渡辺彦太郎市長は、3月定例市議会で平成元年度に向けての施政方針演説を行いました。
この中で、本年度は、世界に誇る富士愛鷹山麓の自然環境や新富士駅を初めとする恵まれた立地条件を生かし、個性的で潤いと活力ある都市形成に向けて5つの重点を定め、市政運営を進めていきたいと強調しました。
そこで今回は、施政方針の5つの重点内容を、紙芝居活動で地域交流を深めている主婦柴田実枝子さん(平垣)と渡辺市長の対談で紹介します。
渡辺彦太郎市長
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柴田美枝子さん
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情報の発信できる街に
柴田
こんにちは。いつも私たちの紙芝居活動に御理解をいただきありがとうございます。
市長
多方面の活躍御苦労さまです。
柴田
ありがとうございます。早速ですが、先日市長さんが平成元年度の市政方針を発表されました。その資料を私もいただいたのですが、主婦にはわかりにくいものですから、おじゃましました。
市長
そうですね。わかりにくい点があるかもしれませんね。
柴田
第一に「産業と文化が複合した情報発信都市への基盤整備」ということをあげていますが…
市長
情報と言いましても、いろいろあるんですね。例えば、産業界の情報や商業のファッション情報、文化面の情報など、さまざまな活動をする中で新たに生まれてくる情報があるわけですよ。
柴田 はい。
市長
今、情報の中心は東京ですが、地方は地方として富士なりの情報をつくり上げ、発信することが可能なんですね。東京にはない情報が必ず出てくると思うのです。つまり、情報の発信とは、地域の特性を生み出すことをいっているわけです。
柴田
富士市の個性をつくるということですか。
市長
そうです。
文化会館は設計段階
柴田
文化会館ができるようですが、そういう意味でも期待がかかりますね。
市長
文化会館は今、設計を始めています。平成2年に工事に入っていこうという段階です。
柴田
来年ですね。
市長
規模も内容も充実した文化会館になりますよ。将来に向けて富士の文化活動の拠点になるもので、30年、50年たっても陳腐化しないものを考えています。大・中・小ホールや、レセプションホール、展示室など児立の文化会館規模になりますよ。
柴田
とても楽しみですね。それから、常葉学園の短大が来年4月に大渕にできるそうですね。娘をもつお母さん方が期待しているんですけれども、女子短大ではないんですね。
市長
ええ、あえて女子とは限定してありません。男子も入れますよ。ただ、結果的に男女比率がどうなりますか。いずれにせよ期待していいですよ。
柴田
富士市から通えるところは限られていましたからね。
富士愛鷹山麓を調査
柴田
「富士に誇れる快適で潤いのある都市環境の創造」というのが第二にあがっていますが…。
市長
まず、富士愛鷹山麓地域環境管理計画という計画をつくっています。
柴田
富士愛鷹山麓というと具体的にどの辺を指すのですか。
市長
だいたい目安として標高300メートル以上のところです。
柴田
はい。
市長
富士愛鷹山麓には自然が残っていますが、時代の要請といいましょうか、レジャーの開発が押し寄せています。それはそのまま私有権の中で何をしてもいいということにはならないと思います。
柴田
自然破壊になるんですね。
市長
そうです。自然が破壊されるということは、結局いろいろな災害に結びついていきます。
柴田
私たちの生活に直接かかわってくるわけですね。
市長
そうです。それともう一つは、この街はみんな富土山の地下水をくみ上げて生活していますから、市全体の問題なんです。
柴田
そうですね。
市長
しかし、だからといって、これから余暇の時代を迎えるのに一切まかりならんというわけにもなりきらないのです。
柴田
はい。
市長
ですから、一体自然とのかかわり合いで、どの程度まで開発が可能か、こういう点を科学的・学術的に調査してもらっています。そのデータによって施策を展開していきたいと考えているのです。
柴田
難しい問題なんですね。
市長
われわれ行政の立場からすると、今回の場合、環境管理計何の中でどのように進めていくかは非常に大変なことです。
富士川河原に親水公園
柴田
大棚の滝などはよいところですね。
市長
自然と水辺は、皆さんが親しめるようにします。大棚の滝を中心とした須津川渓谷は、日曜日など家族連れや町内会などで大変にぎわっています。今以上に整理して、自然の中で心と体をリフレッシュするようなところにしたいですね。また、富士川の河原に水を生かした親水公園をつくりたいですね。将来的には岩本山公園につながるようなね。
柴田
そうすると、かりがね堤のあたりからつながるわけですか。
市長
そうですね。それと原田地区にわき水のきれいなすばらしい地区があります。氷明(ようめい)寺の周辺を例えば「泉の郷(さと)」と名づけ、新名所にしたいと思います。
柴田
永明寺の庭はとてもよいところですね。
市長
永明寺、鑑石園など点としてあるものをラインとしてつなげようということです。
柴田
そうすると新富士駅を降りて観光のコースにもなりますね。
英語圏との国際交流も
柴田
第三に「国際化に向けたまちづくり」をあげていらっしやいますが、最近、中国嘉興市との交流についてよく聞きます。これから交流が具体化すると思いますがどのような交流をしますか。
市長
嘉興市側からの注文で一番多いのは青少年との交流や技術研修生の受け入れです。特に、中国側は産業の誘致にかかわることが多いですね。産業・経済・教育・文化など多方向にわたる交流を考えています。また、さらにカナダ・アメリカ・EC諸国の方が多く富士市を訪れています。
柴田
そうですか。
市長
この間もオランダの国会議員が来て、高校生同士の交歓会をやろうという話もありまして、これは具体化すると思います。
柴田
いい話ですね。
市長
ただ国際交流は実際お金がかかるんですよ。
柴田
そうですね。
市長
ですからホームスティで交流を進めようと考えています。ホームスティは双方の国の生活を肌で感じとることができますからね。
都市型ホテルが必要に
柴田
ところで、新富士駅ができ、よそからのお客さんを迎えるにしては、富士市にはホテルがないと思うのですが…。
市長
会議場のあるホテルが必要になってきますね。いろいろな人が集まり会議をして、いろいろな情報が生まれる。東京には近くても人の交流が多いのですから、グレードの高い都市型ホテルが必要です。
柴田
日帰りじゃくつろげませんものね。