広報よしわら 昭和41年12月に富士市と鷹岡町と合併した吉原市広報紙の全記録

昭和40年 3月20日発行 内容

緑茶やうし肉ブタなど 大淵農業構造改善事業

■農道づくり大半完工

昭和37年度から3ヵ年計画で始められて、須津地区の農業構造改善事業について、大淵地区で第二次農業構造改善事業が、昭和39年度から3ヵ年計画で始められています。

 そこでこの号では、近代農業の旗頭、農業構造改善事業についてみてみることにしましょう。
 大淵地区の農業経営は、作目が雑多で、労働力、資本が分散されています。また土地基盤が悪いため生涯高は低く、畑作専門のため旱ばつなどの被害も多く、経営が非常に不安定になっています。
 そこで市農政課では、次のような基本的な計画をあて、構造的欠かんを根本的に改善することにしました。
1 基幹作目の選定
雑多な作目を整理し、機械化一貫作業のできるもの、また生産高の多いもの、産地化の見通しのあるものなどを検討し、緑茶、麦、甘諸、肉豚の作目を選びました。
2 自立農家の育成
耕地1ヘクタール以上の農家を自立農家として育成することを目標とし、1.5ヘクタール以上の農家は全部茶園、1.5ヘクタール以下の農家は茶と豚の複合経営を目的とさせる。
3 土地基盤整備
各耕地に大型機械、運搬自動車が入れるように農道を整備し、富士マサ抜き事業(特殊土壌改良)を行い、生産を高める。
4 協業化の促進
農協を中心に、指導体制生産販売体制を整備する。

■所得は軽く倍増 近々共同防除施設も着工

 それでは現在どのような工事が行われ、40年度、41年度の計画にはどのようなものがあるか見てみますと、
 まず基盤となる農道は、幹線1号から5号まで総延長3,784メートル、工費は4,271万円をかけてつくられますが、現在1、3、4号の1,812メートルにわたって工事が行われています。
 土壌改良は、富士マサといわれる特殊地層を破砕するためブルドーザー、リッパーを使い地下約50センチメートルを掘り起こすもので、全体の25%にあたる5ヘクタールのマサ抜きを終わっています。
 経営近代化施設として、共同防除施設(約100万円)緑茶加工施設(約1,200万円)トラクター(約700万円)コンバイン(230万円)飼料調製所(1,230万円)の設備がつくられます。
 そのほか、融資単独事業として、品種茶の植栽を20ヘクタール行う。植栽用苗は現在農協で58万本を育てています。また現在多く行われている豚の少数飼育を多頭飼育するため、能率的で、衛生的な豚舎を作るなどの計画もあります。
 以上のような改善事業が完成すると、機械化され、一貫作業となるので生産高が増え、労働力が少なくてすむため、大幅は所得の増加が見込まれます。
 完成後は、農業所得がどのように増えるかみてみますと、茶専業経営で37万円が90万円に、茶肉豚経営で43万円が104万円となる見込みです。
◇富士マサとは 富士火山灰でおおわれている水を透さない地層で、雨が降ると表土を浮きあがらせ、耕地をけずってしまうものです。

‐ 写真あり ‐
(写真説明)・・・急ピッチで進められる農道づくり(穴原町1丁目で)

労災保険に必ず加入を 近く法律も改正

 商店、サービス業者、小工場などのために、現在、所属している事業協同組合商店会、失業保険組合などを通じて労災保険に団体で加入できることになりました。
 近く労災保険法が改正されることになり、使用人を一人でも使っていると、労災保険に加入しなくてはならなくなります。最近は交通事故の増加などで労災保険に入っていなければ、安心して従業員を外に使いにもやれないような状態です。1日も早く労災保険に加入して、安心して事業に専念できるようにしましょう。
 くわしくは所属の団体、商工会議所、吉原労働基準監督署へお問い合わせください。
※労災保険の年度切替報告書の提出期限は4月15日ですから早めに提出してください。

こちらは市役所です(3)

◎農政課の巻

 本庁舎西側建物内にある農政課では、窪田課長以下21名が農業に関するいっさいの仕事をしています。
 道路建設や工場設置に伴い農地は年々減々していますが、農地係では農地法にもとづき農地の転用や、譲渡に関する仕事を行い農地が減少するのを防いでいます。振興係では、これからの農業のあり方や、新しい農業経営方法を農家のみなさんと一緒に研究し農業の近代化を図っています。また須津みかんに次いで大淵地区の茶栽培が第二次農業構造改善事業として取り上げられ、振興係の手により進められています。トマトやキュウリなどのソ菜類の大敵である土壌病害虫に対しては、農産係が定期的に防除を行うとともに、水田に寄生するニ化めい虫などの水稲病害虫に対しては、ヘリコプターによる航空防除を実施、労働力不足を補いつつ、生産の増大を図っています。この係ではまたトラクターなどの大型機械の貸し付けや、研究会の開催、豚コレラの定期的予防注射なども行っています。
※電話は農産係が内線43番、振興係が内線44番、農地・庶務係が内線45番です。

