広報よしわら 昭和41年12月に富士市と鷹岡町と合併した吉原市広報紙の全記録

昭和40年 4月20日発行 内容

貿易港へ航路ひらく田子の浦港
1万トン級が入港 “初の外国船を盛大に歓迎”

 岳南工業地帯(吉原市、富士市、鷹岡町)の表玄関口として築港が進められている田子の浦港が進められている田子の浦港は、日増しに南工業港としての装いを深め、去る4月12日には、初の1万トン級のノルウェー貨物船「ソールフリッド号(B・ニコライセン船長=9,692トン)」が、港わきに建設された日本食品化工のコンスターチ(澱粉)の原料、トウモロコシを積載して入港し、いよいよ本格的な活動を開始しました。

 田子の浦港は、昭和33年港湾技術の枠を結集して、堀り込み式という工法で建設がはじめられ、中でも築堤は港口部が漂流土砂と駿河湾の荒波をまともに受けて難行し、そのうえ同年9月の22号、34年9月の伊勢湾台風で大きな被害を出すなど一時は築港が危ぶまれました。しかし、人間技術の巨大なメスは着実に田子の浦港を整型しなおし、36年8月、第一船の入港とともに待望の航路が開けたのであります。さらに昨年は、国の重要港湾の指定を受けるなど、その進捗(しんちょく)はめざましく、完成の45年には、泊地総面積45万平方メートル、1万トン3バース、5,000トン8バース、3,000トン10バースで、年間250万トンの貨物扱いができる規模となります。
 この築港が進むにつれ、港の周辺には食品、薬品、セメント工場、石油基地など大手企業が続々進出し、すでに食品コンビナートは操業を開始するなど、地域経済に大きな役割を果たそうとしています。ちなみに昨年1年間の入港船舶は汽船1,469隻、機帆船1,245隻、出入貨物量は、鉱物類の69万トンを筆頭に79万トンとなり、40年は130万トンの荷役が予想されています。
 このように清水港と並ぶ県内2大商工業港へ“国際貿易港へ”と無限の航路を開こうとする田子の浦港に、待望の大型外国船「ソールフリッド号」が、アメリカのニューオーリンズからトウモロコシ7,000トンを積載して入港しました。外国船入港の第1号をむかえ、さっそく県、吉原、富士の両市では、午後1時から中央ふ頭で歓迎会を開き、B・ニコライ船長航海長らに花束や日本人形を贈って、盛大に歓迎しました。斉藤市長は「ソールフリッド号の入港は、当地区発展の歴史に輝かしい1頁を加えるもので、誠に意義深いものがあり、私たちの大きな喜びであります‐この度のみなさん方のご来訪によって生まれた私たちの友情が“きづな”となって、これからノルウェーと日本両国民の相互の信頼と理解を深める親善のかけはしとなるならば、これにこした喜びはありません‐」とメッセージを贈りました。
 このノルウェー船に続き、19日にはキリシャ船「パールストン号=9,000トン級」が入港するなど、やがて国際色も豊かに出船入船で賑わう、この港内から、富士の峰にこどまするドラの音は、栄えゆく岳南工港のシンボルとなることでしょう‐。

‐ 写真あり ‐
(写真説明)・・・写真(上)外国船入港第1号の「ソールフリッド号」(左)タラップを降り歓迎に応えるB・ニコライセン船長ら(右)振袖姿のお嬢さんから花束を受ける乗組員‐)

市民の動き(3月31日現在)

男 4万5,081
女 4万4,198
計 8万9,279
世帯数 1万9,863

青少年育成標語 あの子もこの子もみんなの子