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【広報ふじ平成8年】特集・市民合唱「見よ西風からの富士」響け!市民のハーモニー

新市施行30周年を迎えた11月1日、市民合唱団の熱い歌声がロゼシアターに響きわたった。流れるピアノの旋律と、オーケストラの演奏に合わせ、荘厳な「見よ西風からの富士」を美しいハーモニーで歌い上げる。三年前、ロゼシアターオープンの際にまかれた市民文化の種。少しずつはぐくまれ、富士市の記念となるこの日、ついに大輪の花を咲かせた。

 富士市のオリジナル曲「見よ西風からの富士」は、市民文化の拠点として建てられたロゼシアターのオープンを記念して、作曲家の三枝成彰(しげあき)さんの手によってつくられた合唱つきピアノ協奏曲です。ピアノ協奏曲としては珍しく、合唱が入るのが特徴。テーマは富士山の創造と未来で、題名は西風が吹くときは空が晴れわたり、富士山が美しく見えることからつけられています。初演は、平成6年1月30日に行いました。
 今回は、新市施行30周年記念事業の一つとして、市民合唱の夕べ「見よ西風からの富士」が企画されました。公募に応じて歌う楽しさを満喫しようと集まった合唱団員は、各種市民コーラスグループに所属している人、初演に続いて参加した人、まったく合唱を経験したことがない人など104人。ことしの1月から難曲と言われる「見よ…」のほか、イタリア語で歌う「凱旋(がいせん)の合唱」(アイーダより)、「乾杯の歌」(椿姫より)、「開幕の合唱」(カヴァレリア・ルスティカーナより)、「アンヴィルコーラス」(トロヴァトーレより)のオペラ曲に取り組んできました。
 合唱団の指導には、東京混声合唱団理事の中脇幹夫さん(9ページ参照)、ピアノ伴奏には馬飼野(まかいの)京子さん(ローゼンコール富士)をお願いし、新市施行30周年記念日にふさわしい晴れやかなコーラスになるよう、本番に向けて練習に励んできました。


10か月間の練習をみんなで乗り越え
- 写真あり -
( 写真説明 ) 団員と指導者の初顔合わせ(1月)
( 写真説明 ) 蒸し暑さにも負けず、難曲を克服しようとひたすら練習に励む(6月)
( 写真説明 ) 10か月間団員を指導した中脇先生と、その指揮に呼吸ピッタリのピアノ伴奏者馬飼野先生(写真右)
( 写真説明 ) 団員のまとめ役の伊藤正芳さんが、発声練習を指導
( 写真説明 ) 厳しい練習の中にも、時には笑い声が…
( 写真説明 ) いよいよ練習も大詰め、オーケストラとの音合わせ(本番前日)


歌を通じて心が一つになった仲間と晴れの舞台へ
いよいよ本番。第一部では、富士市出身の大村久美子さん(9ページ参照)が作曲した「RETICULATION」(国際的作曲コンクールである入野賞受賞作品)の演奏の後、104人の市民合唱団が登場。堤俊作さん(9ページ参照)の指揮、佐々木麗(うらら)さんのピアノ、静岡交響楽団の演奏に合わせて、「見よ西風からの富士」を披露しました。そして、第二部では、ソプラノ歌手佐々木典子さんとテノール歌手五十嵐修さんとともに、オペラ曲を披露しました。
- 写真あり -
( 写真説明 ) 「おはようございます。がんばりますよ」と元気いっぱいにロゼシアターに登場!
( 写真説明 ) さあ、衣装もばしっと決めて、いざ出陣!
( 写真説明 ) 堤先生のダイナミックな指揮は、市民合唱団の歌声を引き立たせてくれました
( 写真説明 ) ロゼシアターの大ホールの舞台に、オーケストラと一緒に立つ市民合唱団。練習の成果のすべてを出し尽くしました
( 写真説明 ) 市民合唱団の歌声や、「見よ西風からの富士」の幻想的なメロディーが、多くの聴衆を魅了し、会場からは大きな拍手が沸き起こりました


達成感、解放感…、みんなと喜びを分かち合い
- 写真あり -
( 写真説明 ) 舞台からおりた直後の笑顔。皆さんほっとした表情を見せていました
( 写真説明 ) 楽譜に堤先生のサインをもらう一幕も
( 写真説明 ) この合唱を通じて知り合った仲間たちと、尽きない話が…
( 写真説明 ) 中脇先生、長い間大変お世話になりました


みんなのまとまりを感じました
小林陽子さん(緑町)
- 写真あり -
 私が入っている合唱団に、馬飼野先生がいたことから、女性コーラスのまとめ役に推薦されました。まとめ役としては、みんな協力的で苦労は特にありませんでした。ロゼのスタッフが裏方を引き受けてくれたおかげで、歌だけに専念でき、気持ちよく歌えました。みんなのまとまりも感じ、無事終えてよかったと思います。


二人で一緒に歌い続けたい
伊藤栄次さん 咲子さん(大渕)
- 写真あり -
 お互いに合唱が趣味で結婚したということもあり、この曲の初演のときから二人で参加しています。初演のときは、まだやり残した感じがしましたが、今回は手ごたえがあり、自分の持てる力を発揮した気がします。年齢的に歌もきつくなってきますが、歌える限り二人で一緒に歌い続けたいですね。


