広報よしわら 昭和41年12月に富士市と鷹岡町と合併した吉原市広報紙の全記録

昭和39年 5月5日発行 内容

体質改善される農業
主産化づくり急ぐ “須津みかん”を中心に

 きびしくなる農業のしくみを近代化することは、いま日本の経済に課せられた重要な問題。急速ないきおいて進む機械化は「働け、働け」の過剰就業の伝統を破り、農業の生産性を高めるきっかけをつくったのです。吉原市でも昭和37年に3ヵ年9,000万円の計画で、“須津みかん”にそのメスがいれられ総合的な農業構造改善事業が行われています。

 よるも明けきらないうちから、“くわ”をかついで野良仕事にでかける…
 むかしから日本の農業は家族ぐるみで田畑をたがやして生活するという小農経営がだいぶぶんをしめていました。ところが最近では諸産業のひやく的な発展のかげになってしまい、若い労働力の一部は「あさ早くからよる遅くまで、せっせと働いてもそれにあった収入がない」と会社、事業所にうつりはじめ、このままでは、しょうらいの農業をになう後継者を確保することすらむずかしく、自立経営農家の生活は年ごとにくるしくなっています。
 これをふせぐには、農業の根本的な改善をおこないその土地にあった“主産化づくりをすすめる一方、機械化することで少なくなった労働力をおぎないための“省力化”をはかることがひつようです。
 そこで考えられたのが農業構造改善事業です。
 この事業のてはじめとしては、全国的に知られている“須津みかん”を中心にみかんが栽培されてから販売されるまでの過程を一貫しておこない(1)運搬労力の節減、(2)薬剤撒布の省力化、(3)婦人労働の軽減、(4)水不足の解決、(5)協同選果による市場の確保、(6)余剰労力による圏地拡大をはかるとして、事業費約8,800万円があてられ、現在、第3年度の準備をすすめています。

農道 このおもな事業としてはみかんづくりでいちばん大切なことは肥料の搬入や収穫物の運搬の合理化をおこなうことです。しかし、農道を整備することで牛馬車から三輪、四輪自動車にかわることができ、大はばな“省力化”をはかることができます。このため事業費として4,500万円があてられ中里、神谷の二ヶ所で現在農道づくりをおこなっています。

共同防除施設 日と場所をきめて、いっせいに薬剤をまき、労力をすくなくして能率をあげるために須津地区のみかん園につくられた病害虫防除の施設です。これによると、20ヘクタールのみかん園も一日で防除できます(須津全域では4日間)

選果機 みかん生産高の伸びをかんがえ、品質の向上や規格の統一をはかる、あるいは市場の確保と選果力の節減、出荷期の調節をはかるために購入されました。
 そのほかみかん植栽を10ヘクタールに、また貯蔵所は40ヶ所につくられます。

‐ 写真あり ‐
( 写真説明)・・・先がみえた明日の“機械化農業”のあしばとなる農道工事=須津山=

基盤整備が先決 オーソドックスな農業へ

 ここで考えなくてはならない問題として、能率の向上によっていらなくなった労働人口はどうなるのか、経営規模の拡大はどうするのか、あるいは生産された農産物の価格安定はどうかなども考えあわせたうえでなければ安心した経営改善にふみきることができないわけです。しかし国でも農業問題を重点的にとりあげ「農業従事者が国民経済の成長や社会生活の向上にあった暮らしができるようにするし、農業の自然的、社会的な不利をとりのぞいて農業従事者が他産業ではたらいている人とおなじような生活ができるように農業の発展と農家の地位向上をめざすことのできるようにする」と定めています。
 その具体的な施策としては、農業生産の基盤整備(農道改修、区画整理など)や経営近代化施設(生産段階における防除施設など)環境整備事業(農事放送施設、生活改善施設など)の指導や助成をおこなう…としています。
 なにはともあれ、一日も早く農業構造改善がきどうにのり、米麦の穀物類からその地にあった主産化づくりへ方向を変え、基盤整備のしっかりした、オーソドックスな農業形態をつくることが先決問題ではないでしょうか…

