広報ふじ 昭和41年11月に吉原市と鷹岡町と合併した富士市広報紙の全記録

昭和37年 6月1日発行 内容

財政白書

堅実にあゆむ本市の財政
予算総額12億円を超す
駿河湾臨海工業都市へと発展


富士市の財政が現在どのようになっており、また現在どのように変わっているかということを市民の皆さんに知っていただくため、毎年2回、市の財政事情を公表しております。今回は昭和36年度の予算の現況、財産の保有状況、借入金の現在高などを公表して、皆さんが市の行財政の動向を把握されると共に、市の行政に要する費用をどれだけ負担しているか、またそれによってどのような利益を受けているかなど、広くその実態を知っていただきたいと存じます。
昭和36年度の一般会計の最終予算額は9億3,403万9,900円であります。これは県内18市中10億円台の規模を持つ都市は数少なくこの仲間入り出来る日も近いことと思います。又本市が昭和29年に市制を施行したときの人口は、4万943人でその当時の予算額も2億9,192万円余であり、これを現在と比較すると人口で約2割、予算額では実に3倍の強力な伸長を示し8年後の今日では駿河湾臨海工業地帯の中核工業都市として恵まれた立地条件を有効に生かし着々発展途上にあることは、まことに喜ばしく存じます。

‐ 図表あり ‐
(図表説明)・・・市財政会計別内訳


<一般会計のあらまし>

 昭和36年度当初予算の概要につきましては、前回の財政事情で説明いたしましたので、今回は昭和36年10月から昭和37年3月までの現況を説明いたします。
 前回までの総予算額6億4,701万9,000円に対し、その後6回の追加更正によりまして9億3,403万9,900円となり、2億8,702万900円の増となっております。
 追加更正予算中、費目別の主なものは
 市税7,225万1,100円の追加額は、電気ガス税3,277万1,100円市民税2,044万円固定資産税1,904万円その他であります。
 地方交付税については500万円の追加であります。
公営企業及び財産収入421万2,200円の追加は主として漁港用地売却代金であります。
 分担金及び負担金については措置児童扶助費基準改訂による増額分として20万5,000円であります。
 使用料及び手数料は13万500円で主として保育料が追加されました。
 国庫支出金882万8,000円の減額ですがこの主なものは都市計画補助金で1,135万円、南中学校建設補助金で176万5,000円の減でありますが生活保護費等基準改訂による扶助費の増加があります。
 県支出金は560万5,400円の追加で鉄道債券引受に伴う売却差引額補填のための補助金450万円が殆んどであります。
 寄附金893万3,400円の追加額は、県道舗装工事に対する受益者寄附金50万円、その他であります。
 繰越金6,891万8,400円の追加額は前年度の繰越金であります。

雑収入
 1億1,613万2,900円の追加額は、主として国鉄新幹線工事施行に伴う田子浦小学校移転補償金1億500万円でその他に田子浦港湾用地買収費立替金の県より戻入分800万円、五市競輪組合より収益分配金として300万円、道路築造に伴う受益者立替金272万8,500円その他であります。

市債
 3,200万円の追加額は田子浦港湾整備地元負担2,900万円し尿消化槽建設債700万円、都市計画事業債300万円で他面中学校建設債は700万円減額しました。 以上歳入について追加額の内容について説明しました。 つぎに歳出の費目別の主なものは

議会費
 188万3,000円の追加額は議員報酬改訂に伴う増額分173万円とその他であります。

市役所費
 785万4,500円の追加額は職員給与改訂に伴う増額分を中心に市役所職員費で669万3,500円自動車諸費70万9,000円諸費44万7,000円その他であります。

消防費
 39万6,000円の減額でありますがこれは消防庁舎建築工事費300万円、消防車修繕料12万円の減と他面、消防職員の給与改訂に伴う増額分50万円、消防無線電話装置一式等備品費67万円、故米山消防団長葬儀経費34万円、防火水槽工事費30万円、その他があり、差引減額となりました。

