頭のてっぺんから足の先まで、体じゅうよく見れば“ほくろ”(黒子)を持たない人は、恐らくいないでしょう。生まれたときにはなく、3〜4歳ごろより生じて次第にふえるもので、多くは小豆(あずき)大以下、黒褐色円形で皮膚面と同高のものと、半球状に隆起するものとがあり、後者はしばしば毛が生えています(単純黒子)。
これとは別に比較的大きく、生まれつき持っているもの(くろあざ)があります。また、生後間もなく出現し、年齢とともに、どんどんふえるものもあります(多発性黒子症)。これらの“ほくろ”は、生涯連れ添う平和共存型で、問題はありません。最近よく話題になるのは、突然“がん”に変身するものがあるからです(悪性黒色腫)。この病気は、発生率は低いけれども極めて悪性です。体のどの部分からでも発生しますが、多くは膝より下(45%)、その中でも足底足背に多く、日本人では足底が特に多いようです。初期症状として、1.急に大きくなる。2.色が変わる。例えば褐色だったものが真っ黒になったり、色がむらになったりする。3.表面から出血したり、黒い浸出液がしみ出したりする。4.ほくろの周りが黒っぽくにじんで、境界線がぼやけたりする。以上のようなことが起こったら、早速皮膚科医の診察を受けてください。いずれにしても、ほくろに対しては外からの刺激を避けることが最も大切で、熱した針を刺したり、つめでほじる等はやめるべきです。足底が好発部位であるのは、常に刺激を受けるためです。 〈富士市医師会〉