健全財政を堅持
市勢の繁栄にそなえて “財源確保と才出の適正化に万全”
吉原市議会3月定例会(37年第1回市議会定例会)が去る3月8日から19日まで、12日間の会期で開かれました。この定例会は、市の37年度予算を審議する1年で一番大切な市議会で、36年度関係もふくめて89件にのぼる議案が上程されました。
第1日目は、金子市長の予算編成と施政方針についての演説があい、それに対する一般質問、議案の朗読、説明などにつづいて、議案は各常任委員会に付託されて、慎重な審議が行われました。そして、再び16日に開かれた本会議で各委員長からの報告と質疑を受けたのち、議案は全部原案どおり可決され、躍進する吉原市にふさわしい新年度の予算が成立したわけです。この定例会で議決されたおもな内容を説明しますとつぎのとおりです。
市税収入額 5億7,671万円を見込む
本年度の市税増額5億7,671万円を見込み計上されました。
市税は市才入の骨幹をなすものであると同時に、一面経済の動向をきわめて敏感に反映するため、市税の計上については、経済界の推移観察は勿論のこと、当地方産業構造についても慎重にこれを検討し、能う限り適正な財源の捕捉につとめました。
なお、本年は地方税法の一部改正のうち、住民税個人分について是正が行われ、当市は住民負担の軽い「本文方式」を採用することとしました。
市税のうち、電気ガス税において本年は1%の税率の引下げとパルブが非課税となり、このため、当市においては市民税に匹敵した電気ガス税の相当額の減収はまぬがれないところで、本年度事業面に及ぼす影響はかなり大きなものがあると思われます。しかし、他面市民税における法人税割を除き固定資産税なども順調な伸長が期待できるものと考え、年間税収見込額として5億7,671万円を計上したものです。
なお、この額の才入に占める割合は54%であり、前年当初予算に比べ106%となりました。
事業費実に5億2,869万円を計上
全体予算の49%にあたる
37年度の才入才出は、大別しますとつぎのようになりますがここで目立つものは、歳出経費のうち、事業費が全体予算の約半分に当たる49%5億2,869万円が計上されていることです。これはおもに市立商業高等建設費5,000万円をはじめとして、し尿処理場、公営住宅建設事業などと私たちの身近かな事業に多額の経費が注がれているということです。
ここで、才入財源、才出経費、おもな事業費について区分しますとつぎのとおりです。
▽才入財の内訳
一般財源=6億5,204万円で61%
特定財源=4億2,266万円で39%
となっており、その内訳は、
依存財源=3億877万円で29%
自主財源=1億1,389万円で10%
となっています。
▽才出経費別区分
人件費=2億4,679万円で23%
物件費=1億1,649万円で11%
その他の経費=1億5,664万円で14%
維持修繕費=1,858万円で2%
事業費=5億2,869万円で49%
予備費=750万円で1%
の割合になっています。
▽おもな事業費
市立商業高等学校建築費=5,000万円
道路新設改良事業費=400万円
岳南排水路整備事業負担金=1,000万円
港湾修築事業負担金=4,000万円
公営住宅建設事業費=1,300万円
し尿処理場建設事業費=3,000万円
塵芥焼却場建設事業費=800万円
消防施設整備事業費=400万円
計 1億5,900万円
をそれぞれの事業の推進をはかるための充当財源として予定されています。
また、これに説明を加えますと
◎人件費は前年に比較しますと、7,008万円増額されていますが、このおもな原因は、前年度末における公務員の給与改定と本年度開校する商業高校及び清掃作業所、各中学校給食施設等新規事業の完備にともなう人件費の増加などとなっています。
◎物件費は前年に比較して473万円増額されています。そのおもな原因は、市立商業高校の備品費500万円のほか、電気料金の値上げによる光熱水費の435万円、燃料費、印刷製本費などの540万円、そのほか物件費全般にわたっての諸物価高騰などのよるためです。
◎その他の経費は、953万円の増額ですが、これは市債の償還がおもなものです。
