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【広報ふじ昭和60年】ふるさとの昔話

大渕八王子の井戸神様

 大渕の八王子1丁日に井戸神様と呼ばれる大きな石の碑と19個の小さな石の碑があります。
 これは、水がなくて困った大渕地区の昔の人が井戸を掘り、水が出た19個の石を水に感謝(かんしゃ)する意味で祭ったものです。


苦労して掘った井戸

 昔、大渕は水がなくて水無し村と呼ばれていました。雨が降ると、水をタンクや水かめに集め、飲み水にしたり、洗濯(せんたく)やおふろに使いました。
 でも、水はまったく足りないので、小さい子供たちも遠くの沢まで水くみに行きました。それはそれは大変な仕事でした。特に冬になると雨の降らない日が何日も続き、野菜はしおれ、食べる物も少なくなってしまうほどでした。
 そこで、みんなで深い井戸を掘ることにしました。苦労して掘っても水はほんの少ししか出ませんでした。
 しかし、あきらめずに何年もかかってあっちこっちを掘り、とうとう水の出る井戸を19個も作りました。村の人たちは「おいしい水をありがとう」
と大喜びしました。そして、井戸を堀ったとき出てきたたくさんの石の中からよい石を1個ずつ選び、19個の石を水の神様としてみんなでお祭りしました。


昔は苦労したようです

 井戸神様の隣に住む稲垣和好さん(33歳)は、「このあたりは水がなくて、昔の人は苦労をしたようです。私より二代も三代も前の人が、ここへつるべ井戸を掘り随分楽になったと聞いています。
 今は、水を何の気なしに使っているけど水のありがたみを忘れちゃいけないね」と語ってくれました。

- 写真あり -
( 写真説明 ) 稲垣さん
( 写真説明 ) 井戸神様に感謝する大渕幼稚園の子供たち
添付ファイル
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