広報よしわら 昭和41年11月に富士市と鷹岡町と合併した吉原市広報紙の全記録

昭和38年 6月1日発行 内容

“新時代“あなたもわたしもメートル法

 日本がメートル法による統一にふみ切ってから満4年、ことしは5年目に当り来る6月7日はその計量記念日です。この日は日本の計量のことをきめた法律「度量衡法」が、よそおいを新しくして「計量法」となった日です。特にメートル法にとって大切なことは大正10年に日本がメートル法に統一すると折角度量衝法でまとめたのに、戦前それがだんだん骨抜きにされつつあったものを、計量法の制定に当ってもう一度統一しなければならないことをあきらかにした点です。
 そういう意味でこの日は計量記念日であるとともに、メートル法にとってもまた一つの記念すべき日というわけです。
 メートル法の最大の長所は、それがきわめて高度の科学技術の分野から、工場、市場、家庭にいたるあらゆる領域にあまねく用いることができるところにあります。
これはヤード、ポンド法や尺貫法では望めないところで、またそれゆえにメートル法だけが国際統一単位系として発展してきたわけです。日本のメートル法は日に日に完成に近づいているといわれます。
 おそらく本年中にはメートル法以外の目盛は町の表には見えなくなるであろうし、尺貫法などは人の口にのぼる程度となると思います。また、土地、建物の切替準備も進んでおり、実質的には昭和41年の全台帳書替えの完了をまたなくてもほぼ完全な移行が出来るのではないかとみられています。

‐ 写真あり ‐
( 写真説明)・・・売る側のためにあった“ハカリ”は買う側のために位置をかえた。改むべきに躊躇(ちゅうちょ)は無用・・・。メートル法の切り替えは、習慣的観念を捨て、新しい時代に学ぶ態度でなければ到底できそうにない

◆家庭浸透を目標(吉原) 婦人会の協力を得て

 吉原市では静岡県計量協会吉原支部(代表望月恵作)と吉原市連合婦人会(代表今泉春枝)の協力を得て、メートル法実施啓蒙の行事を7日の計量記念日に行うことになりました。
 内容はその対象の主体を家庭婦人におき「メートル法の家庭浸透」をスローガンに
(1)無線広報啓蒙
(2)有線放送地区の有線啓蒙
(3)「メートル法換算表」の家庭配布
(4)街頭呼びかけ広報
(5)自由検量所の設置(大淵支所前吉永支所附近)
なお「メートル法換算表」は婦人会の協力により配布し、また自由検量所は体重、身長を取扱いこれも大淵、吉永両地区婦人会の協力により実施することになっています。

共同給食組合設置

 吉原市内の商工業者のあいだにかねて来、要望の強かった「共同給食」の実施については、主務商工課の調査、資料蒐集により昨秋来準備が進められ、本年3月希望業者の代表により吉原共同給食組合準備会(代表林玄嗣)を結成、以来先進都市の実態調査を行っていたが、さきごろ計画構想に一応の結論を得たので、去る29日その事業組織である「吉原給食事業共同組合」の創立総会を開催しました。
 この事業母体の結成により本年11月の業務開始を目標に種々計画を進めることになりましたが、現在参加申込みのあったものは、約140事業所、3,500食に及んでおり、さらにこれに官公庁関係の要望をあわせると4,000食が考えられています。
 なお、業務開始時は昼食のみを取扱うが3、4ヶ月以後は朝夕食も配食する構想です。

12才以下が一番危険“つゆ”に多いスリップ

 春の交通安全運動は“子どもを交通事故から守りましょう”をスローガンに、切実な願いをこめて全国的に行われました。
 これは市民がそれぞれの立場から積極的に運動に参加する事によってみずから正しい交通秩序をおしすすめ、事故のない明るい安全都市を築き上げる事を目的としたものです。
 これからつゆに入ってうっとうしい日が続くようになると自動車や自転車のスリップ事故が急に多くなります。フロントガラスをうつ雨のため、みとうしがきかなかったり、雨具で前方や左右のみとおうしがさえぎられたり事故のもとは数限りなくあります。
 これは車や自転車に限らず歩行者についても同じ事がいえます。
 昨年の統計を見ると歩行者の事故のうち12才以下の児童、幼児の事故が最も多く50%以上をしめています。このように子どもの悲惨な事故をなくす対策として吉原市ではこの期間中、無免許、速度違反、一時停車違反、横断者妨害車両等を厳重に取り締まる一方次のような正しい歩行の指導を行いました。

(1)街頭における指導、取り締まりの強化
◇自動車運転手に対して
 ・子どもの安全通行を妨害する行為はやめましょう。
 ・速度違反、追い越し違反はやめましょう。
 ・無資格、飲酒運転はやめましょう。
◇歩行者に対して
 ・右側一列通行をしましょう。
 ・正しい横断をしましょう。
 ・信号無視はやめましょう。
 ・路上で遊ぶことはやめましょう。
 ・幼児の一人歩きはやめましょう。
(2)子どもをとりまく交通環境の整備検討
 ・横断歩道及び横断旗の整備。
 ・児童通学道路の整備の推進。
 ・路上に物を置かないようにしましょう。
 ・道路の不正使用はやめましょう。
(3)交通安全教室の開催
 ・各学校の生徒、園児とその父兄を対象に交通安全教室を活ぱつにする。
(4)安全運転モデルカーの指定
また広報活動として
(1)交通安全ポスター標語の募集
(2)絵読本“正しい交通”の配布
(3)立看板、安全旗の掲出
(4)事故写真の展示
 などが事故防止対策として実施されました。