◎維持修繕費は、市民会館、体育館の維持修繕費185万の増額を行ったほかは前年とほとんど同じ額です。
◎事業費は、その重要性、緊急度事業効果などを勘案するとともに、財源との関連を考慮して、継続事業、補助対象事業を優先的に計上したもので、前年に比較しますと9,263万円の増額となっています。
予算編成と施政方針の要旨
3月8日午前9時から本会議が開かれ、金子市長は、昭和37年度予算編成方針と施政方針について大要つぎのように説明いたしました。
「国が打ち出した所得倍増計画に基づく政府の経済伸長政策は、民間設備投資急増の主因となって経済拡大のゆき過ぎを助長し国際収支の大巾な赤字を招来する結果となり、政府は昨年の秋、急拠この景気過熱を調整するため施策を打出しその政策転換のために、昨年末頃より逐次その影響が各方面に浸透してきた。しかし景気の後退は当然企業収益の減少、その他の悪材料となって、昭和37年度の地方財政は、かなりきびしい困難な局面に立たざる得ない立場に置かれることが予想され、このような経済情勢下でも、
健全財政を堅持してまいりたいという私の信念には少しも変わりはなく、可能な限り、才入の確保に努め、市の建設計画を基調として年間を通じて必要とする行政活動費を計上するよう努力し、昨年度より継続事業となっている市立商業高校と併設中学校建築事業費7,434万円清掃作業所建設事業費7,172万7,000円を計上した関係上、当市建設計画のうち、須津小学校、大渕中学校、の改築費(4,197万9,000円)消防本署の設置(1,400万円)、そのほか道路新設改良事業の一部などを余儀なく当初予算に計上出来得なかったほかは概ね計画通り計上した。
即ち、本年度の予算規模は、一般会計においては、才入、才出共に10億7,471万1,000円で前年度当初予算に比べ、1億8,290万8,570円、(20、5%の増加)特別会計では、大小合わせて18会計で、合計額は才入、才出共に3億4,932万1,990円、一般、特別会計を併せると14億2,403万2,990円となり、前年度に比べ、2億2,125万9,260円の増加となっている。
幸い健康に新年度を迎える喜びと共に、山積する市制全般に亘る諸問題に、愛市に燃える議員諸賢のご努力と、市民各位の理解あるご協力を得て、着々とその成果を挙げ、日一日と面目を一新する躍進吉原市の姿とその洋々たる将来を想うとき、最終任期であるこの一年に全精力を傾注したい」と力強く述べました。
文教施設の充実をはかる 全中学校に給食施設を完備
昭和36年に着手した市立商業高校ならびに同併設中学校は継続事業として2年目を迎え、昭和37年度において予算措置を予定していた予算外義務負担額1億2、344万円は、事業財源ならびに財政運営の面を考慮した結果この内5,000万円を昭和38年度に繰延べ予算外義務負担の措置を講ずることとして、とりあえず、7,344万円を計上しました。
中学校新営改築費は、中学校全校に給食を実施するための給食室新営改築事業費2,730万円を国の補助を得て施行するほか、須津中学校々地拡張にともなう施設費192万円、吉永第一小学校講営新築事業を吉永特別会計からの繰入金800万円と地元立替金750万円の計1,550万円をもって施行することになりました。
なお、教育費中、経常的経費でおもなものとしては、前年に引続き、技術家庭科用備品費を小学校に76万円、中学校に200万円のほか、各種教育教材費を小学校160万円、中学校に130万円を、また商業高校備品としては教具、校具を含めて500万円が計上され、昨年度に設置位置の設定をみた市立図書館建築事業に3,500万円があげられています。
特別会計3億4,932万1,000円
下水道・国保 土地区画整理事業など15会計
特別会計は大小合わせて18会計あり、その合計額は才入、才出共に3億4,932万1,990円で、この内訳はつぎのようになっています。
◇下水道事業
予算は4,869万円でこのうち下水道構造事業費1,593万円、終末処理施設事業費3,000万円がおもな事業費となっておりますが、この事業に対する財源は、国庫3分の1の補助金1,500万円、市債2,000万円を見込み、不足分は一般会計からの繰入金1,359万円をもってこれにあて着工以来4年目を迎えたこの事業を推進することにいたしました。
