広報よしわら 昭和41年12月に富士市と鷹岡町と合併した吉原市広報紙の全記録

昭和39年 6月5日発行 内容

目立つ中学生の集団非行〜まったくない罪悪意識〜
須津・浮島地区に多く発生

 心身のすばらしい発達にくらべ自覚や公徳心などおかまいなしに犯罪をおかす。それも無動機で知能的なのが、さいきんの非行少年です。生活が豊かになり、自由があふれ刺激のおおい本やテレビ番組がはんらんする。いっぽうおとなは青年をあまやかせ、両親はこどもの教育を学校にまかせっきりにるする…非行原因はいたるところにあるのです。国でも次の世代をになう青少年の人格形成におよぼす影響をかんがえ、俗悪なテレビ番組や出版物の追放にのりだしています。これを機会に市の青少年非行および現況をみてみることにしましょう。

 テレビの各家庭の所有台数は全国で1,500万台を突破するという、おどろくべき速度で普及しています。しかし放送番組の中には俗悪なものも多く、青少年の非行をかりたてる原因となることを忘れてはなりません。さいきんの少年犯罪の動機をみても、じゅうらいでは「生活費や遊興費に困って」という経済的なものから、「好奇心」や「無動機」にかわっているのです。ところがテレビ、映画、週刊紙などマスコミによる社会環境の複雑化だけが非行原因ではありません。家庭における放任、期待のかけすぎなど精神的な面もおおいようです。
 昨年吉原市で発生した青少年非行は全部で226件でした。このうち窃盗が153件、傷害21件とおおく、殺人3件もかぞえることができます。地域別にみると須津が46名、つづいて浮島、吉原の29名、今泉26名、伝法23名、原田、大淵の10名、吉原北部7名、吉永、元吉原6名それに市外34名となっています。
 児童福祉法の第一条には「すべての国民は児童が心身ともに健やかに生まれ、そして育成されるようにつとめなければならない…云々」と定められていますが、さいきんの青少年はかならずしも健全に育成されているとはかぎらないのです。非行をおこす少年は、意志が弱いために集団的な行動をとり、計画的でやりかたも巧妙になり罪悪感はすこしもないようです。そして年令も14才以下があっとうてきにおおく、盗みや粗暴犯の傾向にあります。
 警察庁がまとめた昭和38年度の全国非行少年補導状況をみても、補導数は合計199万5,000人でうち殺人や盗み、強盗、傷害などの刑法犯で補導されたものが23万人と前年より9,000人増えています。みんながタバコ、怠学、不健全娯楽、夜あそび、盛り場の出入りなどで補導されたものが99万3,000人で約6万9,000人の増加となり、反対に家出、けんか、乱暴行為、不純異性交遊などは減っています。
 係の人も「思春期にあっては、だれでもおおかれ少なかれ精神病者にちかい心理状態があるものです。遊びへの欲望、破壊や反抗への衝動、変化への期待などが絶えず心をゆりうごかしているのがふつうです。しかしこれをこえなければ健康な人間性といえます。それが限度内で制限され、スポーツ、勉学、労働など健全な方向に転化されればよいのですが、抑圧がすぎたり、逆に放任による助長でそれがすすむと非行になるのです。」と説明してくれました。
 青少年の健全育成をはかるためには、なんといっても家庭や地域社会がいったいとなり、動揺おおい青少年をあたたかくいたわりながら指導することがひつようです。

健全な家庭づくり けじめある生活の指導

 青少年の生活を指導するとともに積極的な福祉活動をおこない、少年の健全な育成をはかる。との目的に昭和37年12月1日に「少年相談所」が開設しました。
 昨年中に相談をうけたものは122件で、このうち14才未満の非行が83件もあり、14才以上の39件を大きくうわまっています。これを経路別にみると発見によるもの73人、親のとどけ14人、補導員によるもの13人、児童委員から11人、学校側7人、本人2人、その他2人となっています。少年相談所ではこの少年にたいして訓戒継続指導、家裁送致、精神病院、林間学園、婦人相談所へ依頼などをおこなっています。市内には33,570人の青少年がいます。うち義務教育児童47パーセント、就職者9パーセント、高校生在学生徒14パーセント、未就学児童30パーセントです。職業別にみる非行状況は中学生によるものが一番おおく39パーセント、工員13.8パーセント、小学生11.9パーセント、無職10.76パーセント、交通業8.49パーセント、高校生4.05パーセント、日雇2.3パーセント、その他9.7パーセントとなり、非行原因としては友だちの影響親の監視不十分、夜遊び、不良団の加盟などがあげられます。
 また暗がりをなくすことによって犯罪を防ぐこともできる…と昭和26年には防犯灯設置運動もくりひろげられました。結果はよく1,203ヶ所にとりつけることができ、犯罪予防にひとやくかっています。ところが、石を投げてこわしたり、切れたままになっているところもあるなど、まだ暗いところを全部とりのぞくところまでいっていません。破損のままになっている防犯灯や暗いと思われる町内は積極的に設置をして、犯罪を未然に防ぎたいものです。

