広報ふじ 昭和41年11月に吉原市と鷹岡町と合併した富士市広報紙の全記録

昭和40年 5月1日発行 内容 合併特集号

合併

◆会長に漆畑市長を選任 第1回岳南2市1町合併促進協議会終る

 昭和38年9月、第一回の岳南広域都市行政研究連絡協議会を開催し正式に2市1町で合併問題を協議してから40年3月2日までに、この協議会を開くこと11回、今までは主として基礎調査をいたしてまいりましたが、これからの「2市1町合併促進協議会」は、合併のお膳立てをする機関ですから、今まで以上に真剣に、慎重に臨まなければなりません。

 さて、第一回の促進協議会は、去る4月13日午後2時から吉原市の市会議事堂で別頁の委員が参集して開かれました。まず斉藤吉原市長が仮議長となり議事を運びましたが、協議会の会長、副会長の選任では全会一致で会長に漆畑富士市長、植田鷹岡町長の2人が選任されました。続いて委員会規約を承認し、総務、建設、行政の三委員会を設置し、それぞれの委員の選任、正副委員長の互選も完了し、ついて協議会事務局の設置、昭和40年の予算等いずれも、十分な意見を出し合った上決定いたしました。

 いわば第一回の協議会は組織づくりの初会合でありましたが、第二回目からはいよいよ具体的な問題の協議が進められる予定です。

◆合併の基本方針 相互の信頼と融和で
 世界に名高い雄峰「富士」の南麓に設置する岳南地区は、由来製紙工業を以て繁栄してきました。

 この地域の吉原、富士、鷹岡2市1町は、近時ともに工業生産都市として急激な発展を遂げつつあり、既に強固な一つの経済圏を形成しているのみならず、15万人の地域住民は、人情、風俗、慣行をともにし、かつ地理的、社会的、文化的にも密接な関係を保っています。

 加うるに田子浦港の築造と広範な後背地の造成、国鉄新幹線、東名高速道路、国道1号線バイパスの建設工業用水の導入等工業立地の諸条件は急速に整備されつつあります。このため国は本地域を含む東駿河湾地区を工業整備特別地区に指定し、我が国経済開発の拠点たらしめようとしています。

 これらの経済開発とともに地域住民の福祉を増進するための生活環境の改善整備をはかることは極めて緊要であります。

 このため2市1町は大同団結し、一体となって行財政能力を結集し、新都市を建設すべく合併を実現することは当然の帰結とはいえ歴史的にもまた必然性を有するものと考えられます。

 よって関係各市町は次の基本方針に基づいて協議を進め、可及的速やかに新市の実現を期するものであります。

一、合併は2市1町の住民の与論に立脚し住民の福祉増進を基調としなければならない。
二、合併の時期および合併に関する主要な事項については諸般の情勢を考慮して慎重に定めなければならない。
三、合併の形式は2市1町それぞれ対等の立場に立つ合体合併とし、各市町が現に有する財産、営造物並びに債権、債務及びその他の権利義務はすべて新市に引継ぐよう配慮するものとする。
四、新市の建設計画策定にあっては経済開発と社会開発をその基本とし、地域の特殊性を生かし、住民の受ける福祉が新市の各地域に均てんされるよう考慮しなければならない。
五、岳南広域都市行政研究連絡協議会は適切な時期に「市の合併の特例に関する法律」第4条に規定する合併促進協議会に置換えられるようつとめなければならない。
六、合併に関し、行財政その他必要事項は、国及び県に要請し、円滑な進捗を図るものとする。
七、合併に関する協議その他すべての事業について関係各市町は常に大局的見地にたち、信義と誠意を旨とし、相互の信頼と融和につとめ新市民の期待にそうよう健全で明朗かつ文化的な一大工業都市の実現に努力するものとする。

◆十分に論議をつくして 漆畑市長のことば
−写真あり−
(写真説明)・・・漆畑市長

 2市1町の合併問題については、機会ある毎に所信を申し上げしまいりましたが、去る3月の予算市会におきましても述べましたように、合併は住民の福祉を増進することを基調とし、新市民の期待に応えられる健全かつ明朗なしかも文化的な一大産業都市実現の構想のもとに実施すべきものと信じております。

