【広報ふじ平成12年】5月12日は看護の日 温かな看護の心で
看護の仕事の1日
5月12日は「看護の日」。世界的にはナイチンゲールの日として知られています。
病気やけがをしたとき、その治療に当たってくれるとともに、不安な心を温めてくれる看護婦(士)さん。その仕事に携わる皆さんの姿を紹介します。
4月14日金曜日、市立中央病院の6B病棟を取材。患者さんが起きてから寝るまでの時間を中心に、看護婦(士)さんがどんな仕事をしているのかその様子を追ってみました。
市立中央病院6B病棟
6B病棟には、呼吸器、血液、糖尿病、消化器に病気を抱える患者さんが入院しています。ベッド数は56床で、婦長1人、主任1人、看護婦(士)21人、医療補助員2人の25人が入院患者さんの看護に当たっています。
勤務は、日勤(8時15分〜17時)、準夜勤(16時15分〜深夜1時)、深夜勤(0時15分〜9時)の三交代制。
それぞれの勤務の中で、患者さんの病状に応じて、三つのチームを組んで担当し、患者さんの継続的な看護ができる体制をとっています。
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主な仕事
6時〜
起床の確認、血圧測定・洗面介助、血糖値測定、看護記録への記入、申し送りなど
8時15分〜
清拭、朝の点滴の準備・実施、病室の見回り、検温など
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( 写真説明 ) 朝の打ち合わせには日勤と深夜勤務の全員がそろう
13時〜
カンファレンス、シーツ交換、病室の見回り、点滴の確認・準備・実施、看護記録への記入など
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( 写真説明 ) カンファレンス
17時〜
夕食の介助、点滴の確認・準備・実施、検温、ナースコールヘの対応など
21時〜
病室の見回り、夜間の点滴準備・実施、看護記録への記入、申し送りなど
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( 写真説明 ) 三交代で患者さんを見守る看護婦さん。病院は一日中眠りません
看護の仕事の1日
【6時〜8時15分】
患者さんが目覚め始める6時ころは深夜勤務の看護婦さんが担当。当日深夜勤務だった田中さんの仕事を中心に追いました。
1時から深夜勤務の3人が患者さんの看護を担当。病室の見回りや、深夜のナースコールへの対応などが仕事の中心。
6時、あたりもだいぶ明るくなり、患者さんは徐々に起床し始める。各病室を回り起床のチェック。患者さんに「よく眠れましたか」と声をかける。血圧の測定や、歩くことが困難な人に洗面介助、おむつ交換などを行う。とくに、重症患者さんの状態観察をする。7時ころに糖尿病の患者さんの血糖値を測定。
7時30分、担当する患者さんの夜の状況などを看護記録に記入し、申し送りの準備。日勤の看誠婦さんも徐々に出勤。物品の確認や、担当する患者さんの記録に目を通し、きょうの準備をする。
7時45分、「朝食の準備ができました」との放送を流す。食事を取りに来られない患者さんには、各部屋まで配る。日勤の看護婦さんと患者さんの状況の申し送り。
【8時15分〜13時】
8時15分から17時まで、日勤の大瀧さんの仕事を中心に追いました。
8時15分、日勤と深夜勤務の全員がナースセンターに集合。入・退院予定や一日の予定などを打ち合わせ。終了後、清拭((せいしき)(タオルなどで体をきれいにふいてあげること)や点滴の準備にとりかかる。
8時40分、清拭のため各部屋を回る。熱いぬれタオルで体をふく。
9時、朝の点滴開始。点滴の間違いがないようにしっかり確認。実習に来ている看護学生から声がかかる。病室へ行くと、患者さんからたんがつまって苦しいので吸引してほしいという訴え。声をかけながら吸引する。ナースセンターヘ戻る途中、ほかの病室の家族から声がかかり、経管栄養(流動食を管を使って直接胃へ入れること)の具合を調整する。
患者さんの経過を記したシートを持って検温に向かう。「気分はどうですか」「朝食はしっかり食べられましたか」「トイレには何回行きましたか」など質問。シートに記入する。
午前中の検温もようやく終わりに近づく。患者さんに「お昼からふつうに食べてもいいですよ」などと担当医師の話を伝えたり、おむつの状態を観察したりする。
11時45分、患者さんに昼食が届いたとの放送。翌日の点滴の準備。部屋を回り、昼食の様子を確認する。面会に来ている家族とも会話。ナースセンターに戻ってから、シートに医師から指示のあった処置変更を忘れずに書きとめる。
12時15分、控え室でいつもより早目の昼食。時間どおりに昼食をとることはほとんどない。お昼を食べた看護婦さんは、看護記録を書いたり、明日の点滴の準備をしたりする。
【13時〜17時】