◇国民健康保険事業会計
前年より1,489万円増の7,081万円が計上されています。
当市の国保事業は、開始以来順調な運営をつづけてきましたが、前年度2回にわたって医療費単価の引上げ、被保険者受診率の上昇などで給付費はにわかに増嵩したためやむなく、一般会計よりの繰入及び準備積立金を取崩してこの補填を行ない運営してきました。
本年度は、保険事業の自主性と健全な育成を充分に考究した結果、保険税率を20%方増微不足分は一般会計より400万円を繰出し保険事業に万全を期することになりました。
◇土地区画整理事業
前年度に事業認可を受けて施行する予定が、国の指導方針により田子浦港背後地の広域計画を樹立する必要に迫られ、一部区域内の都市計画街路の計画変更を余儀なくされ、その着工を繰延べていましたが、本年度より改めて着工することとなり事業費業務費併せて2,520万円が計上されています。
そのほか、内山会計は、2,061万円、公益質屋会計481万円など13会計がこれに含まれています。
土木費
総額で1億6,751万円
道路橋梁新設改良 都市計画街路 事業など
土木費では、総額1億6,751万円が計上されています。
おもな事業費はつぎのとおりです。
◇道路橋梁新設改良事業費=2,850万円
◇国県道事業負担金=1,159万円
◇河川改修事業費=405万円
◇港湾事業負担金=4,035万円
◇都市計画街路事業費=2,973万円
◇都市計画街路県事業負担金=800万円
◇防災街区補助事業費=1,204万円
◇都市水利排水施設事業費=1,000万円
◇過年度災害復旧事業費=700万円
となっています。
つぎにこの内訳をみますと、道路橋梁改良事業費では、工事請負費1,850万円、道路舗装費1,000万円、都市計画街路事業費では、補助事業、吉原沼津線舗装事業970万円、弥生線新設改良事業1,014万円で、残事業費の989万円は市負担都市計画事業費となっています。
58戸の市営住宅二夕子団地に建設
社会労働施設費関係では、住宅事情緩和について、なおその必要性を認められるため、前年に引続き二夕子団地に、第一種簡耐2階建12戸、平屋建12戸、第2種簡耐平屋建24戸及び要保護世帯を対象とする市営福祉住宅簡耐平屋建10戸、計58戸を3,967
万円をもって建設することになりました。
衛生行政の重点を環境衛生の整備におく
保健衛生費は1億484万円で2,700万円増額され、前年に引続いて衛生行政の重点を環境衛生におくことになりました。
そのおもな事業は、清掃作業所の建設で、し尿処理施設事業費5,550万円塵芥焼却施設事業費1,622万円を本年度分の事業費として計上するほか、作業所諸費に500万円の経常費を見込んだものです
なお、本年度は多年の懸案である病院事業は、第一段階として、用地を確保する必要上、敷地購入費として1,000万円が計上されています。
このほか、とくに全市域にカとハエのいない明るい環境を推進し市民の健康を保持してゆくため、駆除機4台を購入、保有台数17台を確保し、薬品等原材料費50万円の増額を行って、総額433万円の予算を計上して、計画的、積極的にこれを実施することになりました。
最近、激増する交通事故から、市民、とくに通学児童の安全を守るための対策を積極的に押す進めるために、新たに交通安全対策費として397万円を計上しました
青少年の保護育成問題には、地域活動の推進に一段の努力を注ぎとくに夜間の犯罪防止のため、本年度は新たに50万円を計上して市内必要個所に対する防犯燈設置事業の助成を行い、街を明るくする運動を強力に展開して、青少年の保護育成をはかることになりました。
また、最近社会複雑化にともない、市民の家庭生活の上に心配ごと悩みごとが多くなる傾向にありますので、本年度は社会課内に相談所を設け関係機関の協力を得て積極的に市民の利便をはかることになりました。
男 4万1,308人
女 4万1,139人
計 8万2,447人
世帯数 1万6,563世帯