【広報ふじ昭和58年】河川愛護月間特集
家庭雑排水が、いま・・・
再び河川が汚れ始めてる!
■市内河川の汚濁は・・・
■吉原下水道処理場に全国初の処理施設
■合成洗剤を追放しよう
■みんなで川をきれいにする運動
炊事、洗濯、風呂、トイレ・・・・・・。私たちは日常生活でたくさんの水を使っています。使った水は生活排水として、下水処理場で処理されるか、又は直接、河川に流されています。
河川は、この未処理のまま流されている生活排水によって、汚されているのです。かつて、工場排水が河川を汚したように・・・・・・。
7月は河川愛護月間。私たちの生活と深く結びついている河川について、もう一度考えてみましょう。
かつては産業排水が
まず、富士市の水質汚濁の歴史についてふり返ってみます。
富士市の水質汚濁は、主産業である紙・パルプ工場から排出される汚水が河川に流され、その汚水が田子の浦港に堆積し、みなさんもご存知のとおり、昭和46年の田子の浦港へドロ公害として発生しました。
その後、水質汚濁防止法の制定や岳南排水路の完成等により、かつての河川が色付いているという状態はなくなり、BODも基準以下となっています。これは、法令等の整備ならびに、自己処理の原則に基づく企業の処理設備、管理組織の整備などにもよるものです。しかし、最近、生活排水による河川の汚れが目立ってきています。
- 図表あり -
汚濁度No.1は和田川
水中に栄養分が多くなることを、“富栄養化”といいます。
“富栄養化“の進んだ極端な例として、長野県の諏訪湖と滋賀県のびわ湖を上げることができます。
諏訪湖では、湖水が緑のじゅうたんをを敷きつめたような色になってしまい、これは、ラン藻(も)類(アオコと呼ばれている)の大発生によるもので、湖水の汚濁による富栄養化が主原因といわれています。
また、びわ湖を抱える滋賀県では富栄養化防止のために、リンを含む合成洗剤の使用、販売の禁止等を定めた「びわ湖条例」を制定し、生活排水の規制をしています。
このように、最近では海や湖の富栄養化が急速に進み、それによる被害がひどくなってきており、水産資源の保護や海水浴、潮干狩りなどレクリェーションの保全のため、富栄養化の防止が重要な問題となっているのです。
上の円グラフをご覧ください。これは、市内の主な河川のBOD負荷量と、生活排水、工場排水の負荷割合を表わしたものです。
最も汚れている河川は和田川で、BOD負荷量が36.11グラム/立方メートル日で、他の河川と比較して極端に汚れていることがわかります。これは、和田川周辺が人口密集地帯であることと、川の水量が少ないことが原因としてあげられます。このように、市内の川の汚れのほとんどは、生活排水によって占められています。
また、河川に生息する生物についても、汚濁に強いものと弱いものがあり、その河川に棲む生物を知ることによって、河川の汚濁具合を知ることができます。
■用語解脱
BOD(生物化学的酸素要求量)
水中の有機物が微生物の働きによって分解されるときに消費される酸素の量で、河川の有機汚濁を測る代表的な指標
COD(化学的酸素要求量)
水中の有機物を酸化剤で化学的に分解した際に消費される酸素の量で、湖沼、海域の有機汚濁を測る代表的な指標
SS(浮遊物質量)
水中に浮遊している微細な固型物の量
*これらの指標は一般に数値が高いほど汚濁が進んでいることを示します。
なお、単位のppmはmg毎リットルと同じです。
急がれる下水道整備
富士市の普及率は26パーセント
家庭から出される生活排水は台所、洗濯、風呂等の家庭雑排水と、し尿とに分けられます。
下水処理施設は、これらの生活排水を処理する施設です。
市内には、西部浄化センター、吉原下水処理場、富士見台下水処理場の3か所が運転稼動中で、これに東部地区を対象とした、東部下水処理場の建設が計画されています。
各施設の処理能力は、西部浄化センター4万9,000人、吉原処理場2万4,000人、富士見台処理場1万1,000人となっています。現在の処理状態は、吉原処理区が満杯、富士処理区と富士見台処理区は2分の1程度です。したがって、富士市の下水道普及率は、26.3パーセントで、全国平均の30パーセントより、やや下回っています。
なお、富士処理区については、下水管の敷設をすすめているので、今後さらに処理人口は増えていきます。
