広報よしわら 昭和41年12月に富士市と鷹岡町と合併した吉原市広報紙の全記録

昭和39年 8月5日発行 内容

若い世代に負けないファイト 老人クラブ
教養の向上をめざす すでに57クラブ誕生

 老人の人口は年ごとに増え、今では全国862万人と推計される。ある医学者は「ペニシリンの発明で、人間の寿命は20年ぐらいのび、このうえ心臓とガンの薬が完成すれば、さらに20年はのび平均寿命は100才になるのではないか」と言っています。たしかに平均寿命はのびています。しかしこのめまぐるしい社会を明るく楽しく過ごすには、長生きするだけでは進歩がありません。そこで、老人は老人同志で自分たちのしあわせをつくることがひつようであるとして、老人クラブの結成がさかんとなりました。ここでは老人クラブのありかたについて、みることにしました。

 全国には4万の老人クラブがあると推計され、県下だけでも1,100クラブがつくられ、会員も5万6,000といわれています。
 吉原市においても、昭和36年の豊寿会(南町)の発会をかわきりに、今では57クラブにもなり、会員も3,500人を数え、自主的な活動がおこなわれています。
 その目的としては、(1)老人の給養を向上させる。(2)健康の増進をはかる。(3)地域社会との交流をはかる。(4)社会奉仕活動をする。(5)共同作業をするなどです。
 クラブ活動も地域ごとに異なっていますが、大きくわけるとつぎの二つになります。まず初期の段階としては、町内ごとに老人を集め、その人々の意見を聞いたり、この世の中で老人の立場はどうあるべきか、健康はどのようにして保っているのかなどを話し合う。
 これがすすむにつれ、老人は自分たちで老人クラブを運営し、世の中の進展におくれないようにつとめる一方、共同社会の一員として、すすんで社会に奉仕しようとの自覚で、責任を果たそうとします。

話のわかる老人に 豊富な社会経験生かす

‐ 写真あり ‐
( 写真説明)・・・講師を招き新時代の勉強に励む老人クラブ員(市民会館第三集会室で)

 老人は、長い生涯に沢山の成功や失敗をくりかえしてきた社会の経験者でありきょうの文化を築き上げた功労者でもあります。
 しかし老人クラブのよき会員となるためにな、戦前の考え、そのままを今の若い人たちに説論めいていったりすると「時代のおくれた老人にはこまったものだ」と逆にいいかえされることになります。これからの老人クラブは、新しい社会に適応した文化的な知識を身につけることに努め、いつまでも昔のままの考えの集まりであっては、心の前進はできません。
 それには健康に注意して早期診断と治療を怠らずつねに保健にこころがけ、いつも気持ちを若くもつことです。いままで髪を結んだことのないオバアさんが老人クラブに入ってからは髪を結ぶようになった。あるいはオジイさんがヒゲを剃って外面的にも肉体的にも若返ったという話しがあります。これが保健上にひじょうに大切なことなのです。
 世間の人は、老人はもう勉強するひつようもないと考えていたし、老人自身も「いまさら勉強でもあるまい」と云ったような人が多くあります。このため若い人と話が合わず、頑固な老人、物わかりのよくない老人と遠のかれてしまいます。
 なにはともあれ、豊富な社会経験をつうじて、極端に走りやすい若い人にアドバイスを与えたり、老人みずからも勉強する。この心がまえがあれば、自然に老人福祉は向上してくるのではないでしょうか。

吉原市誌を編さん

 吉原市では、このほど市誌編さん委員会(会長‐斉藤市長)をつくり、総説、政治、交通、産業経済、林政、社会、宗教、民俗、芸術文化、文化財自然環境の各編を3年計画で編集することになりました。
 昔からの移り変わりを収録するため、各執筆者が古文書などをお持ちのお宅をお訪ねしますのでご協力をお願いします。

