先月号のこのコーナーで「雑木林風庭づくりのすすめ」というテーマで、野山に自生する樹木の紹介をしましたが、雑木類の多くは従来植木屋さんでは扱われていませんでした。
そのため、苗木が欲しいと思っても種類によっては入手の難しいものがあります。でも、種をまいて育ててみると意外に生長が早く、買った植木では味わうことのできない楽しみを見い出すことでしょう。
実生は容易です。以下に例を挙げてみますのでぜひお試しください。
◎ゴンズイ
11月頃果実は赤く熱して割れ、光沢のある黒い種子が顔を出します。これを採取してすぐまくと、翌春に一斉に発芽します。ゴンズイは陽樹ですので苗床は日当たりのよい場所にします。
3〜5本の株立ち状につくるには2年目の春に地際から幹を切って芽を出させます。肥えた土で充実した苗に育てると3、4年で早くも着花結実します。
◎ネムノキ
ネムノキは荒れ地でもよく育ち、夏ピンクの可憐な花が咲き続けます。夜間葉をたたむいわゆる睡眠現象をあらわします。10月にマメのさや状の実が熟し、落葉後も長く樹上に残ります。
種子は扁平なだ円形で、とりまきすると翌春発芽します。やはり、日当たりのよい場所で育てると生育旺盛で、夏季水やりをするとよく伸び、秋末までには高さ60センチメートルぐらいになり、6年目ごろから花を咲かせるようになります。
このほかの樹種も簡単に種から育てることができます。ハイキングを兼ねていろいろな木の種を集め、個性的な自然味あふれる庭をつくってください。