広報よしわら 昭和41年12月に富士市と鷹岡町と合併した吉原市広報紙の全記録

昭和39年 4月5日発行 内容

“水ぬるむ”

柏原昭和放水路は、ここ連日“フナ”釣りの大小太公望たちでにぎわっている。水はぬるみ、のどかな春陽を体いっぱいにあびて、川釣りを愉しむ天狗たちの表情は明るく、魚入箱をのぞきあっては自慢話に花を咲かせ「釣すれど、網せず」の晴れた一日であった

‐ 写真あり ‐
( 写真説明)・・・昭和放水路にて

15億7,000万円の大台へ 39年度予算きまる

 吉原市議会3月定例会は去る3月12日から15日間をもって全日程を終了しました。この市議会は昭和39年度当初予算をはしめ、重要議案98件を審議するものでいずれも原案どおり可決されました。
 予算編成にあたっては、最近における経済成長の動向から、これに対処する国の施策と減税方針によって地方財政の一般的財源はかならずしも大はばな増加は期待できないので引き締めを基調とした健全均衡予算が編成されています。この結果、市の一般会計は歳入歳出ともに12億4,400万円で昨年より15パーセントの増加、特別会計については、法改正による2会計の整理で17会計となり、合計額は3億3,380万5,000円で一般会計とあわせ15億7,780万5,000円となりました。

健全財政を維持する
ひびく電気ガス税の引き下げ
98議案原案通り可決

 吉原市議事堂でひらかれた本会議第一日目で斉藤市長は予算審議にさきがけ施政方針をつぎのようにのべました
「人間は自然をはかいすることはできても、つくることはできません。しかし人間社会は人間によって良くも悪くもなり、はかいすることもできるものです。
 私は前市長の偉業をしのびながら、つねに8万5,000市民の意志を基調とした、よりふさわしい福祉都市づくりに私の全精魂を傾注するつもりです。
しかし国内経済の動きはかならずしもよいものとはいえません。昭和37年10月に政府の金融ひきしめ政策がとられ、その後、昭和38年になって経済の復調と拡大が予想をうわまわる急テンポですすんでいます。
 この影響は地方税収入面にもとうぜんあるものとかんがえられますが…
私が昭和39年度予算の審議にさきだってもうしあげたいことは、電気ガス税の前年にひきつづく減税(1パーセント)などでこの財政はかならずしも良いじょうたいにあるとはいえないことです。
 昭和38年度の当初予算は一般会計において10億7,600余万円でしたが、ことしは約40パーセントおおい15億1,500余万円となりました。これは、市勢のいちじるしい進歩によるもので、この財政投資によって市民福祉は増進することになります。自治体の運営は、それにあった財政規模があり、これをのがしては健全財政を運営していくことは不可能になります。
 このようにしてむかえる昭和39年度市政は逼迫(ひっぱく)した運営をよぎなくされ当年度計画事業をはじめ、過去における未執行事業についても一部予算が計上できませんでしたが、こんご財政のゆるすかぎり実現に努力していくかくごです。」

才出 須津小など改築 教育費に1億4000万円計上

◇教育関係
 教育の場を整理し、よりよい環境のもとで勉強できるよう、ことしは伝法小学校、須津小学校、大淵中学校の一部を2年計画で事業費1億4,700万円をもっておこなうことになり、とりあえずことしは9,000万円を計上新営改築事業を施行します。
 なお、吉原小学校に言語障害治療教室を設け、約40名ていどの児童をたいしように言語障害を治療するため、67万9,000円の予算が計上されています。そのほか経常的経費でおもなものは小学校費において教育教材備品費、理科教育振興備品をあわせ231万3,000円、中学校費では教材備品に141万円、理科教育振興備品90万円が計上され、設置後3年度をむかえる市立商業高校についても、教材、教具をふくめて備品費650万円が計上してあります。

◇社会福祉関係
(1)幼児の健全育成をはかるために市内宮の上に保育所を設置することになり民主費として180万円の予算がとられました。
(2)昨年の8月に老人福祉法が制定、施行されたことしから平年度化されるため老人福祉費として649万6,000円が計上されました。
(3)さいきん青少年の非行がひじょうにふえ、その大半が低年令によるものです。このため地域社会の救済善導と健全育成の成果があがるよう113万5,000円が青少年保護育成費にとられました。
(4)社会福祉施設の一環として、ことし新たに一園(定員70名)をふやすことにきまり市営保育園費も計上されました。
(5)大はばな基準額ひきあげがおこなわれた生活保護費は前年より286万5,000円多い3,536万円があてられています