80年の伝統 須津みかんの歴史

 須津地区のみかん栽培は80年も前からおこなわれ、県東部でのみかん産地として、また、須津みかんとして全国的に知られています。
 みかん園はおもに愛鷹山麓の南側と赤渕川の東(中里、神谷、増川、江尾)にたくさんあります土壌は愛鷹山とくゆうの火山灰軽しよう土からなっているため肥料の吸収力もつよく、耕土も深い(60〜90センチぐらい)というみかん栽培にはうってつけの条件がそろっています。このようにめぐまれた自然条件のもとで戦前から、みかんはかき作目として重要な位置をしめてきました。
ところが戦後における食糧増産施策によっていちじ減少しましたが、国内経済の伸長と食糧事情の好転によって、ひやくてきな増産がおこなわれました。
 戦前の出荷作業は各部落ごとに個々の農家が出荷組合をつくり、各地に出荷していました。ところが昭和23年に発足した農協とともに集荷と荷づくりは統合して選果機ワックス処理機でおこなわれ、はじめてカナダ向けの輸出みかんを出荷しました。国内では北海道、東北、東京などに市場もつくったのです。
 そして現在にいたっては全国的に“須津みかん”として親しまれるようになりました。

高田さんらが表彰 青少年の善導者で

 吉原市青少年保護育成連絡会(会長斉藤市長)は4月27日、市民会館で同会の委員会を開き、功労者の表彰、39年度の推進目標(1)自主的な地域活動の実践(2)早期相談・早期治療(3)家庭意識をたかめるなど運営方針をきめました。
 青少年の善導に功労があったとして県防犯協会長からの伝達、青少連会長から表彰されたかたがたは、県関係で長欠児グループの指導、地域の不良環境改善整備に努められた高田七蔵さん(新追町)、町ぐるみで街頭補導を行い効果をあげている水の上町(代表鈴木久信さん)青少連では連絡会発足時から支部長、補導員で活躍している石川とら雄さん(柏原町)渡辺武雄さん(日吉町)がうけました。
 また昭和31年から毎夜“愛の警鐘”を打ち続けるつぎの十寺院にそれぞれ感謝状がおくられました。
興隆寺(今枝愛真さん)法蔵寺(平野教祥さん)玉泉寺(長谷川徳仙さん)永明寺(加藤義孝さん)妙善寺(長島文雄さん)妙法寺(高橋堯昭さん)妙延寺(佐野寿雄さん)妙祥寺(遠藤日護さん)本国寺(上杉諦礼さん)清岩寺(伊藤円照さん)

‐ 写真あり ‐
( 写真説明)・・・親と子の心を打つ“愛の鐘”

5月メモ

‐ イラストあり ‐

(衣)
5月晴れの好天気がつづくあいだに冬から春にかけて使った毛織物の収納をすませましょう。お茶箱のような大きく深い容器にしまうときには防寒着などあついものを底に、薄手のものを上部にいれて季節のうつりかわりによってだし入れがらくにできるようにし、防虫、防濕法もできるだけ念入りにすることです。

(食)
食べものがカビやすい時節です。保存したままにしないで、適当につかいましょう。新鮮な野菜もおおくなりますが、寄生虫をわすれてはいけません。生野菜を食べるときには中性洗剤や熱湯消毒を十分におこなうことです。こどもには虫下しものませましょう。
 イチゴもでまわりますがイチゴは消化器病や腎臓病のほか熱性病にもよいといわれています。最近ではこどもの神経質にもきくことがわかってきました。

(住)
いままでかけていたカーテンを、みた目の涼しげなものにかけかえましょう。
新しく購入するときには、窓幅の一倍半ぐらいを買います。そして上下の縫い代は20センチぐらいにみます。上は3、4センチぐらいを二つおったぐらいですみますが、下はたっぷりとって3つぐらいにおれば落ちつきます。ところをなおしたり、雨どいや下水の流れをよくしておくことです。

オリンピック東京大会 ガイド募集

 オリンピック東京大会の開催を機会に静岡県にも多ぜいの外国人観光客の訪問が予想されます。
 このため町の中や観光地などで外国人と接した場合随時通訳していただく一般市民の外国語練達者の協力を求めています。
協力をいただける方は、5月13日までに市役所総務課へ申し出てください。
▽協力期間
昭和39年10月1日から11月30日まで
▽外国語の種類
英語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、中国語、ポルトガル語、スペイン語、ロシア語
▽協力の方法
特に、日時、場所の指定はありません。日常の生活において、外国人に接した場合随時ご協力ください
▽バッチ
協力をいただいた方にはバッチを配付します
▽協力者に対する報酬
奉仕的、善意的なものに期待する関係上、特別の報酬はありません。
▽申し出の場所と期日
5月13日までに市役所総務課まで

市民の動き(昭和39年3月31日現在)

男 4万3,366人
女 4万2,624人
計 8万5,990人
世帯数 1万8,485世帯