北九州市視察結果の意見交換
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(写真説明)・・・北九州市小倉区役所において
A 北九州市がなぜ合併しなければならなかったか、ということが話されたわけでございますが、共通して言えることは、あそこがいわゆる鉄と石炭、しかも関連産業が非常に多く、合併されるということは必然だったと思う。
北九州市の場合は工業の発展からくる産業基盤の再開発のほうが本旨のように思われます。住民環境の福祉ということも合併の中で地位を占めていると思いますが、いずれにしても工業の促進の合併だと思います。
そこで、タッチゾーン方式ですが、先程の報告にもそれが障害になっているということ、私もそう思うのです。
産業基盤の整備ということは、どうしても住民のサービスの促進がはかれないじゃあないかと思う。
それで当地区の合併はどうかということを考えてみますと、田子の浦港を中心としたところの地域開発ということで、産業基盤の整備ということが主眼になってくると、どうしても住民福祉というものは置去りになってしまう。
B 市民に約束されたのは市民サービスを絶対に低下させないということを前提に合併をやられた。で、これはタッチゾーンを採用せざるを得ないということになってくると思います。
それで北九州市の場合市民サービスは絶対に低下させない現在の機構をそのままやるのが1つの約束、多角的都市をつくるのだということで産業基盤の整備をしなければならない。そういうことの2つの柱がでてきたと思う。
ところがやってみて市民のサービスはそのままであるから経費がかかる、ほかの財源がなければ産業基盤については何も手がつけられないということです。
ですから新規の事業に手がつけられない。
この地区が合併したにしましても産業基盤の整備をすることによって、市民のサービスを低下させていかなければならないじゃないかという形になると思うのです。
C 北九州の合併の場合には政令指定都市とか、大規模焼却資産とか恩典があったが、岳南地区の場合は余り恩典がない。よほど堅実なプランをたてて、住民の行政水準の低下をさせないようにすることが必要だ。
D ちょうど建設委員会で頭をしぼっている2市1町の建設計画(継続事業を指す)の今後5ケ年間の計画は、それは一種のタッチゾーンの形になるのではないか?
A 従来の実績、財政の伸びから、あの継続事業というものはかなり制約がでてくると思います。
E 合併すれば相当税収があるということで我慢してやった。合併すれば何とかなるということで合併した。そのように何とかなるということの前提でやったならばとんでもないことになる。
D 合併促進協議会でもこれは、県なり国なりの相当の指導があるわけなのです。
財政的なバックアップがなければ2市1町の建設計画が実現できないと思いますが、合併したらタッチゾーンは決していけな□。タッチゾーンに代る行政水準を下げない何らかの方法を捜すことが1つ、それから財政力の裏付けをほかから何とか考えなければならない。
□は原本空白部分です。(中央図書館にて確認)
F 全員協議会はまったく重要な協議の場だと思うのです。1つのルールとして来年の4月を目標としてできている。いずれにしても当市は会長をいただいており、事務局を置いてあるわけで、ある程度リードして協議していくということの大きな責任をもっていると思います。市当局としてもあるいはわれわれ議員としても考えておると思います。
北九州をみてきた結果、かりに2市1町が合併してやはり1年、2年、3年ぐらいで合併してよかったということは私はあるべきでないと思います。
大都市合併は基本的な事業は大きくなれば、ある程度大きな仕事はできるということは、はっきりしており、当局(合併事務局を指す)も新市建設の5ケ年計画の試案をつくっておるわけですが、先程から皆さんのご意見の中で財政が伴わない、あるいは無理した計画を作ってしまうということになれば、タッチゾーン方式に似たりよったりということのご心配はごもっともだと思います。
さりとて、このような計画がなされないということになっては一体市民に対してどのようなPRがあるかこれも1つの問題になってくるのです。
2市1町の合併について県の指導なり、あるいはいままでの市民感情なり、いまいま総まとめが近づきつつあるわけでございます。そういう重大なときに北九州市を見てきたわけですがこれから1、2ケ月が重要な時期でありますから、これからの協議会をどのように進めていったらいいか。
D 少なくとも2市1町の議員が一同に会して話し合うぐらいの機会がないと意志の疎通ができないと思う。
当局 今のお話の議員が一同に会する機会については措置を考えてみたいと思います。
先程ご意見もあったわけですが、新市の計画を立案することにつきまして、社会開発と住民の利益の2つの考え方をもって作業を進めております。
建設委員会関係につきましてお話がでましたけれども、端的に申し上げますと新規の建設計画をどうするかということを始めたわけであります。特に財政計画にマッチした建設計画を進めます。先日も参与会を開きまして大体の事務の草案をまとめました。
あまり時間がありませんから簡単に申し上げますと83億6,500万円の継続事業費をどう制約するかで新規の事業計画を盛り込んでいかなければならない。もう1つは県の第6次総合開発計画の駿河湾西地区の開発計画の問題と、この事業計画も総合されております。
さらにまた、継続事業というのは、吉原、富士両市は2,000万円、鷹岡町は500万円以上の継続事業が対象となっておりますが、実際に新市が運営されれば、それ以下の事業をやらざるを得ない。その場合の適正額を配慮すべきでありかような点を考えまして財政的な裏付けはどうかということになります。もう一度やり直し、財源をあたり直しましてこの位の金が使えるのではないか、かような点でいま付け加えております。
建設計画というものは先程お話しがありましたように産業基盤整備事業は若干問題があるわけでございますが、やはり住民の生活に直結する仕事をやるということを急いでやっております。
議長 ただいま当局より今後の方針につきまして簡単な説明を聞いたわけでございますが、私どもこれからのいき方でございますが、将来悔いのないように議員としての職をつくしたいと思います。
◆タッチゾーン方式の解説
北九州市が合併に当って協定した基本方針で「合併に当っては、市民生活上重大かつ急激な変化影響をきたすことのなきよう、行財政に必要な措置をしなければならない。」という5ケ年間の経過措置を講じた。いわゆるタッチゾーン方式である。合併年次(38年度は50日間だけ)を含む6ケ年は経過措置ということで従前の市の収入でその市の(地区)の才出を賄う。新市としての新規事業のみ新財源でということである。議員報酬から職員給与まで一切従前の市で賄うわけであるから、新市としての一体性に欠けるのは当然である。
−図表あり−
(図表説明)・・・協議会の協議のすすめ方
1 合併の時期
2 合併をする市町の範囲
3 新市の名称
4 新市の事務所(仮事務所を含む)の位置
5 議会の議員の任期及び定数
6 農業委員会の委員の任期及び定数
7 支所、出張所等の位置、名称及び所管区域
8 特別職の職員の身分の取扱い
9 各種公共団体の取扱い
10 各市町の慣行の取扱い
11 他・フ係に属さない事項
12 新都市建設の基本構想及びその根幹となるべき事業
13 各市町の継続事業との取扱い
14 新市の行政機構
15 一部事務組合の取扱い
16 一般職の職員の身分引継ぎに関する事項
17 条例及び規則の取扱い
18 財産、公の施設、債券及び債務(その他すべての権利、義務を含む)の取扱い
19 市町税の取扱い
20 新市の行政計画
21 使用料及び手数料の取扱い
22 消防団の取扱い
23 末端行政機構の取扱い
24 各種団体に対する補助金、交付金、融資、その他住民サービスの取扱い