13時10分、主任者看護婦を中心に、カンファレンスを行う。カンファレンスは、患者さんの今後の看護方針を話し合う大切な場。終了後、担当する医師と打ち合わせ。また、午後の点滴の確認をする。
13時55分、リハビリのため、実習生と一緒に患者さんをベッドから起こし、けががないよう慎重に電動車いすに乗せ送り出す。
医師からの指示の変更などを間違いのないように看護記録に記入。担当する患者さんの血圧の変化などをグラフにつける。
15時15分、各病室へ検温に行き、血圧や便などの状況を確認。おむつ交換の時間が来た患者さんの対応などで、病室と処置室の往復。
15時半を過ぎると準夜勤務の3人の看護婦さんも出勤し始める。患者さんのきょうの状況を記録などで確認。
15時50分、検温が終わり、一息つく間もなく、すぐ看護記録をつける。先輩看護婦さんたちに患者さんの状況などを話し、アドバイスをもらう。
16時5分、担当医師に患者さんの状況を報告。患者さんの処置やケアをパソコンに人力。
16時20分、患者さんの状況について、準夜勤務の看護婦さんに直接申し送る。
患者さんからのナースコール。鼻水が出ているのでふく。また、足の位置を直してほしいとの訴え。毛布をかけ直す。一通り患者さんの様子を確認し記録の残りをつける。
【17時〜21時】
17時からは、3人の準夜勤の看護婦さんが担当。準夜勤務の中村さんの仕事を中心に追いました。
17時、夕方の病室の見回り。夜の点滴を用意。経管栄養に使う栄養剤を温める。患者さんによって入れる内容と始める時間が違うため間違いがないよう、一つ一つ入念に確認する。
17時55分、患者さんの夕食。
18時15分、夕方の病室回りもおおむね一段落。経管栄養の準備や夕食の様子を病室に行って確認。
18時25分、面会の家族に状況の説明をしアドバイス。
19時、ナースセンターに「痛みどめをください」といったナースコールなどが入り、その都度対応する。ナースコールへの対応の合間に夜の点滴がある患者さんへの準備をする。
19時を過ぎると病室も次第に静かになってくる。
19時35分、準夜勤の3人がナースセンターにそろう。
夕方の検温のときの患者さんの状況など記録をとる。
19時45分、一息ついたところで夕食。食事中もナースコールが入り、すぐに患者さんのところへ向かう。
20時40分、21時の消灯前に各部屋を回る。ベッドの高さを調整したり、点滴の速さや薬を飲んだかどうかを確認したりする。なかなか寝つけない患者さんには「安心してお休みください」と声をかける。
【21時〜1時】
21時、消灯。見回りのとき、熱が高かった患者さんの氷まくらの交換をする。
21時45分、病院の夜間当直婦長が、特に重症の患者さんはいないか、また、対応に困っていることはないか確認に訪れる。
23時、懐中電灯を持って各病室を見回り。患者さんの様子を確かめ、ナースセンターで記録をつける。
夜はナースコールのふえる時間。寝返りを打てないなどでナースコールが入る。
深夜勤務の3人にスムーズに引き継げるよう看護記録などに記入。0時を回り、深夜勤務の看讃婦さんへの申し送りが終わった後も、1時過ぎまで仕事が続く。
患者さんに不安を感じさせない看護をしていきたい
田中 慶子看護婦(看護婦20年目)
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意識障害を持ち回復の見込みがなかった患者さんが、意志を伝えることができるようになるなど、想像できないほどに回復した劇的な場面に何度か立ち会うことがありました。患者さんの生きる力やそれを支える医療・看護の力の大きさを感じています。
今までふつうに生活していた人が病気になり、入院するということは大変不安なことです。患者さんに不安をできるだけ感じさせない看護をしていけるように、患者さんの手助けをしたいと思っています。看護をしている中で、患者さんが話してくださるそれぞれの生き方などが、私を成長させてくれていると感じています。家族と同じような気持ちにもなりますね。患者さんやご家族に「この人に看護してもらえてよかった」と感じていただけるよう看護を深めていきたいと思います。
患者さんのちょっとした変化に気がつけるような看護婦に
大瀧 加奈看護婦(看護婦2年目)
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看護婦になりたてのころは、患者さんの観察もままならない状態で、「こんな看護をしていていいのだろうか」「見落としたところはないか」と心配になったときもありました。緊張の連続で正直なところ怖くなったときもあります。それでも、自分で判断できないときや、患者さんから聞かれても答えられないときなどは、上司や周りの先輩たちに聞き、力を借りながら何とかやっていくことができました。
今、慢性期の患者さんを受け持っています。どの患者さんとも話をするのが楽しく、自分の看護に対して言葉でなくても、しぐさや表情で反応が返ってくると、うれしくなり、仕事をしている充実感があります。
