広報ふじ 昭和41年11月に吉原市と鷹岡町と合併した富士市広報紙の全記録

昭和38年 4月1日発行 内容

38年度施政方針 健全財政を保つ
一般会計 総額8億300万円
3月定例市議会終る

 昭和38年第1回市議会定例会は、3月11日から3月25日まで会期15日間にわたって開かれ40余議案について慎重裡に審議し、いずれも原案どおり可決承認をみました。
 まず漆畑市長は、第一回目の本会議の冒頭、昭和38年度における施政方針について大要つぎのとおり演説いたしました。

電気ガス税 1,700万円減収

 私は、昨年5月、市民各位の御支援により市長に就任いたしましてより10ケ月、昭和37年度につきましては、決議機関たる市議会の意思を尊重し、大部分、前任者の方針を踏襲いたしてまいりました。
 今回、昭和38年度の新予算を編成するに当たりましては、私として就任以来、最初の予算でありますので、市内全般にわたり、あらゆる角度から検討に検討を加えて参ったのであります。

‐ 写真あり ‐
(写真説明)・・・施政方針を演説する漆畑市長


歳入

先ず歳入から申し上げます。
歳入全体の54%強を占める▼市税につきましては、電気ガス税の減税に伴う前年対比1,722万円の減収にも拘わらず市税総額において2,170万円の増収を期待いたし調定見込額の99%を計上し、留保財源を待たず当初より一杯を出し切りました。従って特別の事情のない限り市税をもって今後の追加財源等にあてることは、まず困難なのが実情であると申し上げねばなりません。▼地方交付税は、特別交付税500万円を計上しました。▼使用料及び手数料の282万円の増額は、主として公営住宅の戸数の増加によるもの。▼国庫支出金1億329万円 最後に▼市債8,300万円でありますが、特に港湾整備市債5,500万円につきましては市債をもってあてる考えです。
以上、歳入の概要を申し上げましたが、総額8億363万8,000円の財源を確保するためにはその根幹をなす市税について市民各位の絶大なる御協力が仰がねばなりません。


歳出

つぎに歳出についてその大要を申し上げたいと存じます。
過日全員協議会で申し上げました通り新年度の重点施策といたしましては、まず新産業都市建設の基盤となる(1)港湾、都市改造、都市街路の築造(2)道路舗装の積極的な推進(3)教育施設の整備拡充(4)商工農水産業の振興(5)総合文化センター建設計画の策定の5点を取り上げ、各課長に原案の作製を命じたのであります。提案された各課の要求総額は、10億6,500万円に達し数次にわたる査定を経て、漸く前記のとおり8億363万円にまとめ上げたのであります。
それでは各款ごとに簡単に説明を加えることといたします。


五大事業を推進

◇議会費
 前年車両を購入したので若干の減、実質的には、人件費その他で若干の増額であります。

◇市役所費
 国家公務員の給与改訂に伴うベースアップと諸手当の増額ならびに職員の定員増による所要経費等をあわせ約3,360万円の増額になっています。

◇消防費
 総額1,451万円で人件費の増と指令車の購入等が主なものです。

◇土木費
 土木費でありますが1億1,637万円で前年より4,800万円の増額を示し、特に道路舗装を重点事業の一つに取り上げて市民の要請に応えてまいりたい。道路舗装を重点といたしましても決して一年にすべて完成する筈のものではなく、今後当分の間、土木行政は重点的に推進してまいる所存であります。

◇都市計画費
 港湾費を除き約1,100万円の増で1億1,161万円で先ず街路舗装は富士−鷹岡線の未施工分738米と本年は、永年の懸案である富士駅−伝法線283米を是非とも施工したい。
 また街路築造は、富士−鷹岡線の水戸島地先と平垣地先を施工し、需要幹線道路の貫通を図ってまいりたい所存であります。
 なお土地区画事業としての都市改造は、5,000万円をもって前年に引続き所要用地の取得に当ってまいる方針で本年は特に審議会委員等の御協力を得てこの事業に積極的な推進を期したい。