 ここで昨年(1月‐12月)吉原署で調べた市内のおける交通事故発生状況をあげますと発生件数は658件で死者16名、負傷者382名、物損276,016円という数字を示しています。その内容をグラフで見ると左のようになります。このグラフからもわかるように、交通事故の原因は徐行することをおこたったり、追い越しや追従が適当でなかったりするのが多いほか、酒を飲んでの運転もかなりの数をしめています。
 規則を守って正しい運転をしましょう。歩く人の事故として一番多く見受けられるのが車の直前直後の横断によるものです。道路を横断する場合には左右をよく見て車の来ないのを確かめてからまっすぐに横断しましょう。
参考までに昨年吉原市で起こった交通事故について調べてみますと発生件数は658件で県下18市のうち第9位をしめ、今年に入ってからもすでに268件が発生しています。この中で一番多いものが徐行違反による事故です。
つい先ほどまで元気だった人が一瞬のうちに死んだり、負傷して一生不自由な体になったりするのも交通事故があるからです。
 一日も早く事故をなくし、明るい吉原市にするようお互いに努力しましょう。

‐ 図表あり ‐
( 円グラフ説明上)・・・車両による事故
( 円グラフ説明下)・・・歩行者(12才以下)の事故

規模は全国第8位 吉原の成人学校・好評

 市民の中にとけ込み、親しまれている“吉原市成人学校”も今年で13回目を数え、すでに一万人以上の市民がこの成人学校で学んだという盛況ぶりです。
 その開講式が去る5月14日市民会館大ホールで行われました。会場には熱心な受講生約1,000名がつめかけ、まず関係者の激励のことば、講師の紹介などが行われ、この日の講演「日本人としての誇り」には、熱心に耳をかたむけるなどよい生徒ぶりをみせていました。この中には十回を数える熱心なものもあり、どの科目を見ても定員を大きくオーバー、中でも料理、自動車、書道は定員の5倍近い申込みに関係者はびっくり、「成人学校が市民の間にこのように関心があるとは知らなかった。私たちもこれからより一層勉強して少しでも皆さまの役に立つよう努力しなければ…」とうれしい悲鳴をあげています。
 授業は16日より5教場、19学級に分かれ、夜7時一斉に開始されました。これは週一回から2回に分かれ、10月末まで続けられます。生活科学調査会の調べによると、市の成人学校は全国9,000の成人学校のうちその規模では8番目をしめ、マンモス成人学校といわれる川崎市を筆頭に名古屋市、高松市、長野市、堺市、大阪市、大垣市、吉原市、横浜市の順で、文化教養振興都市にふさわしい吉原市は全国的にもその異彩を放っています。
なお授業内容は次のとおりです。
月曜日
 吉原小学校‐書道(毛)・料理・自動車・音楽
 今泉小学校・抹茶A
 市民会館‐謡曲・詩吟
火曜日
 吉原小学校ー絵画・書道(ペン中)・書道(ペン初)
 今泉小学校‐抹茶B
 市民会館‐煎茶A
 体育館‐柔道・剣道
水曜日
 料理学校‐料理
木曜日
 吉原小学校‐書道(毛)・自動車
 市民会館‐謡曲・詩吟
金曜日
 吉原小学校‐華道・絵画・書道(ペン中)・書道(ペン初)
 市民会館‐煎茶B
 体育館‐柔道・剣道
土曜日
 料理学校‐料理

‐ 写真あり ‐
(写真説明)・・・講師の紹介

6月メモ

‐ イラストあり ‐
( イラスト説明)・・・かたつむり

衣がえの月になり、デパートの店頭、商店にも夏ものが出そろい布地や既製服などの特売がよく開かれます。安いからといって出たとこ勝負の買いかたは禁物、しっかりした衣服計画に基づいて買物をする事が必要です。そのほか、ぐづついた天気が続きますが、肌着だけは手まめに洗い、いつも清潔な衣服をつけたいものです。なお、カヤ、夏フトンの用意はつゆ明けまでにはととのえましょう。

食欲についてはビタミンが不足がちになりますから、つゆ時の食欲をさそう献立を考える必要があります。この頃出回る野菜の一つにグリンピースがあります。子供に喜ばれる豆ご飯をたいたり、油揚げのきざんだものを味つけして混ぜたりして栄養本位に考えましょう
 なお細菌のはびこる時期ですから食べものの腐敗と中毒には十分注意しましょう。食べものの腐敗は細菌がふえるのに適当な湿気と温度(25度‐40度)が保たれること、細菌の栄養になるものがあることが条件になっています。困ったことに6月はこうした条件が季節的にあてはまるものです。「もったいないから」と残りものを残しておくようなことはなくしましょう。
 共同炊事の時は特に新鮮な材料を使うことです。

住いについても、つゆでしめっぽいたたみはクレゾール石けん液でふき、晴れまには窓も押入れも開け放って風を通します。台所の戸棚は熱湯でふくなどすべてを清潔第一にしましょう。
 また雨どいに散っている木の葉を除いたり、庭に排水路を作ったり、家の周囲のぬかるみに石灰カスをまいたりする事は、つゆの晴れまの仕事です。またつゆあがりの暑さに備えて防虫アミ戸をつけるのもわすれずに。

人口の動き(昭和38年4月30日現在)

男 4万2,527人
女 4万1,988人
計 8万4,515人
世帯数 1万7,705世帯