広報よしわら 昭和41年11月に富士市と鷹岡町と合併した吉原市広報紙の全記録

昭和38年 4月1日発行 内容

ぼくらみんな一年生(東小学校にて)

‐ 写真あり ‐

38年度予算決まる 総額15億1,778万6,000円

73件(才入・才出予算など) 原案どおり可決

吉原市議会3月定例会は、去る3月11日から6日間をもって全日程を終了しました。
この市議会は、昭和38年度予算案を始め、重要議案73件を審議するもので、いずれも原案どおり可決されました。この予算編成にあたっては、依然として低迷状態にある日本経済の一般的動向から、少なくとも38年度下半期までは、現状が続くものと考え、また、地域経済の構造にともなう景気動向などもふくめ、現実性に対面した予算を編成したものです。この結果、市の昭和38年度一般会計は才入才出ともに10億7,671万円となり、前年度に比べ199万9,000円の増加となっています。なお、特別会計は新たに学校給食事業会計も加え19会計となり、合計額は4億4,107万5,800円、これを一般会計と併せると15億1,778万5,800円となります。これは前年度に比べ9,375万2,810円の増加です。

■電気ガス税 さらに1%下げ
 健全財政を堅持するためには、(1)才入の確保に努める。(2)年間を通じて必要な市の行政活動費を確保する。(3)予算外義務負担事業、継続事業には優先的な財政措置をとる。
 これらを基につくられた吉原市の昭和38年度予算の主なものを順次説明してみましょう。
◇歳入面
 市税は市才入の骨幹をなし、経済の動向を敏感に反映するため、予算計上にあたっては、経済界の推移と当地方の産業構造面からみてその根源を電気ガス税の1%引下げ、低迷状態にある地域経済の不安定さ、として確実な年間収入見込額、6億3,117万円が計上されました。
 地方交付税については、1,187万円を計上、これは前年に続いて財政の激変緩和措置として認められる町村合併促進法により、不交付3年目の大淵分実績として423万円、4年目の須津分実績264万円と災害復旧見返り財源の特交分500万円を国からの援助として見込んだものです。
 分担金および負担金1,180万円は、防火水槽築造費負担金50万円、土壌線虫防除費負担金53万円、住宅団地造成事業の公社負担金1,080万円です。
 繰越金は前年度の繰越見込額でこれには5,500万円が計上され、図書館建設費分2,500万円と市立病院建設用地買収費1,000万円等が含まれています。

■土木費に7,107万円
 才出経費のうちで一番多い3億8,350万円が計上された事業費に重点をしぼり、主なものを説明すると
(1)消防費 市民の生活安全をはかるため、40トン入り防火水槽5個を新設、消防ポンプ自動車一台(老朽なため)を更新のため420万円を、さらに市の防災態勢を整備強化するため消防費中に新しく防災費が設けられました。
(2)土木費 総額7,707万円が計上され、その主なものは(カッコ内はその内容)
道路橋梁新設改良事業費(簡易舗装事業、橋梁改良事業に充当する)=1,300万円
国、県道事業費負担金(ほぼ確実な事業見込額として措置)=500万円
治水堤防事業費負担金(海岸堤防改修その他見込額)=200万円
都市計画街路事業費(吉原‐沼津線2橋などの事業費)=3,150万円
防災街区造成事業費(補助金で国=547万円、県=182万円、市=367万円と合わせて交付するものです。)=1,096万円
(3)社会労働施設費 住宅難を緩和するため住宅団地に第一種簡耐2階建12戸、平家建12戸、第二種簡耐平家建28戸、同集会室付住宅3戸、計55戸を建設するための用地の取得および造成事業を含んだ5,350万円を計上したものです。
(4)生活保護費 前年度保護基準額が大巾に引き上げられ、38年度にも更に引き上げられるようですが、国からの正式通達によるため一応3,249万円(606万円の増額)が計上されています
 市営保育園は幼児期の人格形成にかかすことのできない重要な施設のため28万円が増額、施設の充実が図られるわけです。
(5)青少年保護育成費 非行年令が低下したため児童福祉法の活動を含め、健全育成に重点をおき各機関の協力を得て家庭の責任や自主的な地域活動を助長するための経費が計上され、特に夜間の防罪防止のため市内必要個所に防犯灯の設置事業助成が行われます。
(6)保健所衛生費 この計上にあたっては衛生行政の重点を、環境衛生の整備と清掃作業の近代化としています。三ヵ年継続事業の最終年度にある清掃作業所建設事業のため4,504万円が計上されそのほか「カとハエ」のいない生活の推進として薬剤散布に重きをおき駆除活動から一歩進んで、発生源の除去、不良農地の善とをはかり、伝染病予測事業としては遠く予防措置をするよう活動費も計上されました。
 以上昭和38年度一般会計予算の主な概要をひろってみましたが、当初予算において計上しなかった田子の浦港の修築事業負担金、都市計画事業などは今後決定したとき予算が必要となりますが、これにつき市長は「財政の運営に当たっては充分に注意し、健全財政を堅持しつつ時代の要求と市民の要望に対応した明るい市制の運営に最善を尽くしたい」と述べています。

