岳南鉄道吉原本町駅のすぐそばに陽徳寺というお寺があります。そのお寺にあるお地蔵さんは「身代(がわ)り地蔵さん」と呼ばれています。
今回はこのお地蔵さんにまつわるお話を紹介します。
吉原の身代わり地蔵さん
昔、吉原1丁目付近は寺町と呼ばれていました。
その寺町で目の病気がはやったことがありました。町の人々は困り果て、このお地蔵さんに病気を治してほしいとお願いしました。すると、不思議なことに病気はたちまち治り、人々はお地蔵さんのおかげだと喜びました。
それからというもの、体の弱い子、はしかにかかった子、おできができた子などがこのお地蔵さんのところへ訪れ、「どうか治してください」とお願いするようになりました。
こうして町の中から目の病気がなくなったとき、このお地蔵さんを見るといっぱい目やにがついていました。そのため、このお地蔵さんのことを「身代り地蔵」というようになったということです。
また、このお地蔵さんは、昔、駿東郡青野村(現在の沼津市)の光明庵というお寺に祭られていましたが、ある年の大洪水で、元吉原宿付近まで流されてきたのを宿場の人が救い上げ、陽徳寺の本尊にしたそうです。
陽徳寺住職を兼務している法雲寺住職 藤田文峰(ぶんぽう)さん
陽徳寺の前世話人 岡山 靖さん(吉原1丁目)
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このお地蔵さんは昔から町の人に親しまれ大切にされています。明治の半ばに吉原で大火事がありましたが、そのとき町の人がこのお地蔵さんを担いで逃げたという逸話もあるほどですよ。
毎年7月23・24日にはこのお地蔵さんの緑日があり、盛大に行われ多くの人が訪れます。
また、今でもお地蔵さんのご利益を求めてお参りに来る人をよく見かけます。中には遠くから来る人もいるようです。お地蔵さんにはいつまでも人々の安全や健康を見守っていただきたいですね。
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( 図表説明 ) 地図
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( 写真説明 ) 身代り地蔵が祭られている陽徳寺の本堂
( 写真説明 ) 身代り地蔵さん
( 写真説明 ) 背が高く、りりしい顔をしています