広報よしわら 昭和41年12月に富士市と鷹岡町と合併した吉原市広報紙の全記録

昭和41年 1月20日発行 内容

成人の日をむかえて

ことし祝福される若者は1,327人だという。あなたがたは、日本の一番ドン底の苦難期に幼少年期を育ってきた。だから生命力は人一倍つよいと思う。ここに登場した仲間は、20歳の未来をこう語ってくれた。

◎おめでとう20歳
吉原市長 斉藤滋与史
‐ 写真あり ‐
 成人をむかえられたみなさん、まず自己の職分に最善をつくすという余裕ある堅実な歩みを続けてください。人生の価値は、必ずしも地位の高低や仕事のいかんにあるのではありません。なにびとも自己に与えられた仕事に愛情をもち、それに全力をつくすところに人間として、また社会人として喜びもあり貴さもあると思うのであります。わたくしはみなさんのこうしたひたむきな努力、着実な歩みの中にこそ人生の真の幸福がもたらされ、やがてはそれが国家社会の繁栄につながる道であると確く信じています。
 “成人”ほんとうにおめでとう。

◎他人の人格を尊重
後藤光宏(学生)
 「この間まで子供だと思っていたら、もう成人を迎えるようになったんだなあー。」最近よくこんなことを言われるが、どうもピーンとこない。親のスネをかじっているからだろうか。でも事実20歳になってしまった。ただなんとなく…。自分でもばくぜんとしている。
 しかし、独立の人格として、社会人の仲間入りをし、選挙権を始め、法律に規定されたいろいろな権利を完全に行使できる能力を認められる以上自分かってなことはできない。
 私にとって成人は、学業を終え、就職した日となろうが、おとなの自覚として、まず他人の人格を尊重し、社会の一員として、はずかしくない生活態度を身につけるよう努力したい。
 他人と話すときでも振舞や外観で人を判断せずその人が、どんな気心の持主であるかを充分にわきまえなければならない
 さいわい、国民の祝日の一つとして「成人の日」も定められ、国民全体が私たちを祝い励ましてくれる。たんなるお祭り気分だけでなく、きっと心から祝ってくれるだろう。
 私も、これら多くの先輩たちの期待にそむくことなく、自分の行動には責任をもち、時の流れにのりおくれることのない社会人として、自分の道を進みたい。(西滝川町)
‐ 写真あり ‐
(写真説明)・・・「そこに山があるから」といってニガ笑いの山男 後藤さん

◎苦労に勝つ人間に
大竹佳代子(学生)
 私は昭和20年7月生まれの終戦っ子です。食事のあとなどで、父母や姉たちが戦争の頃のことを話すことがあります。空襲警報が鳴るとうまれたばかりの私をだっこして防空ごうにかけこんだそうですが、日産が爆撃されたときなど急だったので、私を部屋のまんなかに寝かせたまま、皆しておし入れに入ったっけ、などと笑い話をすることがあります。
 そんなときにうまれた私も、成人式を迎える年になりましたいままでは子どもだからといって回りの人たちが、甘えさせてくださいましたが、急に成人の日を迎えて「おとな」に扱ってくれると思うとひどく重荷をしょわされたような感じです。
 私たちは、普段ちょこっとしたことで、神経質になって心をきずつけたり、悲しんだりすることがしばしばありますが、そんなことでくじけてはいけないと思います。希望を大きく目標を高くもってそれらを実現させる努力をして行きたいと思います。そうして行くうちにも、もっと大きな苦しみに合うことがあるかもしれませんが、これらにもたえていかれるような人になりたいと思います。
 私はまだ学生で何も出来ませんが、卒業したらこのみだれやすい世の中で、人の心をやわらげ温める音楽をさかんにして社会を明るくすることが出来たら幸福だと思っております(宇東川3丁目)。
‐ 写真あり ‐
(写真説明)・・・ピアノを弾くときが一番楽しいという大竹さん

