広報よしわら 昭和41年12月に富士市と鷹岡町と合併した吉原市広報紙の全記録

昭和39年 5月20日発行 内容

ゴミのないまちに

ゴミをすくなくして、住みよい衛生的な街をつくりましょう…。オリンピック東京大会を前にいま、全国的に“町をきれいにする運動”がすすめられています。吉原市でも市および環自協が中心になって、ゴミのないきれいな街づくりをおこなうよう、みなさんによびかけています。これを機会にここではゴミの現況をみてみましょう。

ひとまかせはダメ 恒久的な熱意が肝心

 日本の道路のせまいことと、きたないことは世界中に知られています。みじかな川やみぞをみてもゴミやクズがたまり、きたなくにごっています。人どおりの多い繁華街ではいくらそうじをしても、翌日には道路いっぱいにゴミがちらかっているのです。
 まいあがる土ほこり、風にとぶ紙くず、散乱するたばこの吸がらなど、街をきれいにする運動は口でいうほどかんたんな問題ではありません。
 道ばたであろうと、あき地、家の勝手口、川など所かまわずゴミをすてる。ゴミ箱をみても、じめじめして土がいっぱいにたまりふたもできない。そのためゴミが外にはみだし、まわりをハエがわがもの顔でとびまわっている。こんな光景がいたるところで見うけられます。しかし、日本人は元来きれいずきなのです。ところが、紙くずがおちていても「自分がひろわなくても、だれかひろってくれるだろう」ぐらいに考え、ひろおうと努力しないのです。
これでは外見だけのきれいずきにすぎません。人にまかせる、ではなく「自分で町をきれいにするんだ」ぐらいの心がけがほしいものです。市内のある主婦も「うちのとなりに、あき地があるのですが、ゴミがたまりきれなくてこまります。役所に連絡してかたずき、ほっとしていたら、たちまちゴミの山ができてしまい…」とあきれ顔、モラルの低下をしみじみなげいていました。
 また、人の出入りのはげしい国鉄吉原駅の人も「要するにお客さんがものをすてたいと思ったところにゴミ箱やホコ入れがあればよいわけだ…と考え以前から駅内にくず入れやホコ入れをそなえました。ところが利用する人もいますが、中には「たばこの吸いがらはこの中に入れましょう」と書いてあるビラを読みながらそのへんにポンとすてるんですから‐どういう気持ですかねぇ」無意識のうちにすてているのでしょうが、ちょっとした注意をすればなおせることです。自分のまわりがきれいであればよい、‐などの考えをもっている人は考えなおさなければなりません。

評判いいゴミ容器 ポリエチレン 大和町など4町で実施

‐ イラストあり ‐
(イラスト説明)・・・ゴミはビニール袋に入れてゴミ箱にすてましょう

 吉原市では不衛生なゴミをすくなくするため、環自協が中心となり、ポリエチレン製のゴミ容器をあっせんしています。この容器はにおいもれもなく、ハエもわからない、洗えるなどの利点があり主婦の間で評判がよいようです。げんざい大和町(10コ)東本通り(13コ)今井本町(17コ)今井東町(25コ)が実施しています。市でもその利用状況によっては、げんざいのゴミ箱をとりさりポリエチレンの容器をそなえるべく対策をたてています。
 ここで吉原市のゴミ状況をみてみることにしましょう。昭和30年の町村合併によって、げんざいとおなじ規模になった当時は年間のゴミ総量3,681トンで一日平均11.2トンでした。それが昭和34年に5,296トンになり昭和37年には7,600トン一日平均24トンと2倍に増えています。これには月平均6〜7回を最低目標に清掃車によるゴミ収集がおこなわれていました。ところが、吉原市のゴミ処理は他都市とくらべてひじょうに円滑におこなわれています。これは昭和36年から3ヵ年計画で大淵地内に建設された近代的な清掃作業所完成によるものです。作業所といえば悪臭がする、せんたく物がよごれる、きたないなどを連想しましたが、この作業所はおよそゴミ焼き場とは信じられない近代的なものです。その機能は一日、25トンを焼却することができます。
 清掃作業員の手により毎日集められるゴミの中には20パーセントぐらいは、まだつかうことができるものが入っています。以前なら考えながらすてたものでも文化生活の向上によって新しいものをつぎつぎに買い入れ、一度こわれるとなおすことをしないですてているからです。
 東京のある区では、“利用袋”をつくり各家庭に備えたばこのあき箱、包装紙などをその袋の中にためて原紙問屋にひきとってもらいました。それでも5年間に40万円にもなり、そのお金で自動点滅灯つきの掲示板を買い、明るい街づくりに一役買っているということです。
 みなさんも、むやみにたらにものをすてないで、町内ごとで廃品回収をやってみてはどうでしょう。