土木費
 2,592万600円の追加額は道路維持修繕費395万円、道路新設改良費1,884万7,000円、用悪水路費139万円、砂防費125万2,000円、災害土木費39万1,600円その他であります。

都市計画費
 4,925万円の追加額は田子浦港整備事業地元負担金4,500万円、街路築造費295万円、市単独街路事業費780万円、区画整理調査費50万円の増加と他面、街路舗装費690万円の減額があります。

教育費
 7,371万4,700円の追加額には教育委員会費523万4,000円、小学校費251万8,950円、中学校費859万1,050円、幼稚園費40万円、公民館費51万5,000円、学校改築費として南中学校新築費1,797万円、田子浦小学校移築費3,670万円、その他であります。

社会及び労働施設費
 1,415万3,200円の追加額は生活保護費において基準改訂による増額分337万1,500円児童福祉費として保育所新設費外311万6,500円、住宅費として第一種公営住宅2戸増加分と同じく建設用地買収費外822万3,000円、厚生諸費43万円、勤労者会館増築工事不足分20万円、その他でありますが他方国民年金費においては184万500円が減額されます。

保健衛生費
 840万の追加額はし尿消化槽建築費324万円で管理人住宅その他附帯工事費、清掃費54万円でじんかい焼却炉修理代、予防接種費55万8,000円で小児マヒワクチン購入代、衛生諸費中下水道基本計画調査委託料20万円、その他であります。

産業経済費
 2,151万8,300円の追加額は、農業委員会15万8,000円、農林水産振興奨励費89万4,000円、耕地事業費174万円、商工振興奨励費は旭化成誘致契約に基く助成金1,826万2,700円、その他であります。

財産費
 7,056万8,300円の追加額は田子浦小学校移築積立金6,830万円、財産造成費として大昭和製紙KK増資に伴う株式払込金219万3,800円その他であります。

統計調査費
 1万8,000円の追加額は世界農業センサス集計事務費であります。

選挙費
 3,000円の追加額でありますが選挙人名簿調製費4万円、県条例廃止請求事務費3万7,500円の増に対し公明選挙啓発推進費7万7,000円の減、その他であります。

公債費
については前回と同様であります。

諸支出金
 1,773万3,300円の追加額は諸費として田子浦港湾用地代及び旭化成工場敷地の支払い措置に係る分510万円、佐久間鋳工との契約による償還金148万1,000円鉄道債券引受補填金120万円、田子浦港開港祝賀式負担金76万円等、繰出金は水道特別会計へ500万円、研究会費98万円、地方振興費198万円、その他であります。

予備費
については前回と同様であります。

◎以上により昭和36年度の市のおもな事業を要約すると
(1)田子浦港湾整備地元負担 8,347万円
(2)都市計画街路整備 6,582万円
(3)し尿消化槽の建設 6,543万円
(4)南中学校の新設 8,255万円
(5)田子浦小学校の移築用地代金 3,670万円
(6)住宅、保育所の建設 2,854万円
(7)土木事業の推進 6,823万円
(8)農業の振興 4,171万円


<特別会計のあらまし>

国民健康保険
 他の健康保険に該当しない市民1万6,828人(4,197世帯)の健康をあずかっています。予算3,587万のうち収入済額は4,155万円、支出済額は3,423万円でした。

公益質屋
 水戸島中に1か所あり市民に月3分の低利金融をおこなっています。予算399万円のうち348万円の収入済額で、支出済額は324万円でありました。

と畜場
 中島新道町にあって市民に新鮮な食肉を提供しています。予算178万円のうち収入済額は301万円、支出済額は171万円でした。


・レ益企業会計のあらまし>

市立中央病院
 本市場にあり市民の医療機関として非常に役立っています。昭和36年度下半期における業務量は診療人員で入院3万8,705人、外来9万162人です。
 投薬件数で入院1万4,328件、外来5万5,594件あり、手術件数では入院781件、外来513件ありました。又3月末現在の予算の執行状況は収益的予算1万5,822万円に対し収入は1万5,347万円、支出は1万4,929万円、資本的予算1,828万円に対し収入は979万円、支出は1,675万円となっており昭和36年度における純利益は417万円でした。

