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【広報ふじ昭和59年】障害者施設の“ふれあいバンク”

古本や家具などを再生して販売

 仕事を通して障害者の社会参加を実現していきたいという願いから、小規模授産施設「市民ふれあいバンク」が、宇東川西町旧吉原老人ホームに昨年7月オープンしました。
 ことしの4月5日には新作業棟の落成式を行い、市民のみなさんの協力を得ながら障害者が毎日、古本や家具などを再生して販売する作業に励んでいます。


■自立する授産施設を

 軽度の障害者は、民間企業に就職して働いています。また重度の障害者は、くすの木学園などの大規模授産施設で生活、職業訓練を受けています。
 その中間にいる障害者に仕事を通して社会参加をさせてあげたいという願いから小規模授産施設「市民ふれあいバンク」が生まれました。
 施設の誕生までには、市内の現存小規模授産施設と異なり、事業所から発注される軽作業を行うのではなく、自立する授産施設を作りたいという考えから、そのモデルになったのが盛岡市の「市民福祉バンク」でした。
 幅広い福祉をという観念から障害者の個性や能力を生かせるものは何かを検討し、不用品のリサイクル運動と結びつけることになりました。



■バンクの経営にはみなさんの援護が

 これからはお金を出す福祉から心を出す福祉を実現していきたい。ふれあいバンクも市民のみなさんが、援護してくれないと経営がなりたちません。自分の家庭では使用しなくなったが、少し手をかけれはまだ十分使用できる物があったらぜひ提供してください。
 また、こんな物がほしいなと思っている人がいましたら一度ふれあいバンクを訪ねてきてください。
 200円くらいの衣類から5,000円くらいのベッドなどたくさんあります。いままでにも一度買いにきてくれた人が次のときには、作業を手伝ったり、話し相手になったり少しの時間ですが、一緒に過ごすなどふれあいが広がっています。



■作業内容は

 現在、障害者が6人、バスや自転車、徒歩で通っています。
 月曜日から金曜日までは、午前9時から午後3時30分まで、土曜日は午前中作業をしています。
 5月からは毎月第1日曜日も開所して、市民のみなさんに親しまれるバンクにしていきます。
 作業内容は、個人から提供されたタンス、机、家庭電化製品、衣類などや市婦人会による一会員一冊提供運動による古本まで、いろいろの品物を生理して販売しています。
 障害者は、日当500円の賃金を得て仲よく、明るく働いています。



■これからは

 新作業棟が完成し、定員が10人になりましたので働く障害者をふやしていきます。指導補助員も増員します。
 ふれあいバンクを全市的に考えた場合には、富士、鷹岡、方面にも出張所みたいなものを考え、より充実していきます。空いている建物や土地を無償又は格安に貸していただけるようでしたらご連絡ください。
 バザーについても各公民館で行う地区の文化祭や公共的施設(農協、銀行など)の駐車場をお借りして開くことを検討しています。
 また、高齢者事業団「シルバー人材センター」の作業場が隣にできますので、修理作業などをタイアップして行っていきます。
 これが実現すると全国的に例をみないものになります。

- 図表あり -
( 図表説明 ) 地図
( 図表説明 ) ふれあいバンク 電話 51-3080

- 写真あり -
( 写真説明 ) きょうは自転車をみがいて整備しています きれいになりますよ
( 写真説明 ) 古本もいっぱいあります
( 写真説明 ) 4月15日完成した新作業棟

小規模授産施設とは

 市内には大規模授産施設として市立くすの木学園、県立富士見学園、社会福祉法人和光学園の3園があり、いづれも精神薄弱者が、就職するための生活訓練を受ける更正施設です。
 しかし、競走万能社会の時代にある程度の生産性を求める民間企業に就職し社会参加というケースはごく一部です。
 そこで小規模授産施設の存在が重要になってきます。
 大規模授産施設で生活、職業訓練を受けて就職して失敗した人や、民間企業への就職は少し無理という人を受け入れて、生産性にあまりこだわらずに作業を進め日当を支払っていくという施設です。

明るく作業しています

加藤邦利さん(62歳)原田 市民ふれあいバンク指導員
- 写真あり -

 昨年8月に開所してから、買いに来てくれた人が400人ぐらい。品物は、団体や個人の多くの人が協力して提供してくれるので、置き場所も狭いくらいたくさんいただき大変感謝しています。
 開設当初は、この場所が交通の便が悪くどうかなと思いましたが、それも年越し苦労に終わりました。いまではほとんどの家庭で車を持っていますから全市内から来てくれます。
 この施設はオープンにしていますので、近所のこどもたちが遊びに来たり、買物に来る人たちがいつもいます。作業をしている障害者は毎日健常者とふれあっているので、みんな明るくなってきました。言葉少なかった子もよく話すようになったし、あいさつもするようになりました。
 指導員としては、作業訓練する中で、障害者個人々々ができることを見い出してやり、社会に復帰できる人は社会へ送り出してやりたいと考えています。
 そのためには、忍耐力をつけなければと考え、作業の前にはラジオ体操をし、掃除もやり、体力をつけるようにしています。みんなが仲よく、明るく作業ができるよう根気よく指導していきます。
添付ファイル
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