前年度当初より7,000万円増収
本年度市財政は前述の如き国内経済事情に伴い明るい見通しに立って一応5億9,669万2,000円、約6億に近い額を計上したのであります。これを前年度当初予算に比較してみますと、実に1億2,545万8,500円の増となります。従って先に申し上げました本年度予算はかなり積極的予算であるという点御納得いただけるものと存じます。
先ず一般会計歳入の62.53%を占める市税収入を3億7,310万8,000円を見込みました。この額を昭和35年度比較致しますと当初額においては24.5%の増であり現計額に対しては8.20%の増額計上であります。
すなわち(1)固定資産税を太宗として(2)電気ガス税(3)市民税をもって89.13%の割合を示し、その他たばこ消費税、都市計画税、軽自動車税等10.87%によって構成されておりその基調は前年度と同様であります。
この収入の見積りについては、昭和35年度の課税実績並に収入見込額を基礎とし、今後における経済の動向等を勘案し、尚、財政運営の配慮を加えて計上したものであります。
すなわち昭和35年度において市税収入は、約3億8,000万円に達する見込みでありまして可成りの増収となったのでありますが、昭和36年度も引続き着実な経済成長が予想せられ、地区産業もその活況に伴う設備投資は固定資産税等に反映し生産の増加に直結して、法人、市民税、電気ガスの消費税もまた順調に推移するものと考えられるのであります。
更に最近における税の徴収状況は経済界の安定恢複に伴い納税秩序が確立され、加えて徴税確保の措置と市民の格段の御理解と御協力と相俟って税務行政の運営は年々向上しつつあり更に優良なる徴収成績をあげるべく最善の努力を致す所存であります。
斯様な状勢の下に本年度市税収入は現在の試算課程において約4億円程度となるであろうと推定しております。
以上の推定に基きまして、本年度当初予算額はその93.27%を計上致したのでありますが若干幸いにして経済の伸張と併せて徴税の完璧を期せらるるならば残余は追加財源としてこれを計上いたす所存であります。
‐ 図表あり ‐
(図表説明)・・・一般会計・企業会計・特別会計予算歳入の部
市役所事務の合理化図る
つぎに一般会計の歳出について御説明申し上げると同時に昭和36年度施政方針について御説明申し上げます。
去る1月21日関係各位課長の参集を求め36年度施政についてその重点施策を明示し計画案を作製し予算要求書の提出を求めたのであります。その結果要求総額は7億8,000万円でありました。
しかしながらすでに歳入について申し上げました通り如何に本市が財政的に恵まれたとは申せ、これを全面的に予算化することの困難な事は申し上げるまでも御座いません。そこで市長は本年度重点施策の線に添い議会の御意見を参酌致しここに5億9,669万2,000円という当市の規模に比してかなり積極的な予算の査定を終わったのであります。
以下各款別についてその概要を申し上げます。
‐ 図表あり ‐
(図表説明)・・・一般会計・企業会計・特別会計予算歳出の部
行政事務の改善へ
市役所費
第二款市役所費については、前年度に比して約1,142万円の増額を計上致しましたが、その大部分は給与改訂に伴う職員給及び諸手当の人件費の増額でありまして、消費的経費は極力これを節減し機構改革と相俟って人員の増員は行わず市役所事務の合理化による事務能率の増進と市民サービスの万全を期したいと存じます。
議会費
第一款会費については、昨年度に比して160万円の増額を計上致しました。
増額の主なものは給与改訂に伴う人件費と最近飛躍的な発展を遂げつつある市政に対し議員各位の見聞を拡げるため、費用弁償を増額したものによるものであります。
消防署を設置
消防費
第三款消防費については、前年度予算に比して約783万円の増額計上でありますが、これはかねて議会から要望もあり、市長もすでに意図しておりました消防署の設置に伴う経費に充当するものでありまして本年度重要施策の一つでもあります。
市の発展に伴いまして近年消防事務も益々複雑多岐となり、かつ消防活動の万全を期するためには、如何に優秀なる消防団員をもっておる本市といえども消防団のみに依存することは許されなくなって参ったのであります。
よって本年度はまず職員の増員と消防庁舎を新築致し消防署を発足致させたいと考えておるのであります。
道路舗装を重点に
土木費
第四款土木費については、前年度に比し約612万円の増額計上となっております。その主なものは道路橋梁費約400万円、消防費に200万円の増であります。
本年度土木行政の重点は前年度に引き続き道路舗装の実施におき、市道については本舗装、タール簡易舗装、塩化カルシウムによる防塵措置を計画し、県道関係の舗装については継続分として静岡−下田線、鷹岡線−富士停車場線の一部を予定し鷹岡−柚木線ほか2線の道路改良工事を予算化致しました。そのほか橋梁、河川費、砂防費等緊急の度合を勘案して予算化いたしその進捗を計る考えであります。
南中学の新設
教育費
第六款教育費について1億77万6,000円を計上致しました。これを前年度に比較致しますと2,996万1,800円の増額でありますが、増額の主なるものは、本年度重点事業である前年度より継続施行中の新中学校建設費が主なるものでありまして岩松小学校給食設備100万円と合わせて学校改築費総額は5,902万円を計上致した次第であります。
なお給与改訂に伴う増額分は約400万円でありましてその他消費的経費は極力節約の方針ではありますが教育効果の万全を期したいと考え所要の経費は許すかぎり計上致したのであります。
公営住宅20戸建設
社会労働施設費
第七款社会及び労働施設費については本年度4,585万4,000円を計上致しましたが、前年度当初に比して1,745万5,700円の増であります。
この内容の主なるものを申し上げれば生活保護費に150万円の増額を致しました。
生活保護については、国家経済は順調なる進展を示し市民生活は一般に向上したとは申しながら現況は必ずしも左様ではないのであります。
加えて保護基準は低率でありまず幸い36年度国家予算において約16%の基準引上の見透しがつきましたので国庫支出金の増額に応じた額を計上したのであります。児童福祉関係については、予ねて要望されておりました保育所1ヵ所新設費として472万円を計上し、その設置を計画致しております。
次に税外収入として2億2,358万4,000円を計上致しましたが、特に国県支出金8,575万3,000円、市債6,300を計上致したのでありますが、これらのうちには市の主要事業に関連するものもありまして、その確保には相当の努力を要するものと考えられますので今後充分なる配慮の下に万全を期して参りたいと考えておる次第であります。
その他の各費目につきましても収入の確保には細心の注意を払い健全なる財政の運営を図って参りたいと考えております。
第五款都市計画費について申上げます。都市計画事業は本年度も重点施策としてその推進を期する意味において1億479万7,000円を計上致しました。特に田子浦港整備事業による負担金については、公共、県単事業分合計3,885万を予算化致しましたがなお今後事業費の確定に伴い相当の増額も考えられるのでありますが、とりあえずこの程度に致したものであります。
補助街路事業は5,610万円であります。このうち街路舗装は、富士鷹岡線、富士駅伝法線を計画しております。吉原富士川線、富士鷹岡線の整備を実施する予定であります。
その他区劃整理調査については、228万円を計上し駅前と堅堀附近、柚木国道交差点附近の調査を実施する予定であります。
当市単独街路事業も都市計画の進行に関連してそれぞれ整備いたす予定をもって587万円を計上予算化致しました。
人口総数 4万6,825人
男 2万3,474人
女 2万3,351人
世帯数 9,263世帯
転入 193人
転出 68人
出生 68人
死亡 21人
婚姻37件 離婚4件 死産11件
(昭和36年3月1日現在、住民登録による)