広報ふじ 昭和41年11月に吉原市と鷹岡町と合併した富士市広報紙の全記録

昭和37年 12月1日発行 内容

財政白書
富士市の家計簿
依然黒字財政を保つ
響く!電気ガス税法人税割の減収

 皆さんがお住まいになっている富士市の財政は、市民の皆さん方の尊い市税によって大半がまかなわれております。そこで現在富士市の財政がどのように変わってきているかという市財政のありのままの姿を、市民の皆さんに知っていただくために市では、条例にもとずいて年2回(6月と12月)にわたり市の財政事情を公表し、今後の市勢の伸展になお一層の御協力と御理解いただきたくお願いしようとする次第であります。今回は昭和36年度決算状況から見た財政の動向と、昭和37年度前期予算の執行状況、住民の負担の状況、財産、公債及び一時借入金 市財政について
市長 漆畑五六
 当市は第六次静岡県総合開発計画の推進と共に岳南地域の恵まれた立地条件を背景として、県営田子浦港整備事業をはじめとする駿河湾臨海工業地帯は現実に目覚ましい設備投資が反映されているのであります。その後こうした好景気に対する経済界の状勢は、国際収支の大巾な赤字問題及びこれに関連する金融引締政策等により景気は沈滞しており、又当市財源の太宗を占める市税収入中電気ガス税の税率引下げ及び非課税範囲の拡大に伴う大巾な減収並びに市民税における法人税割の減収は必至となり、市の財政運営は相当苦難な歩みを続けているのであります  さて、昭和37年度はご承知のとおり市長の改選年度であり、その当初予算は前市長から受けついだものであり、その後の議会において私の意向を多少取り入れましたが、前述した通りの財政事情のため、各種事業及び諸行事において市民の要望に十分応えられなかったことは誠に残念でありました。今後共投資的事業には充分意を用いて行きたいと思いますのでどうかこの間の事情をお察しいただきなお一層ご協力下さいますようお願い申し上げます。

36年度の決算状況
 当市の昭和36年度一般会計をはじめとする各特別会計(企業会計を除く)決算については、去る11月12日招集された定例市議会においてそれぞれ次の通り歳入、歳出決算額をもって認定されました。
 このように昭和36年度は、当初予算五億9,669万2,000円でスタートしましたが、現実にはなかなか意に添わない点が数多く特に田子浦港整備事業に対する負担金は、前年度の倍額となりこれら投資的経費及び給与改訂に伴う人件費の増、その他の義務的費用を7回にわたり予算の追加更正を行いこれを執行したのでありますが、計画事業も次に示すとおり一応100%完了したのであります。

A 田子浦港整備事業に対する市負担
B 南中学校新設事業
C し尿消化槽建設事業
D 都市計画街路事業
E 田子浦小学校移築事業
F 住宅建設事業

 このようにこの外の各種事業についても推進を図り、住民福祉の向上を図りつつ健全財政の維持に邁進できましたことは、市民各位のご理解あるご協力によるものと感謝いたします。
 次に一般会計決算の概略を記すと、まず歳入については予算額に対し105.27%の執行率を示し前年度に比し若干の減率となっておりますが調停額に対する収入割合は99.65%で前年度に比し上昇を示しております。この内大半を占める市税については、相当の伸びを示し年々収納率は高まりつつあり、特にこの年度は今迄の最高の実績を収めたのであります。この外依存財源である起債、補助金又は国鉄新幹線に伴う田子浦小学校移築補償金の確保に努力を傾注した。
 次に歳出については、予算額に対し97.27%を示しており前年度とほぼ同率であります。但しこの内し尿消化槽建設事業は、前年度より予算を繰越されたもので本年度併せて決算を了しこの分1,602万2,700円が含まれております。その他一部田子浦小学校移築関係工事費578万9,000円が年度内に執行出来ず事業が繰越されたものがあります。

特別会計決算の概略については
(1)国民健康保険事業会計は、当初予算3,490万4,000円、最終予算額3,883万6,000円で393万2,000円の増加となっておりますが、これは医療費単価引上げによる増加分及び給与改訂による増加が主なものであり歳入歳出各々の執行率は、それぞれ107.74%及び95.89%であります。
(2)公益質屋会計は、当初予算396万5,000円で最終予算額408万3,000円と8万8,000円の増加であり、歳入における執行率は85.51%、歳出においては77.57%とそれぞれ前年度に比し可成低下しておりますがこの余剰金32万4,200円を生じております。
(3)と畜場会計は、当初予算174万2,000円でありますがその後2回の追加により、最終予算額266万2,000円となり歳入、歳出各々の執行率はそれぞれ105.33%及び97.7%であり前年度に引続き好調な運営で46万9,349円の剰余金を生じております。

37年度現計予算 総額8億4,000万円
 ここ数年当市の財政需要は非常に高まりつつあり、これら施政を積極的に執りあげてきましたが、反面主要財源としての市税中電気ガス税は、減収となり極めて財政運営は困難となっております。去る6月定例会においえ第1回の追加更生を行い4666万3,800円の増としたため現計予算額は8億4542万300円となっております。この主なものは社会及び労働施設費において住宅建設費の794万円及び保育園新設費の663万5,300円、保健衛生費として下水道終末処理場建設費757万円諸支出金における国鉄関係利子補給金588万円、財産  他方これらの財源としては前年度よりの繰越金2968万2,100円、国庫支出金の公営住宅建設事業費補助金379万1,000円、その他が主なものであります。
 つぎに財源分析及び費目別内訳についてグラフでみると上図の通り。

‐ 図表あり ‐
(図表説明)・・・会計別内訳