 今回、法律に基づく促進協議会の発足を見、1ツづつ重要問題の協議に入ってまいりますが、私としては早急に新都市建設計画を策定いたし、都市の青写真を市民の皆さんに提示し、十分なる論議をつくし、市議会の協賛は申すに及ばず、大方の市民の御賛同をいただいた上で実現に踏み切ってまいる所存でございます。

 市民各位もこの問題に大いに関心を寄せられ、何かとご協力を賜りますようお願い申し上げます。

◆「議席から」議長 渡辺 春恵
−写真あり−
(写真説明)・・・渡辺春恵議長

 産業文化風土相共通する岳南一帯は、共に相携さえ地域開発を推進し、住民の生活水準を高め、もって福祉を増大させるため広域の行政体制を整える必要があるとし、当市議会においては特別委員会を設けて調査研究を続けて参りました。御案内のように去る3月、岳南2市1町合併促進協議会が誕生し、別掲の委員が決定したのであります。

 従いましてことの重要性に鑑み議員全員が各分野において専門的に調査すべく委員会の構成をいたしました。

 行政需要の高度化とそれに応ずる体制の必要は十分認められますが、あくまでも規模の適正化による地域住民の福祉増進が目的の都市合併は、住民の意志を尊重すべきであります。幸い私共は皆さんの代弁者として議席を与えられております。ご期待に応えるべく努力いたしますのでご協力をお願い申し上げます。

◆知識経験者を加えた協議会委員の顔ぶれ 岳南2市1町合併促進協議会委員

◇富士市
漆畑五六(市長)
遠藤栄(助役)
渡辺春恵(議長)
渡辺作蔵(副議長)
佐野晴雄(議員)
服部国太郎(議員)
佐野善郎(議員)
羽切松雄(議員)
芝田幸太郎(議員)
山田金吾(知識経験者)
斉藤新作(知識経験者)

◇吉原市
斉藤滋与史(市長)
青木武雄(助役)
勝又竹雄(議長)
杉山芳作(副議長)
小沢政雄(議員)
中村新吾(議員)
小林清三郎(議員)
遠藤松吉(議員)
望月政三(議員)
川島泰作(知識経験者)
増田貞蔵(知識経験者)

◇鷹岡町
植田義次(町長)
市川常義(助役)
篠原 博(議長)
井出 敦(副議長)
大村光男(議員)
浅井光義(議員)
井出虎男(議員)
磯野儀太郎(議員)
鈴木政彦(議員)
佐野一夫(知識経験者)
深沢恒夫(知識経験者)

◆これから協議される重要なしごと
 合併促進協議会は、総務、建設、行政の3委員会にわかれ各種の重要な問題を協議し全体会議の促進協議会で取りまとめる。これと併行して各市町では、それぞれの当局と市長の議会で同じ問題を慎重に検討して、いやしくも協議会の決定が2市1町の決定としても問題が起らないよう運営されてまいります。
 それでは、各種の重要な協議といっても、どんな協議内容であるか、各委員会毎に列記してみましょう。

◇総務委員会関係
1、合併の時期について
2、新市の名称について
3、新市の事務所(市庁舎)の位置について
4、市会議員の任期や定数をどうするか。
5、特別職(市長、助役、収入役、その他非常勤特別職)の職員の身分の取扱い。

◇建設委員会関係
1、新都市計画の策定について(新市の事業計画等)
2、各市町の継続事業の取扱い。

◇行政委員会関係
1、新市の行政機構について
2、一部事務組合の取扱い。
3、一般職職員の引継ぎに関すること。
4、条例、規則の取扱い。

−図表あり−
(図表あり)・・・静岡県の19市の市勢調べ(昭和39年4月1日現在)

−図表あり
(図表あり)・・・岳南2市1町の人口、面積、財政規模調べ(昭和39年4月1日現在)

−4コマ漫画あり(泰平一家 れんさい 森比呂志)−