また同じメンバーでこの曲が歌えたら
佐野優子さん(久沢)
- 写真あり -
 初演のときのバスドラムの響きがずっと心に残っていて、また参加しました。今回は初演のときよりも練習期間が長かったので、じっくり練習できました。本番では本当に歌ったって感じで、舞台からおりたくなかったですね。せっかく集った仲間たちだから、また同じメンバーでこの曲が歌えたらいいなと思います。


親子で一生の記念になります
斉藤享子さん(伝法) 築地喜代子さん(今泉)[写真左]
- 写真あり -
 親子で一生の記念になると思い、二人で途中から入りました。でも、普通の曲だと思って気軽に参加したら、「見よ…」は難しいし、原語で歌うオペラ曲もあって驚きました。でも途中から入ってやめるわけにもいかないし、二人一緒だったから続けられました。歌い終えて感無量の一言です。今度は、親子三代で歌えたらいいなと思います。


貴重な体験ができました
鈴木利幸さん(東柏原新田)
- 写真あり -
 音楽は好きでしたが、合唱は初めてだったので、やっていけるかどうか不安でしたね。でも、この難曲が歌えれば、どんな曲でも大丈夫だという気持ちでがんばりました。本番は、観客もいて、ほどよい緊張感があり、練習以上にできました。いろいろな方とも知り合いになれたし、本当に貴重な体験ができたと思います。


プロと一緒の舞台に立てて感激
石倉裕子(ゆうこ)さん(大渕)
- 写真あり -
 以前から合唱をやりたかったので、今回チャンスだと思い応募しました。勤務の関係で練習に行けない日もありましたが、中脇先生の指導が楽しくて、歌にのめりこんでしまいましたね。ですから、馬飼野先生の合唱団に入れてもらいました。本番では、プロの演奏家と一緒の舞台に立つことができて感激しました。


皆さん最後までよくついてきてくれました
東京混声合唱団理事 中脇幹夫さん
- 写真あり -
 「見よ西風からの富士」は三枝先生の曲ということもあり、リズムのとり方や音程の跳躍に独特なものがあって、アマチュアには大変難しい曲なのです。ですから、まず最初に、どうすれば合唱団の皆さんが最後まで投げ出さずについてきてくれるか、そして、皆さんにとってこの公演がいい思い出となってもらえるかを考えました。それで、無理強いはせず、とにかく楽しく歌ってもらおうということを心がけてやってきました。
 最初のうちは、この曲の初演を経験した人も多くいたので、大丈夫だと安心していました。しかし、何といっても10か月にわたる長丁場ですから、皆さんもまだまだ時間があるという気持ちがあったようです。それに、中だるみと言うんでしょうか、だんだん欠席者もふえてきて、歌のバランスもなくなり、どうなるかとても不安になりました。もし、これが何年もやってきた合唱団だったら、怒って途中でやめてましたね(笑)。でも、後半の練習はとても充実してきて、これならいけると思いました。
 練習については、皆さんとすぐに親しむことができ、和気あいあいとした雰囲気で臨むことができました。
 本番では、舞台に立った一人一人の顔を見て、練習どおりに歌えているかなと、自分のことのように緊張しました。でも、本番が一番よかったですね。コーラスとしては満点でした。
 最後に紹介されて、皆さんと一緒に舞台に立ったときは最高の気分で、10か月の疲れが吹き飛んでしまいましたよ。皆さんにも、本当に喜んでもらえて、練習方法が間違っていなかったなと確信しました。
 皆さんには、この公演での気持ちを大切に、これからも歌い続けてほしいですね。


今後につなげてほしい
富士市出身作曲家 大村久美子さん
- 写真あり -
 新市施行30周年記念を迎えた日に、自分のつくった曲が演奏されて、とても光栄に思います。生まれ育った地元で演奏されるのは、観客席に親戚(しんせき)や同級生などがいたりして、別の意味で緊張感がありましたね。それに、クラシックを聞きなれない方が、私の曲を聞いて、どういう印象を持ってくれるのかも楽しみでした。現代音楽は難しいからわからないというのではなく、何かを感じていただけたらなと思っていましたから。
 市民合唱については、皆さんの歌う意気込みが感じられました。これで終わりというのではなく、今後につなげてほしいですね。芸術というのは、少しずつ日常生活に取り込んでいく方が長続きします。今度富士市に戻ってきたとき(ドイツ留学中)に、市民の音楽芸術に関する意識の高まりを期待しています。


この曲を「富士市の曲」として定着を
指揮者 堤俊作さん
- 写真あり -
 初演のときも指揮をとりましたが、今回は再演だし、中脇先生もいるので安心していました。しかし、本番の1か月前の練習に来たときは「大丈夫?」という感じでした。そのときに比べると、皆さんこの難曲をよくがんばったなというのが感想です。
 曲というのは、再演すればするほど表現に深みが出てきます。これだけのオリジナル曲なのだから、「富士市の曲」として定着させなければもったいないと思いますよ。とにかく継続が大事。毎年は大変だとしても、富士市の節目の年に、また再演してほしい。そして、この曲が市民文化の発展につながるといいですね。
 合唱団の皆さん、人と人とのつながりは大切なものです。この結びつきを大切に。

みんなと一緒に目的を達成した喜びをかみしめていた合唱団の皆さん、10か月間お疲れさまでした。そして、すばらしい感動をありがとう。皆さんの熱い思いが多くの市民に伝わり、市民文化の花が咲き誇る魅力的なまちになるといいですね。
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