富士市 FUJI CITY Official Site

富士市
広報ふじ > 昭和55年 > 昭和55年5月25日 296号 > 【広報ふじ昭和55年】使って便利というけれど 合成洗剤から石けんへ

【広報ふじ昭和55年】使って便利というけれど 合成洗剤から石けんへ

 最近、全国各地で、合成洗剤から粉石けんに切り替えよう−という運動が盛り上がっています。
“使いやすくて便利”ということで、台所用・洗濯用の洗剤として家庭で使われている合成洗剤。しかし、合成洗剤は環境汚染や人体に悪影響を及ぼすともいわれています。
 市消費者運動連絡会は、洗剤についての講演会や市役所2階に石けん相談コーナーを設け、合成洗剤を粉石けんに切り替えるよう呼びかけています。
 そこで、合成洗剤による影響、また石けんとの違いについて考えてみましょう。

便利さよりも安全性

 洗剤には、石けんと合成洗剤の2種類があります。
 石けんの歴史は古く、今からやく2,000年も前に、動物の脂と灰を混ぜて使われていました。
 合成洗剤は、ドイツが第一次世界大戦のとき、石炭から造ったのがはじまりです。その後、アメリカが、第二次世界大戦のとき石油から合成洗剤を造りました。
 日本でも、昭和36年ごろから、電気洗濯機の普及とともに、一般家庭でも急激に消費量が増え、現在、洗剤全体の85パーセントを占め、完全に石けんを上回っています。


■手あれやおむつかぶれが

 先にも述べたように、石けんと合成洗剤の違いは、原料にあります。
 現在、一般家庭で使われている石けんは、動・植物性の油脂を主原科に、カセイソーダーを加えて造ります。
 合成洗剤の場合は、石油を原料として、数種類の化学物質を加えて造ります。そこで問題になるのは、その中の主成分である、汚れを落とす合成界面活性剤とそれを助けるリンです。
 合成界面活性剤が、家庭排水として多量に下水処理場に流された場合、汚水の浄化作用を極端ににぶらせます。
 ご承知のように、下水処理場は、流れ込んだ汚水を微生物に食べさせて浄化します。
 しかし、合成界面活性剤が多量に流れ込むと、微生物の繁殖が弱まり浄化活動が低下してしまいます。
 また、手あれや湿疹などを起こし、赤ちゃんのオムツかぶれの原因にもなるといわれています。
 もう一方のリンは、チッソ・カリと共に植物の三大栄養素の一つです。
 このリンは、現在の下水処理施設では完全に除去されず、その多くが河川に流されます。
 このことは、全国どこの処理施設でも問題点となっています。


■赤潮発生の原因にも

 処理場でリンを除去するには、現在の2次処理法から3次処理法に変えなければならず、ぼう大な費用がかかります。
 河川や海洋に流されたリンは、河川では富栄養化による“も”の異常発生、海洋ではプランクトンが大量に繁殖し、赤潮公害の原因になります。
 滋賀県では、昨年の10月に琵琶湖に流れ込むチッ素・リンを防ぐため「琵琶湖の富栄養化条例」を制定し湖を環境汚染から守ろうと、積極的にこの運動に取り組んでいます。
 このような動きは、諏訪湖をかかえる長野県にも拡がっています。


■富士見台処理場にスカムが発生

 市内の富士見台下水処理場でもアワ状のスカムと呼ばれる浮遊物質が多量に発生しています。
 この処理場は、団地に住む1,700世帯(5,000人)の家庭排水1日平均2,000トンを処理しています。
 アワ状のスカムは、汚水処理の効率を悪くするばかりか、これを処理するための費用もかかるため、予期せぬやっかい物とされています。
 発生原因は現在、調査中ですが他市の例から見ても合成洗剤に何らかの関係があると思われます。
- 写真あり -
( 写真説明 ) 富士見台下水処理場


■市庁舎2階に石けん相談コーナー

 それでは実際に合成洗剤が一般家庭でどれだけ使われているでしょうか。
 市連合婦人会が、市内の主婦957人を対象に行ったアンケート調査をみると、90パーセントの人が合成洗剤、残り10パーセントが石けんを使っています。
 市消費者運動連絡会は、「粉石けんは手に入りにくいという声を聞きますが、スーパーなどにも相当でまわってきました。これからも、石けん製品を店頭に置くよう呼びかけていきます」と話していました。
 また、同会は市庁舎2階の市民生活課前に、石けん相談コーナーを設け、毎週火曜日に相談を受けています。
 自分たちの生命、環境を守るためにも、これからは、便利さよりも安全性を考えていく必要があるのではないでしょうか。
添付ファイル
※PDFを初めてご覧になる方は、ソフト(Adobe Reader)のダウンロードが必要です。
「Get Adobe Reader」のボタンをクリックし、説明に従いAdobe Readerをダウンロードして下さい。
Get Adobe Reader
広報広聴課 (市庁舎8階北側)
電話:0545-55-2700 ファクス:0545-51-1456
メールアドレス:kouhou@div.city.fuji.shizuoka.jp
〒417-8601 静岡県富士市永田町1丁目100番地 電話 0545-51-0123 ファクス 0545-51-1456
E-mail kouhou@div.city.fuji.shizuoka.jp