防犯灯さらに増す

青少連の重点目標

 市青少年保護育成連絡会では青少年を非行からまもるため、昭和39年度の重点目標として、自主的な地域活動の実践と早期相談と早期治療それに家庭意識をたかめるとしました。活動内容はつぎのとおりです
▽よるの外出時間制限を徹底させる‐(1)夜間補導の強化(2)広報車、補導車による巡回(3)防犯灯の整備および増設など
▽年少者の非行を防止する‐(1)少年相談所の活用(2)早期通報、早期指導(3)不良環境や不良出版物をとりのぞく
▽公徳心を高める‐(1)道徳教育および生活指導を充実(2)社会連帯意識をやしなう
(3)勤労青少年の健全育成をはかる
▽家庭対策を強化する‐(1)明るい家庭づくり(2)幼児期の健全育成をすすめる(3)正常でない家庭を指導する
▽特別推進地区の指定‐須津、浮島、元吉原地区を指定する

青年団の役員決まる

◇団長‐塩谷進(伝法)副団長‐鈴木登(元吉原)、押見友吉(伝法)、岩滝敏之(須津)
◇総務部長‐竹内秀行(須津)
◇文化部長‐鈴木昌孝(今泉)
◇体育部長‐佐野長丞(今泉)家政部長‐本多智端子(吉永)
◇分団長‐山田勇次郎(今泉)・加藤雅己(大淵)・藁科益穂(吉永)・小林荘二(須津)・川口知(元吉原)・秋山松男(北部)(原田、伝法地区は未定)

警察署・裁判所・検察庁 三庁舎が落成 事務の能率化はかる

 庁舎の老朽化や事件の増加などによって、いままでの庁舎ではスムーズな事務がとれないため、このさい司法に関係した役所をおなじところに建て、事務の能率化をはかりたい…とかねてからの懸案だった警察署、裁判所、検察庁の三庁舎がこのほど軒をならべて完成しました。この建てものは星一ビルから南へ300メートルはいったところの吉原市青島津田区企画区域内にできた30メートル道路(一部完成)沿いにあります。
 それぞれの特徴をいかしたデザインで、近代的なものです。その概要は…
▽吉原警察署 総工費4,820万円をかけた鉄筋コンクリート一部3階建てのこの庁舎は、1階に警務課、交通課、外勤課、署長室、少年補導室などがあり、2階は会議室、警備課、刑事室、留置場、3階は道場、ベランダからなっています
▽吉原簡易裁判所 着工いらい170日間にわたり1,158,62平方メートルに総工費3,750万円をかけた裁判所は1階が調停室弁護士控え室、執行史室からなり、2階は裁判官室、記録室、法廷室(2室)、会議室となっています。
▽吉原区検察庁 軒高7,050メートルで1階に記録保管庫、証拠品庫、待合室、事務室、2階は調べ室支部長室、副検事室、同行室となり総工費は1,073万円です。

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(写真説明)・・・完成した新三庁舎(左から警察署・検察庁・裁判所)

“婦人教室”開く リーダーの養成めざし

◇吉原市“婦人教室”の開校式は去る5月20日裾野町十里木にある富士山巻狩の遺跡「頼朝の井戸」広場で開かれました。
◇リーダーを養成して基礎的な理論や技術を習得させ、婦人の地位向上をはかるため毎年おこなわれる婦人教室も7年目をむかえ、ことしはとくに“くらしの調査”を重点目標に、主婦の労働、睡眠、余暇などを根本的にしらべることになっています。
◇この日は開校を記念するとともに会員の親睦をかねたバーベキューもおこなわれました。
10ブロックに別れた会員は、つかいなれた包丁を手に、みるみるうちにご馳走の山をつくり大はしゃぎ…
◇途中から顔をみせた斉藤市長も、手づくりのご馳走を手に「楽しそうですねー、みなさんも家庭にばかりいないで、このような催しをどしどしやってくださいよ」なごやかな風景に顔をほころばせていました。
◇婦人が社会でどのような地位をしめ、どんなに扱われているかは、その国の進歩を示すものだということばがあります リーダーに選ばれた人はもちろん、会員の人もすすんで協力し、婦人の力を大いにはっきしてもらいたいものです。

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(写真説明)・・・富士を背にバーベキューを楽しむお母さん達

市民の動き(昭和39年4月30日現在)

+ 男 4万3,616人
女 4万2,845人
計 8万6,461人
世帯数 1万8,586世帯