市債

市立商業高等学校建築費 4,000万円
都市計画街路築造事業費 400万円
公営住宅建設事業費 1,500万円
公営住宅敷地取得造成事業費 1,200万円
し尿処理施設建築事業費 3,000万円
消防施設整備事業費 270万円
計 1億0,370万円

◇特別事業会計の充当財源には
 国民健康保険事業会計へ 190万円
 下水道事業会計へ 1,390万円
 土地区画整理事業会計へ 990万円
 公益質屋事業会計へ 90万円
 学校給食事業会計へ 120万円
 育英奨学事業会計へ 200万円
計、2,980万円がそれぞれ繰り出されます。

待望の給食パン施設

 教育行政に力を入れる市では、校地、校舎整備など教育環境の向上をはかり、大淵中学校校舎、元吉原中学校講堂の建築のため概要設計委託料として50万円が計上されています。
 なお、昭和36年度に着手した市立商業高校と同併設中学校の38年度予算外義務負担額5,000万円はその実施額として4,427万円を計上したものです。
 総事業費6,200万円の市立図書館建設は待望久しい市民の夢をかなえてくれるものとして着工をいそがれていましたが、理想的な設計を行うため事業ものび、10月末に完成予定となりました。また、伝法小、原田小、一中で生活学級として学んできた精神薄弱児、遅滞児といわれる児童のため、それに相応した設備と特別な教育者を確保するため、本年はその研究期間とされました。
 教育費中、おもなものは、前年に引続き教育教材費備品を小学校に146万円、中学校に131万円、理科教育振興備品を小学校に60万円、中学校に60万円とそれぞれ計上してあります。
 第二年度をむかえる商業高校備品としては、校具、教具を含め600万円を上げてあります。

◎学校給食事業
 これは、児童、生徒の給食用パンが理想的、衛生的な品質管理のもとで製造され、栄養価値の高いパンが得られるよう作られた事業会計です。
 本年9月1日の業務開始をめざし今泉小学校敷地内に建設するもので事業費3,150万円と業務費744万円が計上されました。この充当財源としては建設費に3,150万円とパン加工手数料収入624万円及び一般会計より繰入金120万円が計上されています。

