広報よしわら 昭和41年12月に富士市と鷹岡町と合併した吉原市広報紙の全記録

昭和40年 10月20日発行 内容

東平遺跡発掘
奈良平安時代のもの 日本一の規模を実証

‐ 写真あり ‐

 私たちはよく長老の口から、郷土資料から「吉原は5,000年も前からひらけていた」と聞きます。それは、吉永地区に発見された古代の住居跡、原田地区の縄文式土器、須津地区の琴平古墳などで知ることができます。しかしもっと知りたい、1,500年から1,000年以前の奈良、平安時代の先人の生活文化は、あまり解明されないまま今日にいたってきています。
 ところが、十数年前、伝法地区(別掲案内図)の畑にそれらしき時代の土器のカケラが発見され、郷土考古学者の注視を集めたのです。それが、いわゆる「東平遺跡」です。それいらいこの遺跡は、何回となく現場調査が行われてきたものですが、たまたま遺跡付近を東名高速道路が通過するため、急きょ発掘調査することになり、教育委員会が主管し、吉原一中中野国雄先生が主任となり、9月20日から10月10日まで、延べ1,200人を動員して発掘されました。
 それでは、みなさんと私たちの先人の生活文化をみることにしましょう。

■住居跡101みつかる
 東平遺跡は、東名高速道路が伝法町を通過するため道路公団が主体とり、県文化財保存協会、市教育委員会が協力して発掘調査がおこなわれたものです。
 その結果101個の住居跡が発見され、49個の長野県の平出遺跡をはるかにうわまわる日本一の集落であることが実証されました。
 発掘は、一中、二中、吉高、吉工生徒など、1,200人が協力しておこなわれましたが、これからは集落の形態、人員構造、生活様式が研究されるわけです。

■矢じり・カマ・めのう玉も
 発掘面積は、遺跡全体の約10分の1にあたる1万6,000平方メートルで、六ヶ所に分けられています。別掲図のAからは17個、Bから6個、Cから31個、Dから18個、Eから20個、Fから9個と計101個の竪穴式住居跡が発掘されました。
 そのほか建物では堀立柱建造物8棟が発掘され、条里制に基づいた集落をつくっていたことがわかりました。
 出土した遺物には、土師器(はじき)の長がめ、広口壺、坏(つき)、須恵器のふた付坏などがあり、奈良から平安時代初めの遺跡であることが、推定されたわけです。そのほか鉄製品の刀子(小刀)、矢じり、カマや錫板、めのう玉など1,000点が発見されました。
 竪穴式住居は、単独のものと重複しているものがあり、重複しているものは少なくて2つ、多いのは6つの重なりがみられますので4ないし5の時期があったと考えられ、建物の耐久年数を推定して100年間くらい集落を営なんでいたということです。また住居の数はまだ発掘されていないものを考え、一時期に20個から30個の竪穴式住居があったと推定され、60人から120人のひとが住活されていたと考えられます。
 竪穴の様式は大きいものでたて7メートルよこ7メートル、小さいものはたて2メートルよこ2メートルで、規模は全体に小さく、5人から2人ぐらいのひとが生活したとみられます。

■政治的につくられたもの
 東平は海抜約30メートルのところにあり、火山灰土の乾燥したところですから、畑作主体の農村で、水は国窪の谷や三日市浅間社に汲みにいったものと思われ、立地条件は悪く、すでに律令国家が成立されていたときですから、条里制に組みこまれたものと想像されます。
 また東平遺跡は、「日本書紀」にでてくる富士郡久弐郷の一部で、定額寺の法照寺(三日市浅間神社にあった)に租、庸、調の税を提供するために、政治的につくられた集落だったとも考えられます。

■歴史上からも貴重な資料
 この東平遺跡が約100年の集落生活で終わっているのは、住居跡からスコリヤ(火山砂)がでてくるところから、今から約1,200年前の延暦19年に富士山が大噴火したため、集落をすてたのではないかと思われます。
 発掘主任の中の先生は「奈良平安時代の遺跡発掘数は少なく、いままで文献だけでしか判らなかったものを、具体的に明らかにするということで、日本の歴史を解きあかすうえに、たいへん貴重な遺跡だと思います」。
 現在測量がおこなわれており、そのあと測量図、写真、遺物の整理が中野先生を中心におこなわれ、報告書がつくられるのに約2年予定されており、いまからその研究の成果が各方面から期待されています。
※租庸調…租は田地に対する税、庸は労力、調は地方の生物。

‐ 図表あり ‐

こちらは市役所です(10)

■総務課の巻

 総務課は、本庁舎中央路の右側と、本庁舎西側建物内の1階に計算室が2階に分室(管財係、登記係)がそれぞれおかれ篠田忠雄課長以下41名です。
 総務課といえば、まず財政…財政係、ここは国でいえば“大蔵省”にあたるところ。みなさんの大切な税金をもとに市の歳入、歳出の予算をたて、つねに収支のバランスをとり、いわばおかあさん役の仕事をしています。
 市役所庁舎や学校、また市民会館、図書館、体育館など市有財産の管理を行っているのが管財係です。市有物には、車輌や電話などもあり、これらの管理も行っています。
 また、市有財産の登記は、登記係で行っています。
 自動車の増加にともない交通事故がたえないこのごろ、防災係では「吉原交通安全対策協議会」を設け、交通安全に関する仕事をしています。
 その一環として、学校や幼稚園などで交通教室を開き、正しい道路の歩き方、正しい道路の渡り方など、交通規則の指導を行っています。  また、消防団に関する仕事もこの係で行っています。
 計算係では、各課では、各課で出された市税や水道料、また職員の給与などの計算を、電子計算機によって計算しています。またこの係では、タイプライターもうけもっています。
 その他、事務関係の仕事をうけもつ庶務係に分かれています。この係では、市議会議案の作成をおもな仕事とし、各町内の嘱託員との連絡場所でもあります。

‐ 写真あり ‐
(写真説明)・・・児童を守ろう‐交通安全教室は防災係の仕事だ

くらしの便利帳

◇新しい歯ブラシ
あたらしい歯ブラシを買ったら、使うまえに熱湯につけて、さめるまで放っておきます。さめたらとり出してよくかわいてから使うと、消毒にもなるし、もちがよくなります。
◇魚のくさみ
魚つりに出かけた帰りに、魚やエサのくさみが手についていやなことがあります。そういうときには、酢を水にいれて洗うとほとんどとれます、お魚を料理したあとの手も同じことです。

◎市役所執務時間かわる
市役所の執務時間が11月1日から、次のようにかわります。ご用の方は、お間違いのないようにお願いします。
・執務はじめ(平日)8時45分から
・執務おわり 16時30分
※土曜日は8時45分から正午まで。

◎みんなで義援金を アグリガン島遭難家族に
 10月7日の台風29号のため、南太平洋アグリガン島付近の海峡で遭難された本県漁船の行方不明200余人の遺族は、“夫や子どもの生きて帰ることを信じつつ”毎日不安な生活をおくっています。
 ついては、市民の方で、この遺家族に愛の義援金を寄せられたい方は、11月末日まで、福祉事務所で受け付けていますのでお知らせします。

青少年育成標語 あの子もこの子もみんなの子

市民の動き(9月30日現在)

男 4万5,805
女 4万5,053
計 9万858
世帯数 2万489