◇衛生関係
(1)「カとハエ」のいない明るい生活環境をつくることに重点がおかれ、その活動費必要備品の整備と伝染病予防事業あわせて613万30円が計上されました
(2)予防接種費に453万8,000円
(3)結核予防費には206万7,000円が計上されています

◇農林水産関係
 昭和37年から指定をうけて実施中の農業構造改善計画事業については農業基盤の整備をはかるため、その事業費として2,748万7,000円を計上しています。
耕地改良事業としては1,000万円がとられ、そのおもなものは農地の保全事業費負担金として土地改良事業費助成金です。
 山村振興林道丸火線の延長(1,600メートル)をおこなうため林業費として400万円が計上されました。また公有林造成事業費として丸火東、高塚の新植および再造林を施行するための事業費58万2,000円もあてられています。

◇土木関係
◎道路橋梁新設改良事業費
 1,235万円は、簡易舗装事業費に925万円をあて、橋梁改良事業費に250万円、原田伝法線補償費に60万年を計上したものです。
◎国、県道事業費負担金‐700万円は、ほぼかくじっとみられる事業にたいし、いちおう“見込額として措置されたものです。
◎治水堤防事業費負担金‐372万7,000円は海岸堤防築造そのほかの負担金みこみ額です。
◎都市計画街路事業費‐3,150万円は補助事業である弥生線改良事業、吉原〜沼津線改良事業とか、住吉町〜東本町線、吉原〜大月線、日吉〜新橋線の改良事業費負担金を重点的に計上したものです。
◎防災街区造成事業費‐19,137万円、これは補助金で、国からの965万6,000円、県の321万8,000円の補助金とあわせて交付されるもので、市の負担は実質的には649万6,000円となります。
◎都市水利事業費‐478万1,000円は病院建設予定地一帯の下水管布設工事費です。
◎公営住宅建設事業費‐3,150万2,000円は前年にひきつづき第一種簡易平家建て16戸、第二種簡耐平家建て42戸の計58戸を建設して住宅事情の緩和をはかるべく計上されたものです。

才入 市税7億1,000万円

 健全財政をいじするためには(1)歳入の確保につとめる。(2)年間をつうじて必要な行政活動費を確保する。(3)予算外の義務負担事業や継続事業には優先的な財政をとる。これらをもとにつくられた昭和39年度予算の主なものを順次説明すると。

◇歳入面について
 市税は歳入のうち、もっとも重要なものです。しかし政府の減税対策で、電気ガス税は昨年につづき、1パーセントの減税となり、このためタバコ消費税の1.4パーセントひきあげがおこなわれますが、過去2年間における穴うめはとうていできえず28パーセントをおぎなうにとどまり税全般に不安が感じられますがいちおう確実な年間収入のみこみがくとして7億1,133万8,000円が計上されました。
 地方交付税については914万1,000円が計上されていますが、これは町村合併促進法にもとずく須津、大淵分の算定替分414万1,000円と災害復旧事業費のみかえりと財源として500万円のとくべつ交付税をみこんだものです。
 繰越金は2,500万円で昨年からの繰越みこみ額を計上したものです。
 なお、諸事業の充当財源として予定される市債は、(1)都市計画街路築造事業費として500万円、(2)公営住宅建設事業費に600万円、(3)消防施設整備事業費に400万円、(4)公立学校施設整備事業費に1,850万円、(5)図書館建設事業費に1,000万円、(6)市立病院施設費に1,000万円、(7)公園用地購入費に500万円の計5,850万円がそれぞれ計上されました。

◇特別会計予算
特別会計のおもなものはつぎのとおりです。
下水道事業会計 4,332万円
国民健康保険事業会計 1億1,867万2,000円
土地区画整理事業会計 6,371万円
学校給食事業会計 2,846万9,000円
内山会計 2,906万1,000円
水道事業会計 1億2,207万7,000円
公益質屋会計 573万円

‐ 図表あり ‐
( 図表説明)・・・昭和39年度一般会計 12億4,400万円

市民の動き(昭和39年2月29日現在)

男 4万3,169人
女 4万2,579人
計 8万5,748人
世帯数 1万8,359世帯