これから患者さんのちょっとした変化に気がつき、対応できるように看護の力をつけていきたいです。患者さんが何でも話してくれるような看護婦になりたいですね。
家族と一緒に患者さんの気持ちを考えていきたい
中村三千代 看護婦(看護婦11年目)
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準夜勤務では、患者さんが寝る時間に当たるため、患者さんがゆっくりと安心して眠れるような看護をしようと心がけています。
私自身、看護婦になり初めの3年間くらいは無我夢中の毎日でした。そのころは患者さんに対して同じような看護をしてきた気がします。患者さんの性格は十人十色。私自身が家庭を持ったことで、ようやくそれぞれの患者さんの背景を考えて看護ができるようになった気がします。私が夜勤のときなど、夫やその両親が子供の面倒を見てくれるなどの協力があり、家族のありがたさを感じています。
看護を通じ、患者さんの家族と一緒に患者さんの気持ちを考えていくかかわりを持っていきたいですね。患者さんや家族から、「看護婦さん」でなく「中村さん」と名前で呼ばれると、より距離が近くなったようでうれしくなります。
インタビュー
看護を受けて 6B病棟の患者さんや家族の声
夜間も看護してくれて安心
加藤 藤江さん(中里)
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夫が4か月ほど入院しています。私は昼間面会に来ていますが、夜間も看護婦さんがいることで安心していられます。また、床ずれを防止する方法など丁寧に教えてくれるので助かります。
優しく接してくれる姿に感心
入院は2回目で2か月ほどになりますが、ナースコ−ルで呼ぶとすぐ来てくれるので安心です。どの患者さんにも優しく接している姿に感心します。お年寄りにも身ぶり手ぶりを交えてわかりやすく話してくれますね。
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( 写真説明 ) 林 弘之さん(一色)
( 写真説明 ) 姉・中村 光子さん(右)
( 写真説明 ) 姉・三浦 優子さん(中)
看護の仕事を目指して
実習に来ていた看護学生の声
学んだ介護の仕事を心に残したい
市立看護専門学校3年 神尾恵美子さん(厚原)
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以前病気になり不安だったとき、看護婦さんの笑顔と優しい言葉が心強く感じました。昨年の載帽式での感動を忘れずに、実習で学んだ実際の看護の仕事を心に残し、患者さんの立場を理解できる看護婦になれるよう頑張りたいと思っています。
患者さんに応じた援助を実感
市立看護専門学校3年 田口真由美さん(天間)
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いろいろな人と接してみたくて看護の道を選びました。実習を通じて患者さんの人柄や病気もさまざまで、それに合った援助が必要だと実感しました。患者さんの話をきちんと聴くことのできる看護婦になりたいと思っています。
患者さんにとって今何が必要か判断し援助することが大切
市立中央病院 渡邉 鈴子総婦長
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市立中突病院看護部では、看護婦(士)、医療補助員をあわせて約420人の職員が患者さんの看護に当たっています。看護婦(士)は、医師の治療方針に沿って、患者さん一人一人の看護計画を立て、それをチームで援助していきます。
看護の仕事は、患者さんの命に直接かかわる仕事です。また、奉仕の心を持たずにはできません。私たちの役割は患者さんと医師の間に立ち、患者さんの代弁者になることです。「観察に始まり、観察で終わる」という看護の言葉がありますが、その過程で患者さんには今何が必要かを判断し、医師との協働作業で援助していかなければなりません。そして患者さんや家族から信頼や安心を得ることが患者さんの回復や自立を助けることにつながり、看護者としての充実感が得られるのではないでしょうか。
どこにも誇れるすばらしい看護を患者さんに提供したいという思いを持ち、また患者さんにこの病院でよかったと思っていただけるよう、これからも職員一丸となって努力していきます。
一日中休みがない看護の仕事。その仕事に熱い情熱をかける看護婦(士)さんは、きょうも笑顔で患者さんを迎え、患者さんや家族の悩みに耳を傾け、患者さんの回復に向けて一生懸命に働いています。
戦地にあって温かな看護の心を届けたナイチンゲール。その心は、ときやところが変わっても、皆さんの近くにいる看護の仕事に携わる人の心にも温かく伝わっています。
添付ファイル
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