【広報ふじ昭和51年】なぜ?衛生的なはずの浄化槽が臭うのは…
暦の上では、6月11日が入梅−今年もうっとうしい梅雨(つゆ)がやって来ます。それでなくてさえ、不快指数がぐんと跳ね上がるこの時期に、衛生的なはずの水洗トイレが悪臭をまき散らし、それこそ近所迷惑−。田植えも重なるこの時期から秋にかけては、毎年“黄害”苦情の増える季節でもあります。川や海を“黄害”から守るために大切な役目を果している浄化槽も、適正な管理をおこたると苦情の発生源となります。浄化槽を正しく使って、快適な夏を過ごしましょう。
増えつづける浄化槽 市内では毎月140世帯が…
生活水準の向上と衛生思想の普及によって、近年、急激に増えて来た水洗トイレ−。この水洗トイレの普及に大いに貢献しているのが、何といっても浄化槽です。富士保健所環境衛生課のまとめによると、51年3月末現在、浄化槽を使って水洗トイレにしている家庭は、市内で約8,300世帯、これに無届けの分を入れるとかなりの普及率となっており、昨年同期は6,600世帯だったからこの1年間でざっと1,700世帯、毎月140世帯が浄化槽の水洗トイレに切り換えたり、新設したりしている勘定になり、いきおい苦情も増えてこようというもの。
◇苦情は毎月約10件
生活に関連した家庭から出る廃棄物による環境汚染は、実際、今ではその質こそ違え、産業廃棄物にほぼ匹敵するといわれ、ごく限られた範囲の局所的な公害問題ではあるか、その地域の人達にとって見れば産業公害と何ら変らない大変迷惑なものであることには変りありません。最近、富士保健所が、テスト的に一般家庭の浄化槽からの排水検査を行ったところ、7世帯のうち、3世帯は1年以上清掃もしないで使いっぱなし、残る4世帯のうち3世帯は消毒薬の補給も行われないまま使っていたという余りかんばしくない成績でした。このように設置後の維持管理を適正に行っていない家庭が以外に多いため、市や保健所へ持込まれるこの種の苦情は毎月10件をくだらない有様。苦情の主なものは、やはり何といっても浄化槽の放流水による二次的公害−いわゆる黄害といわれる汚物が生のまま下水に流れ出し、悪臭や飲料水へ影響するもの。また、田植の終った水田に流れ出して水稲に被害を及ぼすものなど、ちょっとした維持管理と使用方法のあやまちによって起るトラブルが大部分を占めています。
◇廃棄物の処理及び清掃に関する法令(抜すい)
・し尿処理施設及びごみ処理施設は、厚生省令で定める基準に従って維持管理しなければならない。(法)
・し尿浄化槽の正常な機能を維持するため、定期的に槽及び附属機能の状態を点検すること。(規則)
・悪臭が周囲に発散しないように必要な措置を講じ及び、カ、ハエ等の発生の防止に努めること。(規則)
決め手は適切な維持管理
浄化槽は、設置すればそのままいつまでも使用できると思われがちなため、維持管理に対する一般の関心がうすく、また、家を新築する際、建築確認申請の許可がおりて来るまでに日数がかかるため、くみ取り式トイレとして申請し、実際には水洗トイレにするという無届設置が意外に多く、市と保健所、浄化槽協会の三者が一体となって6月から市内の浄化槽パトロールを行い、1.無届設置と設置業者の指導 2.維持管理の検査などに乗り出すことになっています。しかし、黄害を無くすための決め手は何といっても各家庭が常に適切な維持管理と正しい使用方法を守ってもらう以外にはなく、富士保健所では、次のようなことを守っていただくと同時に、自分で維持管理が困難な方は浄化槽協会事務局(富士保健所内)を通じて資格のある業者に委託するなり、定例の浄化槽相談を利用するなりして、浄化槽を正しく使い、他人に迷惑をかけないようご協力を呼びかけています。
◇し尿浄化槽相談をご利用ください
◎毎月 第3水曜日 9時〜12時
◎市役所市民相談室
浄化槽はお宅専用の汚水処理場
浄化槽を正しく使うために…
■設置するときは……
・新設は市役所建設部管理課へ、くみ取り式を改造するときは富士保健所へ設置届を出してください。
■維持管理は定期的に……
・汚泥の点検・調整・除去を確実に
・モーターなどの保守点検
・消毒薬の点検・補給
■使用上の注意……
・バクテリアを繁殖するため、モーターの電源は切らないでください。
・便器の掃除に劇薬や洗剤は使わないでください。
・洗じょう水は、1日1人につき50リットル必要です。使用後は水をきちんと流してください。
・白いトイレットぺ−バーだけを使うようにしましょう。
- 写真あり -
( 写真説明 ) 消毒薬の点検補給も定期的に…
主婦も浄化槽の勉強をして正しく使いましょう
主婦 斉藤静江さん =八王子町2丁目=
- 写真あり -
わが家に待望の水洗トイレができたとき手放しで喜びました。これからは汲取りもいらず、そのまま、いつまでも使える便利なものができたとつい先頃まで思っていましたが、いろいろ聞いてみると、トイレの使い方や管理などの面でやはり常に注意していないと他人に迷惑がかかることがわかりました。特に、浄化槽の中にバクテリアがいて大変役立っていることなどわかりました。いま、わたしにできることですか?。そうですね。便器の掃除に薬品や洗剤を使わないこと。ときどき消毒薬を点検すること。モーターの電源を切らないよう注意すること。新聞紙などをトイレの中に持込まないようトイレットペーパーをいつも補充しておくこと。このぐらいでしょうか。清潔で本当に便利ですが、主婦もおおいに勉強して水洗トイレを正しく使うよう責任を持つべきでしょうね。
添付ファイル
※PDFを初めてご覧になる方は、ソフト(Adobe Reader)のダウンロードが必要です。
「Get Adobe Reader」のボタンをクリックし、説明に従いAdobe Readerをダウンロードして下さい。
広報広聴課 (市庁舎8階北側)
電話:0545-55-2700 ファクス:0545-51-1456
メールアドレス:kouhou@div.city.fuji.shizuoka.jp