手を洗いましょう 夏の健康を守るパレード

▽吉原保健所、協力会および食品衛生協会の主催による“夏の健康を守る”市中パレードが、去る7月28日おこなわれました。
▽ことしは伝染病のあたり年、とくにセキリは全国的に猛威をふるい、吉原市でも150件の発生をみました。このため、夏を健康で明るく過ごしましょう運動になったわけです。
▽「蚊とハエ、ゴキブリをなくしましょう。飲み物食べ物には充分に気をつけ食事の前には、かならず手を洗いましょう。」明るい吉原市をめざし、先導車のマイクから、しきりなしに呼びかけがおこなわれました。関係業者も自動車に「手を洗いましょう」「ハエをなくそう」などのたれ幕をさげ元気いっぱいに行進しました。
▽食生活は年ごとに向上しているのに、飲食物による中毒は増えるばかりです。
この対策として保健所では「食べ物は温度、湿度に敏感です。時間をおかないで早く食べるとか、熱をとおすことです。冷蔵庫にいれておくときにも10度以下にしておくことです。」といっています。

‐ 写真あり ‐
( 写真説明)・・・“夏の健康を守ろう…”スローガンを揚げ、市民に呼びかけをする一行(本町通りで)

8月メモ

‐ イラストあり ‐

(衣)
冬物の衣料の手入れをこの暑いさかりにするのは、いかにもおっくうですが、これも主婦のつとめといえます。その一つに、ふとんわたの打ち直しがあります。ついでにふとんがわも洗濯しておきましょう。
毛糸のあみものなど、よそへ注文するなら、いまがいちばんすいている時ですし仕事もていねいにしてもらえます。
夏物衣料一掃の売り出しが、どこの商店街でも見られますが、コタツぶとんのカバーなどもこんな機会に見つけると、やすあがりで、案外シャレたものができます。

(食)
とかく暑いと食事がすすまないものです。いま出盛っている葉しょうがをうすく切って、ちょっと湯をとおし、あま酢にして食べると、食よくがすすみます。またヌカミソにつけるのもおいしいものです。また変わった調理法にやわらかい葉しょうがを見つけ葉先にたてに包丁を入れ、根の部分をわってミソをはさみ、これをテンプラにしたり、しめった日本紙にくるんで火で焼いたりすると、ミソがしみて、ごはんのおかずにも、ビールのさかなにもよろこばれます。

(住)
8月も下旬をすぎたらそろそろ秋をむかえる準備をします。網戸、スダレ、レースのカーテンなどから片づけていきましょう。網戸はサランと金網がありますが、いずれも中性洗剤はハケ洗いして、かげぼしにしてからしまってください。
ビニールのスダレも中性洗剤でやるとハケ洗いがよいですが、竹製のものは、水に長くつけると、そってしまいます。これもかげぼしにすることです。レースのカーテンは糸の力が弱いので洗い方干し方に十分注意することです。

住民登録をしましょう

 さいきん住民登録をしていない幽霊のような人が増えています。
 住民登録は市町村の住民をもれなく登録する制度で、かならず住所のあるところの市町村役場に届けなければなりません。住民登録は住民の居住関係の証明をしたり、市町村役場の仕事に役立っています。しかも、これに記載された事項はつねに戸籍と照合して正しいものにしてあります。
 市町村役場では選挙人名簿、予防接種の台帳、子どもが入学するための学令簿をつくったり、印鑑証明をする場合などいろいろな仕事に利用されています。また住所を証明する公正証書は、住民票だけですから登記や就職、各種の免許申請のときなどにおおく利用されています。市町村役場では、毎年1回以上実態の調査をおこない、その内容が実際とあっているかたしかめます。住民のみなさんにも届けでが義務づけられています。
 届けでにはつぎの4つの場合があります。
転入届‐あたらしく、その市町村の区域内に住所を定めたとき、たとえば静岡から吉原に引越したようなばあいです。
転居届‐おなじ市町村の区域内で住所を変更したとき。たとえば、南町から原田町に引越したようなばあいです。
変更届‐世帯主が死亡してその妻が世帯主になったとか、息子夫婦が独立して別の世帯をつくったというばあいです。
国外移住届‐国外に移住するばあいです。
 これからはすべての住所を変更してから14日以内に届けなければなりません。期間内に届けでなければ、過料に処せられますからご注意ください。

人口の動き(昭和39年6月30日現在)

男 4万3,858人
女 4万3,053人
計 8万6,911人
世帯数 1万8,854世帯