昔は、赤ちゃんが歩く時期を過ぎても歩けなかったり、やっと歩き始めたらびっこだった、というようなことで病院に行き、先股脱と診断されると、脱臼の整復、そしてギプス固定といった治療を受けたものでした。最近では、新生児検診や3か月児検診が徹底し早期発見・早期治療が行われるようになり、治療法も機能的装具が用いられて成績がよくなってきました。
また、正しいおむつの当て方が普及し、先股脱になる子供も減ってきています。
先股脱は、関節包と呼ばれる関節を包んでいる袋が、緩んだために脱臼してくるもので、はれや痛みもなく普通は脱臼に気づきません。
左右の足の長さが違ったり、赤ちゃん特有の大腿の皮膚溝が左右対照的でなかったり、おむつ交換のときにコクッと音がしたり、股の開きが悪い、といったことに気づいたら、医師の診察を受けるべきでしょう。
また、脱臼はしていないけれど、エックス線撮影で、股関蔀臼蓋形成不全と言われることがあります。
これは、股関節の骨盤部分の骨の発育が不十分な状態で脱臼しやすく、ときには脱臼と同じような治療を必要とする場合もあります。
それでなくとも新生児の股関節は屈曲しており、ちょうどカエルの後ろ足のような格好をしていて、これを無理に伸ばすことは、脱臼を起こしやすくすると言われています。
脱臼の予防には検診が必要です。
3か月児検診時には、整形外科医のところでも検診(エックス線撮影等)を受けることをお勧めします。〈富士市医師会〉