◇教育費
 当面の市政の中で最も巨額な経費を要するのは教育費。わけても教育施設費であります。 しかしながら私は「教育こそ人造りの根元である」と思料いたし多くの子女たちの教育のために相当額の経費を投入、総額1億3,000万円を計上しました。
 まず学校建設費でありますが田子浦小の移築費については、すでに契約したもので、本年度の支払見込額7,198万円と校庭整備費等必要額1,070万円、合わせ8,268万円の事業を実施する予定、また南中学校は整備費として450万円を計上し、岩松中体育館は長い間の要望でありますが、1,200万円を計上、残余については、来年度で考えていく方針であります。
 次に第一小の移築であります本件は、最も重要な問題でありますので基本的な考え方を申し上げたいと存じます。
 現在、第一小学校は、38学級1,867名という多くの児童を有し歯止を欠くものでありどうしても二校に分校せざるを得ないのではないかと思われます。
 この結果、(1)二校に分けること(2)一校を現在地とし、他の一校は将来の通学区の再編とからみ合わせて適当な場所へ建設する(3)現在の一校は、新設校に引続き施設の改善、環境の整備につとめる(4)現在校の通学児童の安全材料として早急に地下道又は歩道橋を設けることが適切な方法ではないかと存ぜられますが議員各位と充分協議の上、最終的な決定をみたい。

◇社会及び労働施設費
 前年当初より約900万円の減で7,995万円、これは昨年の不良住宅改良事業の建設と生活保護の大巾な増額および一般公営住宅の建設であり、本年度は最小限22戸を建てたい考えであります。

◇保健衛生費
 総額2,161万円で前年と大差はない。ただ少額ではありますが、新しい試みとして家族計画の特別普及事業を本年から取上げたい。

◇産業経済費
 本市の農業は最近の工業化、都市化の進むにつれて耕地は減少の一途をたどり、今後、強力な行政指導と高度な科学技術の導入が必要と存ぜられます。そこで資本的装備による集約的蔬菜円芸を目標とし大平坦地農業と果樹栽培を中心とした山間畑地農業の二本立てによる農業行政を推進してまいり更には、農業構造改善事業の推進をも図ってまいりたい。従って本年度は7,221万円を計上しました耕地の事業費については、本年から市単独の農業土木費を土木費に移した関係で予算としては前年より若干下回っておりますが、早川宮島農道、四ッ家新屋河原農  商工振興奨励費につきましては、農業と共に商工水産業の振興は重点施設の一つに取りあげております。なお財政難の折ではありますが、新たに給食事業協同組合に100万円助成をいたしました。

◇財産費および統計調査費
 選挙費、公債費につきましては、特別に申し上げることはございません。

◇諸支出金
 総額8,458万円のうち主なものは、水道事業に1,000万円、中央病院へ500万円国保へ200万円、公益質屋へ40万円の計1,740万円を他会計へ繰出し金として支出しまた田子浦小関係償還金3,100万円、鉄道利用公債関係1,200万円等であります。
 さらに総合文化センター調査費でありますが、これは本年度中に基本的な構想をまとめ取敢えず140万円を計上いたしました。

 以上、一般会計の歳入、歳出についてその大要を説明いたしました。

‐ 図表あり ‐


特別会計
10月から国保の7割給付

 特別会・vには国民健康保険事業を始め、と畜場、公益質屋、市立中央病院、水道事業があります。
 予算額については下の表をご覧になって下さい。
 とくに中央病院と水道会計は一部公営企業法の適用を受けておりますので、予算形式等も違い、たいへんわかりにくいので省略します。
 以上、一般会計及び特別会計の概要を申しあげましたが、この予算総額は、実に11億1,147万5,400円であり、前年を上回ること約6,700万円となっています。

‐ 図表あり ‐
(図表説明)・・・昭和38年度会計別予算額

引揚者給付金の請求は

 すでに御承知のことと思いますが、引揚者給付金の支給対象となる地域が、日本の元委任統治領であった南洋群島のほか、フィリピン諸島、元の蘭印、英領マレイ半島及び英領ボルネオの四地域が加えられましたので、該当者は至急申請手続をして下さい。尚、引揚者給付金の受給権は昭和38年5月16日で時効になりますから、受給権のある方でまだ申請してない方は早急に手続をして下さい。