◎あせらず着実に歩む
中村由里子(事務員)
 第二の人生への門出、20歳!一人で考え一人で処理していかなければならない多くの問題をかかえているだけに、すごくこわい。でも、今からこんなことでは進歩することはできない
 今まで歩んできた道も決して平坦なものではありませんでした。これから、ぶつかる山谷はより高い山、より深い谷となるでしょう。
 このため中途はんぱな考えでは、この山谷をこえていくことはできないと思っています。
 私は、自分の考えをしっかりもち、山谷をこえていきあせらず、一歩一歩地についた歩みで・・・・
 時間のかかる歩みでもその山頂にたどりつけばきっと輝かしい人生があるはずです。
 まだまだ小さなカラをかぶった私の考えでは、いつかはきっと大きな問題にぶつかるでしょう。その時には両親を始め大きな考えで社会の荒海をおよいでいる先輩に相談し、解決していきたい。少しでも完成された人間として、社会の中でおよぐことのできるよう…。(南町)
‐ 写真あり ‐
(写真説明)・・・先輩はいい人ばかり職場が楽しいという中村さん
‐ イラストあり ‐
(イラスト説明)・・・さあ人生山征服への第一歩 きびしいが頑張るぞ

◎よき市民に最善を
鶴岡秀子(店員)
 今までは、なにをやるにも半人前。しかし、これからはちがいます。私も満20歳大人の世界に仲間入りをさせていただくのです。成人の喜びを胸に、思うぞんぶん頑張るよう努力します。
 私たち今年の成人者は昭和21年の終戦時に生まれ、戦争当時の苦労も知らず、のんびりとした今日まで過ごしてきました。それだけに、これからが大変です。でも若さがあります。
 私たち青年男女が、しっかり手をつなぎ一致団結して前進すれば、きっと良い結果がでます。吉原市もより以上明るい街住みよい街となるでしょう。私は、今後吉原市の発展のために努力をおしみません。
 また、選挙権を獲得したことも、国民の一人として満足です。よりよい政治をおこなっていただくためにも、より一層の知識を身につけ、秩序ある生活を送るよう力いっぱい努力します(大和町)。
‐ 写真あり ‐
(写真説明)・・・品物を憶えるのに苦労しましたという鶴岡さん

おしらせ

◎20歳になった 国民年金に加入を
 1月15日は成人の日。日本では満20歳になると法律的にも社会的にも一人前の扱いをうけ、成人としてのあらゆる権利や義務があたえられます。
 20歳になって、社会人として実社会にスタートするみなさんが、とかく忘れがちな義務のひとつに、“国民年金に加入の義務”があります。国民年金は、20歳以上60歳未満の国民で厚生年金保険や各種の共済組合に加入していないひとが、必ず加入しなければならない年金制度です。
 20歳になったばかりのひとは、年金など遠い将来のことだと考えがちで、国民年金の加入についても関心がうすいようです。しかし現代のように機械化された生活環境のなかでは、いつ不慮の災難にあうかわかりません。明るい福祉国家を築くため国民年金制度を再認識して、必ず加入手続きをしておきたいものです。
 加入の手続きは、加入者でも世帯主でもできます。必ず市保険課または各支所へ印鑑をもって届けでてください。
 なお、満20歳になったひとには、市役所から往復はがきでお知らせしますから、返信用はがきに必要事項を記入して必ず返送してください。

◎今月の納税
県市民税 第4期
保険税  第10期
未納の方はお早めに

◎“保母”試験の要領きまる
 昭和40年度第2回保母試験が次のようにおこなわれます。
▽試験日 2月22日から25日まで
▽試験場所 静岡市曲金 県社会福祉会館
▽願書の受け付け 1月20日から2月3日まで(願書は市福祉事務所に用意してあります)
▽願書の提出先 静岡市追手町251 県民生労働部児童課(郵送のばあいは書留。表に保母試験受験願書在中と朱書する)
▽受験料 500円(受験票送付用の5円切手が必要)
▽受験資格
(1)高等学校を卒業したひと(旧制中学校を卒業したひとを含む)または通常の課程による12年の学校教育を受けたひと、もしくは文部大臣が資格があると認定したひと
(2)満18歳以後児童福祉施設で3年以上児童保護に従事したひと

◎身の上相談所開設
 吉原人権擁護委員協議会と静岡地方法務局(吉原支局)は、“無料人権身の上相談所”を次のように開設します。
 人権問題で悩み事をおもちの方は、気軽にご利用ください。
◇とき 1月28日10時から15時まで
◇ところ 市民会館