課長
小川 光昭
◆問い合わせ◆
富士東部土地改良区
神谷南179
電話 34-3415 ファクス 34-3418
その他の改良区
各改良区事務局(市役所農政課内)
電話 55-2780 ファクス 51-1997