‐ 写真あり ‐
(写真説明)・・・衛生的な街づくりめざし朝早くからゴミ集めにせいをだす清掃員(本町通りにて)

春の防疫を実施

 環境衛生課では、伝染病予防対策の一環として夏場にふえる衛生害虫や、つゆ時に発生する蚊とハエの撲滅をはかるための防疫をただいまおこなっています。防疫実施のときはかならず誘導員(3名)の協力をお願いいたします。なお午前の部は8時30分、午後の部は一時からです。

“ゴミ屋”ではない 環境衛生の戦士

 私たちの生活上の敵でもあるゴミと毎日たたかっている清掃作業員も、わすれることのできないかくれた功労者です。
 吉原市には40人の清掃作業員がいます。このうちの8名は防疫を専門に受けもち、伝染病をもちはこぶ害虫の駆除をおこなっています。あとの人は都市清掃に従事し、毎朝8時に3輪自動車(8台)にのり受持区域のゴミ集めにでかけます。
 ところが、心ない人は作業員をつかまえ「ゴミ屋さん」とよびますがこれは大きなまちがいです。
 ゴミを集め、運び、始末してくれる仕事の重大さは私たちの生活ときりはなすことのできないもので、その仕事をしている人たちはりっぱな地方公務員であり、清掃作業員という名前があるのです。ある作業員は「私たちは手が汚物によごれ、着衣は悪臭に染まろうともみなさんの家をきれいにして害虫の発生を防ぐ環境衛生の戦士ですよ。その仕事の外観がきたなければきたないほど私たちの仕事は大切なものではないでしょうか…」と訴えています。
 住民ひとりひとりが永続的にきれいな町づくりにつとめ、問題解決にあたる態度こそ環境衛生のほんとうの姿ではないでしょうか。

カとハエを退治しよう いまが絶好のチャンス

 蚊とハエのいない住みよい生活づくりはゴミ問題とおなじように大切なもので文化生活を営む基礎となります。ところが、これからやってくる“つゆ時”が彼らにとって発育期となるのです。そのため成虫になって世の中をとびまわらないうちに退治することが大切で、そのままほおっておくとやがて成虫になり伝染病菌をいっぱいもって夏の夜をぶんぶんとびまわります。
 退治するときには町内ごとに日と時間をきめ、いっせいに実施することです。たとえ一軒でもやらないとすぐもとの状態にもどってしまいます。みんなが力を合わせなくては住みよい街をつくることはできません。
 では蚊やハエはどんなところに発生し、どんな特徴があるのか分析してみることにしましょう。

‐ イラストあり ‐

 蚊の種類は60以上ありますが、人間に害をあたえるのは6種類ぐらいです。
 発生源は水槽、ドブ、墓地の花立などで卵から成虫になるまでは1週間から10日ぐらいで成虫の寿命は30日前後です。人間の住居にとびこんでくるのは主としてアカイエカで茶色っぽくほとんどがメスです。メスの蚊は人間や動物の血を吸って腹の中の卵を成熟させます。蚊が一晩中に血をすいにくる時間は夜の十時頃がいちばん多く、真夜中にはずっと少なくなります。そして明けがたにもういちどたくさんとびこんできます。これは光の変化にともなっておこるもので、黄色や白色など明るいものをきらうからです。

◇蚊を退治するには
 幼虫は殺虫剤によわいのでダイアジノン、DDVP、BHC乳剤をドブや防火水槽などの発生場所に50倍にうすめてまきます。成虫には長く効果のある5パーセントのダイアジノン乳剤を水で10〜20倍にうすめてつかいましょう。
 台所、ゴミ箱、家畜舎、便所などをこのんで発生源とするのがハエです。
 ハエは卵‐幼虫(ウジ)‐サナギ‐成虫の過程をとりこの間は10日前後です。
 ハエの中でいちばんのきらわれものはグロテスクなキンパエです。魚など動物質の廃物に卵をうみつけ、そのままにしておくと親‐子‐孫と3代のハエを育てることになります。ハエは1回に100〜150個の卵を産み、回数は3〜4回になりますから一匹のハエからどんどんふえて年間にはなんと15億5,520万匹にもなるのです。
◇ハエを退治するには
 便池の幼虫には5パーセントのダイアジノン乳剤を400倍にうすめ、またゴミ箱の幼虫には600〜800倍にうすめたものを10分にまきます。成虫にはDDVPを直接かけるとききめがあり、またハエの習性を利用して台所や畜舎に5パーセントのダイアジノン乳剤をしめしたテープを天井からつるしておくとききめがあります。