広報ふじ 昭和41年11月に吉原市と鷹岡町と合併した富士市広報紙の全記録

昭和41年 4月1日発行 内容

世帯と人口(41年3月1日現在)

面積 30.55平方キロメートル
人口総数 5万4,864人
男 2万8,110人
女 2万6,754人
世帯数 1万2,123世帯
転入457人 転出452人
出生89人 死亡27人
婚姻44人 離婚0人
死産10人

公共投資の拡大はかる
一般会計 特別会計 総額で17億3,000万円
新年度の予算市議会終る

 新年度予算をきめる3月定例市議会は、9日から19日まで会期11日間にわたって開き慎重審議を行ない昭和41年度一般会計および特別会計予算など23件が原案どおり可決、成立しました。

−写真あり−

 まず漆畑市長は、第1日目の本会議席上、約40分間にわたって41年度の施政方針の大綱を次のとおりのべました。
▽昭和37年5月、市長就任以来、4年、市議会をはじめ市民各位の市政執行についてのご協力を心から感謝する。
▽任期の関係もあるが諸般の情勢上、あえて年間予算を編成した。
▽新年度の財政運営は極めて困難が予測されるが、消費的経費を極力節減し公共投資の拡大をはかる
▽財政規模を徒らに拡大して無理せず、基本的には健全財政を堅持しつつ積極予算の編成につとめた。

■市税収入 6億4,000万円
 新年度予算の総額は、一般会計において12億1,950万円、特別会計で5億830万3,000円、合計において17億2,780万3,000円になります。
 これを前年度にくらべてみますと、15%の増加となりました。
◇歳入
 まず市税収入は、歳入総額の52.4%を占め、前年度当初額より8,700余万円の額の6億3,882万8,000円が計上されました。
 つぎに地方譲与税の100万円は、田子の浦港の開港に伴い入港する外国貿易船について課せられる特別トン税法にもとづき国より譲与される税であります。
 地方交付税は、特別交付税分として200万円。
 分担金負担金の72万円は、私立保育園における措置児童の扶養義務者の負担金として計上しています。
 使用料及び手数料については、文化センター使用料や市営住宅の増設分、市保育料の保育料を見込み、前年度に比べ1,000万円増の2,365万7,000円が計上されています。
 つぎに国庫支出金は2,600万円増の総額で1億3,268万4,000円が計上されており、これは老人ホーム、保育園の措置児童等の民生費の国庫負担分や土木費の都市計画補助金、公営住宅建設補助金、教育費の第一小校舎改築などが主なものであります。
 県支出金は、前年度とほぼ同額程度の1,443万円で、その主なものは県民税の徴税費、知事選挙費の委託金や土木費の補助金であります。
 財産収入は、総額1億559万円が計上されていますが岩本山の住宅団地の分譲による収入および市有土地の売払収入など。
 その他、寄附金の3,611万円をはじめ繰越金や諸収入、市債などはいずれも各種の重要事業を執行していくための財源にあてられています。

■宿願の加島踏切り 地下道などを建設
◇歳出
 つぎに歳出について主なものを列記してみますと、新年度の施策は、継続事業を中心とした社会開発等を目標として編成されております。(カッコ内の数字は前年対比の増減)
◇議会費
2,477万5,000円(147万3,000円増)
◇総務費
1億4,791万7,000円(1,284万7,000円の増)であります。
(1)給与改訂に伴う増額分 (2)交通安全対策を強化するため新しく婦人交通指導員が配置されます。
(3)文化センターが4月5日開館するため最小限度の運営費として1,390万円が計上されています。
◇民生費
1億5,749万1,000円(6,308万7,000円の減)となっています。
(1)文化センター建設費8,809万1,000円が計上されています。
(2)北保育園の開園による職員の増員など
◇衛生費
7,033万4,000円(1,754万円の増)
(1)上水道整備のための繰出金として1,500万円
(2)市立富士中央病院整備のため繰出金800万円が措置されています。
◇労働費
234万8,000円(21万2,000円の増)
◇農林水産業費
 4,996万9,000円(174万3,000円減)前年度引続き重点事業として主要河川改修と農業構造改善事業を実施する。このため農業生産基盤整備費として2,780万円が計上され土地改良事業を強力に推進されると共に、上堀、中堀など河川改修や農道整備に総額1億2,000万円が予算化されています。
◇商工費
 2,229万2,000円(567万2,000円の減であります。)
 これは、旭化成の契約による助成金の減で実質は480万円の増となっており、またとくに中小商工業者の融資円滑をはかるため、貸付金として989万円を計上しています。
◇土木費
(イ)土木費総額は4億4,572万7,000円で前年より1億2,200万7,000円の増となっています。とくに、ことしも引続き市道の舗装に重点が置かれ一般土木費の内訳は
(1)道路維持費に765万円
(2)道路新設改良費に4,764万5,000円
(3)橋梁維持改良費に118万円
(4)河川維持改良費に894万1,000円
(ロ)港湾費地元負担金として取りあえず7,000万円を計上、金額起債をもってあてられています。
(ハ)区画整理事業費6,731万円を措置し、前年度に引続き第2工区と加島踏切の地下道建設が実施されます。
(ニ)補助街路事業費については、引続き富士−鷹岡線富士−伝法線、前田−宮下線の舗装と田子浦−伝法線が改良されます。
 また都市下水路事業および公園事業は、前年実績程度が行なわれます。
(ホ)住宅費1億4,531万1,000円が計上され住宅団地の造成が早急に推進されます。また公営住宅の建設は30戸が予定されています。
◇消防費
3,175万3,000円(1,063万8,000円の増)消防力強化のため700万円を予算化し化学消防車1台を購入します。
◇教育費
 1億6,009万円で前年度にくらべ2,139万7,000円の増。これは第一小学校改築第二期工事費5,250万円および田子浦学区プール構造費として650万円が措置されているのが主なものであります。
 なお、災害復旧費以下につきましては、格別これといって取上げる点もないので以下省略します。

ことしの重点事業
道路交通行政 住宅行政など推進

新年度予算に計上した市政の重点事業はつぎのとおりです。
◇産業基盤の整備事業
(イ)富士川用排水土地改良事業
(ロ)田子浦港整備事業
◇道路交通行政の積極的推進
(イ)市道の舗装、改良、幹線街路の築造
(ロ)加島踏切地下道設置
(ハ)交通安全対策の推進
◇環境整備事業
(イ)富士駅周辺土地区画整理事業
(ロ)下水道事業
(ハ)上水道第2次拡張事業
◇文教施設の設備充実
(イ)第一小学校改築
(ロ)田子浦学区プール新設等
◇住宅行政の推進
(イ)公営住宅の建設
(ロ)住宅団地の造成と分譲
(ハ)建築住宅課の新設
◇岳南2市1町合併の促進

−図表あり−
(図表説明)・・・昭和41年度一般会計歳入歳出予算

脚光を浴びる田子の浦港
国際貿易港として4月1日からスタート

−写真あり−
(写真説明)・・・賑う田子の浦港

 田子の浦港は、いよいよ4月1日から国際貿易港としてスタートすることになりました。
 同港は、駿河湾に流入する河川を切り開いて作った掘込式人造港としては、全国でも珍らしい港であるといわれています。
 すでにこの港には、ノルウェーを始めソ連、韓国、アルゼンチン、アメリカなどの外国船が入港しており今後は更に国際色豊かな田子の浦港として清水港につぐ良港になる日も間近い。
 また、4月7日には国際貿易港の開港を記念して、鈴川埠頭で県や吉原、富士の関係者多数をむかえ開港祝賀式を行ないました。