金子市長の施政方針

 吉原市議事堂で開かれた本会議第1日目で、金子市長は昭和38年度予算編成方針の説明に先だち「ここ2、3年、25%程度の上昇を示している電気ガス税が政府の政策減税により、38年度に再び1%の減税となりました。これにより、市電気ガス税は36年度をピークに46%の減税となり、市財政に及ぼす打撃がいかに大きいかが予想され、38年度市財政は好むと好まざるにかかわらず極めて逼迫(ひっぱく)した運営をよぎなくされ、計画4年目を迎える当市5ヵ年計画も予想しえなかった障害にあたる結果となりました。このため、市の発展や市民福祉の将来を考え、文教行政、衛生行政に思いきった施策を行なってきた公共投資も、財政基盤の整備、充実を期すため、38年度をもって財政措置に一応結着をつけたく思う」と述べました。

才出経費別区別

- 図表あり -

◇歳入財源内訳
一般財源‐6億9,554万円で65%
特別財源‐3億8,117万円で35%
となっています。その内訳は
自主財源‐1億4,487万円で13%
保存財源‐2億3,630万円で22%です。

◇才出経費別区分
 人件費‐3億2,249万円で29.9%
 物件費‐1億1,843万円で11.0%
 その他の経費‐2億3,084万円で21.4%
 維持修繕費‐1,914万円で1.8%
 事業費‐3億8,305万円で35.6%
 予備費‐275万円で0.3%の割合になっています。

 これについて説明を加えると、人件費は前年より7,571万円の増額となっています。この主な原因は前年度末の公務員給与改定と清掃作業所の平年度化にともなう人件費及び幼稚園、図書館商業高校職員の増員によるものです。
物件費は前年と殆ど同額が計上され、少しでも多くの事業に廻されるようにしてあります。
 その他の経費については7,419万円の増額となり、その原因は市債の償還と生活扶助費の引き上げによるものです。また維持修繕費は、学校施設に55万円の増額をおこなったほかは前年と変わりません。
事業費はその効果、重要性、緊急度を含め、市財政と関連させ予算外義務負担事業、補助対象継続事業を優先的にとりあげてありますが前年より1億4,564万円の減額となったものです。

‐ 円グラフあり ‐
( 円グラフ説明)・・・才出経費別区分

特別会計

特別会計は19会計となり、その合計額は4億4,107万5,800円です。その内訳は次のとおりです。

◇下水道事業会計
 才入才出ともに3,400万円で、その主な事業は、下水道築造事業費に1,938万円、終末処理施設事業費に1,200万円となり本年度は幹線、準幹線を含め約1,700メートルの管渠布布設と併せて終末処理施設の完工が図られる予定です。

◇国民健康保険事業会計
 前年より2,040万円増の9,121万円が計上されました。当市の国保事業は開始以来順調に運営され、効果をあげています。38年度は国の社会保障施策の積極的推進によって世帯主の一般疾病については、その給付率を5割から7割に引き上げ、新しく低所得者の負担軽減を図るとともに診療報酬の地域差を撤廃するため実質医療費5%が引き上げられることになりましたので、これらを総合すると、療養給付費は前年に対し29%の増嵩が見積もられます。
 従って、国保事業の財政運営は従来にない逼迫が予想されます。保険事業の自主性と、これが健全な育成である結果、保険税課税標準については療養給付費にその80%を限度として徴収できるが、加入者負担が著しく高くなるため本年度は20%増徴し療養給付費に対する60%に止めました。このため不足する190万円については、一般会計から繰入れることより財政の均衡が保たれます。

◇土地区画整理事業会計
 昭和37年度より5ヵ年計画をもって行っているこの事業も本年度は区画整理区域内の一部約3万坪の造成を行うとともに道路の築造2,950米、公園築造2,200坪、水路の築造120米が予定されています。
事業費、業務費合わせて5,000万円が計上されています。
充当財源については、市債4,000万円、一般会計からの繰入金990万円、繰越金10万円となっています。
 以上で昭和38年度予算の概要を終わり、これでわかるように逼迫した財政の内で市民に直接関係ある身近な事業に多額の経費が注がれていることがわかります。

市民の動き(昭和38年2月28日現在)

男 4万2,151人
女 4万1,733人
計 8万3,884人
世帯数 1万7,511世帯