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(写真説明)・・・昨年9月旧穆中校庭で開かれた“吉原地区畜産共進会”のプロフィルから…

土木事業へ重点を 斉藤市長 40年度施政方針説明

‐ 写真あり ‐

 吉原市議会3月定例会は3月11日から会期10日間(日曜日は休会のため、3月22日まで)の予定でただいま開かれていますが1日目に斉藤市長(写真)、昭和40年度の施政方針予算案の説明をつぎのようにのべました。
(要旨)
 昭和40年度予算の審議に先立ち、とくに申し上げたいことは率直に言って当市財政の状況は、きわめて窮屈であるということであります。もとよりこれにつきましては、市勢の進展に伴い、各種財政需要が極めて活発であることに、起因するものでありまして限られた財源をもって、これら財政需要を満たすことは、如何に困難なものであるかを、痛感するものであります。予算の編成に当たっては「意余って財足らず」必ずしも市民みなさんの期待にそい得たものではないと、心から遺憾(いかん)に思っています。
 しかしながら、自治にはその自治体に相応しい財政規模があり、これを逸脱(いつだつ)しての財政規模の拡大は、いたずらに将来に禍痕(かこん)を残すことにもなりますので、あくまで健全財政に立脚して予算を編成しました。  財政投資に当たっては、限られた財源を最も効率的、かつ経済的に運用してまいりたいと存じております。
 もとより本予算を以て、総てが事足れりとすることなく、当面問題となっている、水対策問題などについては専門委員会等の審議の過程を経て、積極的に施策を講じてまいる所存であります。
 昭和40年度予算の編成にあたりましては、先ず国の経済の動向を見極める必要がありまして、その動向としては、一昨年末の過熱経済の動きに水をかけるため、昨年暮の公定歩合の引き上げをはじめとする、一連の抑制政策が効を奏し、浸透の度を深めた反面、ムード不況が一般化したために民間投資は手控え気味であることと、国の予算においても、安定成長を目指す経済計画を反映して、引き締め基調であり、これに伴い地方財政も、当然これが制約を受けることが予想され、地方歳入に大きく影響し、税収入の鈍化となって表われ、その景気は当分の間上向くことはないと考えられます。
 一方歳出面においても、給与改訂に伴う人件費の平年度化による増加があり、これら義務的経費の増大を抑制しつつ、公共投資の枠の拡大を図り、いかにして住民の要望に応えて行くが、当市財政運営の当面の課題であると思料されます。

■20億円上回る 一般特別の両会計

 昭和40年度予算の規模は、一般会計において14億4,240万円でありまして、前年度当初予算に比べて1億9,840万円、即ち15.9%の増加と成りました。
 特別会計につきましては本年度一般会計を増加し、18会計を増加し、18会計となり、その合計額は5億6,489万7,000円で、一般会計と併せますと、20億729万7,000円と成ったものであります。
 先ず一般会計について、歳入については財源別に、歳出については経費別に申し上げますと、歳入財源内訳は、一般財源9億4,209万円3,000円、特定財源5億30万7,000円でありまして、歳出性質別経費は、人件費4億6,103万9,000円、物件費1億4,294万円、維持補修費2,276万2,000円、扶助費補助費等2億4,147万8,000円、公債費1億201万6,000円、その他の経費4,425万7,000円、事業費4億1,909万5,000円、予備費881万3,000円となりました。
 人件費は前年にくらべ、7,707万円の増額となりましたが、その主たる原因は、前年度における公務員給与の改訂、商業高校職員の増員、学校給食2施設増加に伴う給食婦の増員、幼稚園学級増加による職員の増員によるものが、その主なるものです。
 物件費は、1億4,294万円で、前年度にくらべ903万6,000円の増額は、諸物価の高騰(こうとう)とあわせて需要費・役務費の全般にわたる需要増が原因であります。
 扶助費・補助費等については、2億4,147万8,000円となりまして、前年度にくらべ5,680余万円の増額となっておりますが、これは前年度における伝法小学校、須津小学校、大淵中学校改築に伴う地元一部立替金3,000万円、県事業臨港富士線施設費繰替金償還2,490万円の義務的経費の増加がその主なものであります。
 事業費につきましては、必ずしも充分とは申せませんが、本年度は特に土木事業を重点施策として、当面する市財政を考慮しつつ、それぞれの事業についてその重要性、緊急度、事業効果等を勘案し、年間予算として計上いたしたものでありまして、前年度に比べ4,179万余円増の、4億1,909万余円となったのであります。
※なお議会が終わりしだい、予算案などについてくわしくおしらせします。

おしらせ

4月1日から市役所の執務時間が次のように変わります。
◇開始 午前8時15分
◇終了 午後4時45分
※ただし、土曜日は正午で終了します。

市民の動き(2月28日現在)

男 4万4,869
女 4万3,932
計 8万8,801
世帯数 1万9,695

青少年育成標語 青少年は国の花、みんなきれいに咲かせましょう