市内船津の茶畑で、古墳時代後期(6世紀中頃)のものと推定される円墳の古墳が新たに発見され、市教育委員会は10月中旬から発掘調査を実施しました。
こんど発見され発掘をした古墳は、石室の長さ12メートルもあり、これまでに確認されている中で市内最長のものです。
また、市内初の貝製の玉も出土したこの古墳は春山川沿いの船津古墳群の一つで、200基余りを数える同古墳群の本格調査が初めてということもあり、古墳時代のこの地域の生活様式を知る上で貴重な資料な得られると、期待が寄せられています。
茶畑から古墳を発見
ことしの4月初旬、市教育委員会へ市内船津寺の上701-2番地地先の地主さんから「茶畑改植工事中、不審な石積みを工事人が発見した」との連絡がありました。
教育委員会は、この石積みが古墳である可能性が考えられるため、さっそく調査をし古墳であることを確認しました。
その後、文化財保護法に基づき10月15日から本格的な発掘調査を開始しました。
市内最長の横穴式石室を確認
発掘調査で明らかになったことは、築造の時期が古墳時代後期(6世紀中頃)であり、直径25メートル、古墳周囲の溝が幅約3メートルの円墳であること。石室は追葬が行われた横穴式で長さ12メートル、幅1.5メートル、高さ1.6メートル。このうち長さ12メートルは、これまで市内で確認されている市指定文化財の実円寺西古墳(三ツ沢)の8メートルを上回る市内最長のもので、この地方を支配したかなりの豪族の墓ではないかと推測されています。
船津寺の上古墳と名付けられたこの古墳は、古墳時代後期のものとしては大形の円墳であり、うなぎの寝床のように細長い形も珍しい。さらに天井石が13石中、9石も築造当時の状態で残っていて、石室の築造状況が解明できる貴重なものです。
出土品の中に貴重な装飾品も
出土品も順次発見され、首飾りの玉類40点余りのほか、刀(鉄剣)3点、矢じり30点余り、土器4点が出土しました。
このうち玉類は碧玉の管玉(くだだま)、水晶の切子玉、松やにを材料としたナツメ玉、ガラスの丸玉などのほか、市内で初めて、全国的にも珍しい貝製の玉が4点出土しました。
大きさは長さ1.5センチメートル、厚さ7ミリメートルほどで、今後の分析によっては装飾品の新たな流れを知ることができるかもしれません。
一方、土器4点はほぼ完形品で、いずれも5世紀頃に大陸から伝わった硬い灰色の素焼き土器で、一般的には須恵器と呼ばれているものです。このほか人骨の頭部2体分も確認されました。
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( 写真説明 ) 市内最長の石室を確認する調査員
( 写真説明 ) ほぼ完形品として出土した土器