私たちの脳裏に災害の恐ろしさを焼きつけた阪神淡路大震災。大混乱の中でのさまざまな情報の収集と伝達がいかに大切かということを痛感させられました。富士市も都市化が進み、人口は23万7,000人を超えています。また、将来的に東海地震が予測されています。先の震災の教訓を生かし、災害に備え市民の暮らしと安全を守るため、防災の拠点となる「新消防防災庁舎」が建設されます。
その新消防防災庁舎のあらましを紹介します。
建設の目的
現在の市庁舎と消防庁舎は昭和45年に建てられました。築年数は28年を超え、建物全体の劣化が進んでいます。また、年々ふえ続ける業務のために事務スペースもかなり手狭になっています。
さらに消防庁舎については、建物、設備などあらゆる面で、予想される東海地震規模(マグニチュード8程度)の災害に対応することは大変困難です。消防署は市民の生命と財産を守るという重要な任務を負っていますので、速やかな対処が必要です。
そこで、災害に対応できるように「新消防防災庁舎」を市庁舎西側に建設することになりました。平成10年12月17日、建設工事安全祈願祭が行われ、いよいよ工事が始まりました。
建物の概要
新消防防災庁舎は、地上7階地下1階建てで、延べ床面積は7,821平方メートルです。1、2階は消防部門、3階は市の防災対策関係部門、4階は情報関係部門となっています。
また、7階は研修室となっていますが、富士市を360度見渡せる展望スペースを設けて市民に開放する予定です。2階には連絡通路を設け、現在の市庁舎とつなげます。
- 図表あり -
新しい防災体制
新消防防災庁舎の大きな特徴は、消防、防災対策、情報システムの三つの機能をあわせ持つことです。それは、災害時のさまざまな情報を収集し総合的に判断して実際に役立てるためです。この新しい体制により、それぞれの機能が密接に結びつくことになり、適切で迅速な住民サービスの提供が実現します。
具体的な例を挙げると、119番通報を受けた場合、通報を受けてから出動までの時間がこれまでの2分以内から1分以内になります。
発信地表示システムの導入で、通報を受けてから3秒後に通報者の場所や電話番号がコンピューターの画面上に表示されます。通報電話が発信装置となり、地図検索装置で自動的に災害の発生場所付近の地図が表示されるというシステムです。
場所を確定すると同時に市内の消防署に予告指令が流れ、出動準備が整います。そして、災害の状況に応じて的確な出動車両が自動的に選択されます。また、指令電送装置で音声の指令とともに地図がついた出動指令書を各署にファクスで送信することができ、明確に災害地点が確認できます。こうして新システムの導入で、通報を受けてから出動までの時間が短縮されます。
また、支援情報システムも導入します。それは、通信指令室から現場の指揮車に、毒劇物などの危険物に対する消火方法や対象物の平面図をファクスで送信するというものです。これによって、毒劇物の危険をかなり回避することができます。
さらに、障害を持つ人からの通報をファクスで受けることも可能になります。
市では、これら新システムの導入により災害の被害をできるだけ軽くするとともに救命率のさらなる向上に努めていきたいと考えています。
緑も大切に
隣接する青葉通りは、緑あふれる街の顔とも言える美しい都市景観を誇っています。その景観を損なわず、皆さんに親しんでもらえるような公共施設にしたいと考えています。
新消防防災庁舎の建設が進められている市庁舎西側には、樹齢30年以上のクスノキやソテツなどが植えられていました。工事に当たりそれらの木は一時的にほかの土地へ植えておき、工事の進み具合にしたがってそれらの木を再び敷地内に戻していきます。
完成予定は平成13年3月
完成は、平成13年3月下旬を予定しています。これから約2年間という長い工事になります。また当分の間、市庁舎西口は車での通行ができません。皆さんにはご迷惑をおかけしますが、ご理解とご協力をお願いします。
問い合わせ 管財課 内線2781
- 写真あり -
( 写真説明 ) 新消防防災庁舎建設工事安全祈願祭
( 写真説明 ) 新消防防災庁舎完成予想図(手前)
( 写真説明 ) 現在、建設工事が進められています