これらの下水処理施設とは別に、し尿のみを処理する施設として、汲取りし尿処理施設と単独し尿浄化槽システムがあります。参考までに、建設省が行った各システムのBOD1人当たり除去率をみると、単独し尿浄化槽システムが19.1パーセント、汲取りし尿処理システムが26.6パーセント、下水道システムが90パーセントとなっています。なお、この数値は、家庭雑排水とし尿を合わせたものです。
し尿浄化槽の適正管理も
初めにも述べたように、産業排水については、水質汚濁防止法の排水規制などによって対策が進み、その効果が現れていますが、水質汚濁のもう一方の発生源である生活排水については、対策がなかなか進まないという問題があります。
生活排水対策としては、下水道の整備が最も必要とされていますが、下水道の整備には多額の費用と年月がかかります。そこで、各家庭で心がけていただきたいことは、台所の「流し」には目の細い網をつけたり、食べかす、食用油などを流さないようにしていただくこと。また、し尿浄化槽の利用家庭では、浄化槽の維持管理の適正化を図っていただくことが大切です。
全国でも初の処理施設
吉原下水処理場に新方式
河川の浄化作用を採用
生活排水対策として、下水処理施設が必要であることを、理解していただけたと思いますが、市は吉原下水処理場に「礫間(れきかん)接触酸化法」としいう、下水道施設としては全国でも初めての汚水処理方式を採用しました。
これは、汚水が割石の間を流れていくうちに水をきれいにしていく、というもので、幅4メートル、探さ5.6メートル、長さ46メートルの水槽2基を地下に造り、水槽の中にぎっしり割石を詰め、汚水を流し底から空気を送るというものです。
この方式の特徴は、今までの処理施設と比べて、維持管理がほとんどかからないことと、処理後の汚泥が少ないことにあります。また、石の上に土をかぶせてあるため、臭いを消す作用もしています。
処理能力は、1日2,400トン。建設費は普通の施設よりやや高めですが、維持管理費がほとんどかかりません。
この方式は、小規模なものとしてはすでに実用化されているものの、このように大規模なものとしては初めてのため、多くの関係機関から注目を集めています。
- 写真あり -
( 写真説明 ) 和田川を水質調査する公害課職員
( 写真説明 ) 金魚さん大きくなってネ・・・・・・
( 写真説明 ) 滝川上流で
( 写真説明 ) 割石を敷き詰めた「礫間接触酸化法」
合成洗剤を追放しよう!
市消費者連が運動を展開
河川や海を汚すばかりでなく、健康にも害がある合成洗剤を追放しよう−と富士市消費者運動連絡会は、合成洗剤追放運動をすすめています。
街頭キャンペーンや消費者講座などを開き、合成洗剤の有害性を主婦たちに訴えるとともに、「贈らない、もらわない、買わない」の3ない運動を提唱。
同連絡会では、「最近は、合成洗剤の無リン化ということもあって、せっけん使用は低下しています。しかし、無リンも合成洗剤、与える影響は同じ。」と、せっけんへの切替えを強く訴えています。
- 写真あり -
( 写真説明 ) 業者・消費者・行政の3者による話し合い
( 写真説明 ) 合成洗剤追放の街頭キャンペーン
美しく正しく安全に使用
川をきれいにする運動を実施
市は、「第3回 みんなで川をきれいにする運動」を7月・8月の2か月間にわたり実施します。運動期間中に河川パトロールや街頭PRなどを行い、河川美化を呼びかけていきます。
私たちの大切な河川を、汚さず・壊さず、守り育てていきましょう。
「河川愛護コンテスト」を開催
入賞作品はパピーに展示 8月17日〜8月22日
運動の一環として、「第1回河川愛護写真コンテスト」を開きます。
☆テーマ
・水と人の生活・川の利用・河川美化活動のいすれか
☆応募規定
・作品はカラープリントの場合
六ツ切以上
・白黒は四ツ切以上
☆応募締切
8月5日まで(当日消印有効)
☆応募先先及び問合せ先
〒417 市内永田61-1 建設部河川課 内線354
- 図表あり -
( 図表説明 ) 川をきれいにする運動期間中の主な行事
- 写真あり -
( 写真説明 ) 西宮島の老人会による下堀の清掃
添付ファイル
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