水道
 市の発展につれて下半期の自然増は421戸をかぞえ、給水人口は3万4,675人(7,224戸)、普及率72%になりました。3月末現在の予算の執行状況は収益的予算4,128万円に対し収入は4,270万円支出は4,089万円、資本的予算2,579万円に対し収入は1,687万円、支出は2,204万円となっております。

‐ 図表あり ‐
(図表説明)・・・昭和36年度税目別市税収入割合


<市民1人当たり9,611円の負担額>

 みなさんからいただく市税の内訳は、次に掲げたグラフの通りです。この内固定資産税、電気ガス税、市民税の三つで、全体の91%を占めておりみなさんの納税が健全財政の大きい支えとなっていることがわかります。
 又これを市民一人当たり負担額をみると9,611円一世帯当りでは4万6,493円となりました。
 これを更に一世帯当りの核税目別にその負担状況を掲げると
(1)固定資産税 1万7,572円
(2)電気ガス税 1万3,708円
(3)市民税 1万1,101円
(4)市たばこ消費税 2,430円
(5)都市計画税 1,274円
(6)軽自動車税 408円


<収入は8億276万円>

 3月末日現在の一般会計における収入は8億276万7,675円、支出は6億5,176万5,367円でこれは最終予算額に対しそれぞれ86.0%および69.8%の比率であります。
 これを差引きますと、1億5,100万2,308円の黒字となっております。
 これは財政運営の合理的な執行と順調な市税の伸びと市民のみなさんの納税に対する理解が徴税率の上昇となってあらわれ、財政運営に大きな力をしめていることを物語っています。
 今後も健全財政のもとに、なお一層、行政効果を上げるよう努力する考えですから、更にみなさんのご協力をお願いします。


<公債の状況>

 市ではいろいろな公共事業をおこなうために政府期間から長期の事業資金を借入れます。これは市債といって事業を重点的におこなうためぜひとも必要な財源です。
 現在の市債額は5万2,890万円あり、この借入れ先は大蔵省の資金運用部から3万5,917万円で68%、郵政省の簡易保険局から1億875万円で21%公営企業金融公庫その他で6,098万円で11%となっております。これら市債の返済は毎年公債費として支出予算に計上されますが、本年度の場合元利合わせて3,940万円償還されることになっています。約5億3,000万円にのぼる市債の現在額の用途別内訳は次の通りです。

▽義務教育施設債 5,702万円
▽一般補助事業債 8,054万円
▽一般単独事業債 3,413万円
▽災害復旧事業債 42万円
▽転貸債 4,868万円
▽水道事業債 2億618万円
▽病院事業債 1億19万円
▽と畜場債 174万円


<一時借入金の状況>

当市において現在一時借入金はありません。(二面へ続く)

広報ごよみ

◇計量週間(1日〜7日)
6月7日は計量記念日、計量法が施行されて11周年の記念日にあたる。この際一段と計量思想の普及につとめることになっている。
◇歯の衛生週間(4日〜10日)
むし歯を中心とする歯や口の病気は、その害が身近に感じられないため、歯の衛生については国民一般の世論を十分に喚起できない現状である。そこで期間中は、とくに妊産婦、乳幼児を対象にして早期治療の時間的経済的な効果を周知すること。中央では第11回「母と子のよい歯のコンクール」が実施される。
◇第4回水道週間(4日〜10日)
健康な日常生活を営む上に重要な役割を果たす水道の普及率は、欧米各国にくらべるとまだ低く、公衆衛生の向上と生活環境の改善のため一層の普及が望まれます。

人口の動き

人口総数 4万9,058人
男 2万4,823人
女 2万4,235人
世帯数 1万159
転入 517
転出 375
出生 71
死亡 20
婚姻42 離婚3 死産11
(昭和37年5月1日現在、住民登録による)