広報ふじ 昭和41年11月に吉原市と鷹岡町と合併した富士市広報紙の全記録

昭和37年 1月20日発行 内容

市民税課税方式かわる
税負担には大差がない

本年度から実施、必ず読んで下さい

第38国会において成立した地方税法の改正によって、市民税所得割の課税方法が変わるとともに、申告制度が採用されることになりました(給与所得だけの人は勤務先より報告される給与支払報告書が代わりになります。)新しい課税方式は、前年の所得金額から所得控除(雑損・医療・社会保険料・姓名保険料・扶養・基礎控除の6種類)を差引いた金額に税率(各所得の段階で違い)をかけて税額を算出し、障害者、老齢者、寡婦、勤労学生などはさらにこれから税額控除を行うもので、今までの所得税額を課税標準にする方法とは違うことになりますが、原則

市民税の申告をしなければならない人

 前年(自昭和36年1月1日至同年12月31日の間)において所得を有し、かつ、本年1月1日現在において市内に住所のあった方は、普通申告書を提出していただきます。
 なお、所得税において変動所得、臨時所得、資産所得合算等の申告書を提出された方及び雑損控除、医療費控除並びに純損失、雑損失の繰越控除、また、扶養親族が白色、青色申告等による事業専従者控除等の適用を受けようとする人は、別に特殊な申告書及びこれらの明細書等を提出していただくことになっております。

所得の種類

(1)営業所得とは、販売業、製造業、修理業、飲食店業、料理店業、建設業、サービス業など、いわゆる営業から生ずる所得のことです。
(2)農業所得とは、穀物その他の農作物の生産、果樹などの栽培、養蚕、農家が兼業する家畜、家きんの飼育や、わら工品その他これに類するものの生産などの事業から生ずる所得のことです。
 一般の農業所得の計算については、田畑等所得標準を毎年税務署より示されておりますのでこれによって計算して下さい。(農協、市役所税務課、税務署にお尋ねください。)
(3)その他の事業所得とは医師、弁護士、作家、税理士、画家、俳優、外交員などの自由職業や、漁業、牧畜業など、営業及び農業以外の事業から生ずる所得のことです。
(4)配当所得とは、株式の配当や、協同組合などの余剰金の分配や、証券投資信託の収益の分配などの所得のことです。
(5)不動産所得とは、地代、家賃、賃間代、土地や家屋の権利金、船舶の貸付料などによる所得のことです。不動産所得は36年中に収入することの確定した金額から固定資産税や、火災保険料や、修繕費や減価償却費などの必要経費を差し引いて計算します。
(6)雑所得とは、著述家以外の一般の人の受ける原稿料や印税とか、金融業者以外の一般の人の受ける貸金の利子とか、郵便年金などの所得のことです。
(7)給与所得とは、俸給、給料、賃金、歳費、年金、恩給、賞与などの所得のことです。給与所得は、36年中に収入することの確定した金額から、給与所得控除額を差し引いて計算します。
(8)譲渡所得とは、土地、家屋、船舶、機械器具などの資産(商品、製品、原材料及び貯蔵品などや、米麦などの収穫物などのようなたな卸資産は除かれます。)を譲渡したことによる所得のことです。なお、これらの資産を贈与したり、時価より著しく低い価格で譲渡した場合は、時価で譲渡したものとみなされることになっています。
 譲渡所得は、36年中に収入することの確定した金額から譲渡した資産の取得価額、設備費、改良費及び譲渡に関する必要な経費を差引いて計算しますが、更にその差引き後の金額から15万円を控除したうえ、その残りの金額の2分の1に相当する金額について課税されることになります。なお、一時所得がある場合には、15万円の控除は、一時所得との合計額について行います。
(9)一時所得とは、法人から贈与を受けた金品や、賞金、懸賞当せん金、競馬、競輪の払戻金などのような一時的な所得のことです。
(10)退職所得とは、一時恩給や退職給与などのことです。退職所得の金額は、36年中に収入することの確定した金額から、退職所得の特別控除額を差し引き、更にその差し引いた後の金額の2分の1に相当する金額です。
(11)山林所得とは、山林の伐採や譲渡による所得(ただし、山林をその取得の日から1年以内に伐採し又は譲渡したことによる所得は事業所得又は譲渡所得となります)のことです。山林所得は、36年中に収入することの確定した金額からその伐採費などの必要な経費を差し引いたり残りの金額から更に15万円を控除して計算します。
(12)損益の通算
 所得金額を計算する場合に、赤字の金額をほかの黒字の所得から差し引いて計算することになっていますが、これを損益の通算といいます。全部の種類の所得を通算してなお赤字があるときは、その赤字の金額を純損失といいます。
(13)繰越損失の控除
 昭和36年分以前3年間に生じた雑損失の金額及び純損失などで今迄所得の計算上控除されなかった部分の金額は控除されます。しかしこれについては色々とめんどうな申告手続がありますから税務課の方に御相談ください。
(14)被災たな卸資産についての繰越控除
 被災たな卸資産についての繰越控除を認められる災害の範囲及び被災たな卸資産の範囲は次のとおりです。
イ 被災たな卸資産についての繰越控除を認められる災害の範囲は、震災、風水害、火災、冷害、干害、落雷、などの自然現象の異変又は人為による異常な災害及び害虫、害獣その他の生物による異常な災害に限られます。
ロ 被災たな卸資産とは、営業上の商品、製品、半製品、仕掛品、原材料及び貯蔵品、消耗品、印刷物等のほか、米、麦等の収穫物、買入肥料、農業薬剤等の貯蔵品及びまだ収穫しない稲、麦、野菜等の立毛並びに立木等の資産をいい家具、衣類等の家庭用動産や土地、建物、什器、備品等の固定資産、販売以外の目的で飼育する牛や馬、果樹など譲渡所得基因となる資産は含まれません。

市民税の申告を必要としない人

(1)前項に該当する方のうち、本人が1月1日現在において、老年者(満65才以上)、未成年者(満20才未満)、障害者寡婦(離婚又は死別若しくは夫の生死が明らかでない者で扶養親族を有し、かつ、老年者でないもの)等で、前年の所得金額が15万円以下の方
(2)生活保護法の規定による生活扶助を受けている方
(3)前年の所得が給与所得のみにて、他の種類の所得がなく、勤務先の事業所等から、給与支払報告書によりその給与所得金額その他必要な事項について報告のなされている方

所得金額の計算について

 昭和36年分の所得金額は36年中の収入金額からその収入をあげるために必要な経費を差し引いて計算します。収入金額には、売上げなど通常の収入金額ばかりでなく商品などの被災たな卸資産の損害について支払われる保険金や、事業上の収益の補償として受ける補償金なども含まれることになっています。必要経費は収入をあげるために必要なものに限られますから、生活費や、所得税、市民税のように所得のうちから支払うことになっている税金は、必要経費とすることはできませんが、営業用の土地、家屋その他の物件に課される固定資産税、自動車税な  接待費については、接待の相手方や接待の理由からみて、その接待をしたことが営業の収入をあげるために必要であると認められる場合に限り、必要経費になります。寄附金や事業に関係のない交際費は、原則として必要経費になりません。
 このように、収入金額の合計額からその収入をあげるために必要な経費を差し引いて計算した残りの金額があなたの所得金額となります。

‐ 図表あり ‐
(図表説明)・・・市民税の計算のしかた