広報ふじ 昭和41年11月に吉原市と鷹岡町と合併した富士市広報紙の全記録

昭和35年 3月1日発行 内容

34年1月から12月まで
人口動態よりみた保健のしおり

多い死亡年令は60才以上

◇出産率

 富士市の昭和34年の出生率は別表に示す通り853人で千人に対して18.9人の割だから全国の17.7人より多産系であり、過去2ヶ年の出生率もよく目出度いことだ(A表)。然し誰の場合でも目出度いといって手放しで喜んでいるのは早計である。生活環境に負担の多い、当今としては人によっては家族計画という面も真剣に考えて見たい時代ではなかろうか。生活に追われ喘ぎ乍ら次から次へと出産する人も見掛けるが、案外、家族計画(受胎調節)と云う問題は考えていない。過重な負担は母体も保たないが、家族全員が不幸な浪に呑まれてゆく。そ

◇死亡率

 A表による死亡は一カ年間に294人で千人に対して6.5人だから全国統計の7.4人に比べてはるかによい。医療も進歩しているだろうし、早期治療によって死亡を防いでいる事も認められる。

◇死亡年令

1 事故死
全国的に見て交通事故は増加しているが、富士市においても事故死は多く、全死亡の10%を占めている。然も働き盛りの21才から30才の年代がその内の65%である。雷族が水爆に変じて昇天しない様に注意すべきだ。
2 乳児の死亡
生まれてから満1才未満だけを区分して見たが、この年令だけで全死亡者の7.9%を占めている。呼吸器系(肺炎、気管支炎)の死亡7名、先天的弱質8名である妊産婦は赤ちゃんの栄養を自分が稼いであげるのだと考え、出産哺育についても万全を期すべきだ。
3 一番多い死亡年令
富士市は青少年の死亡率は低いが50才頃から死亡が増えて60代が目立っている。60才以上の死亡は全死亡者の60%を占めている、癌、脳出血、心臓病が主なものである。
B表によって知られる通り1位の脳出血は富士市も全国と大差ない21%台になっている。然し2位以下5位に至る迄の病気の死亡率は全国に比べて富士市は甚だ多いつまり成人病によって倒れて行く人が非常に多いことになる。高齢者の老衰病死死亡の比率が増えて成人病死亡が減じなければ本当に天寿を全うしたとはいえない。

◇保健へ関心

 最近成人病予防は全国的に呼び声が高いので新聞、雑誌等で見受けることと思うが、癌は早期発見が特に大切で根を張らない内に切り取る事が肝心だ。高血圧の人は過労、興奮、便秘等は特に注意して医師の指示に従って養生すべきだ。食餌療法も兼ね行うこともよいだろう。まあ折角、国民年金というよい制度も出来た折だし、ゆっくり長生して御小使銭でも貰ってやって戴きたい。今は全国的に長寿ブームで、現在(昭和33年)508万人ある65才の老人は統計的に見ると昭和60年には倍近くの949万人に増える勘定だという。健康は普段からの認識・ ‐ 図表あり ‐
(図表説明)・・・(A)人口動態表
(図表説明)・・・(B)病種別死亡統計表

「少年問題」あれこれ記

少年警察の仕事のあらまし

 全壊少年非行についてくわしくお知らせしましたが、こんどはこれを取扱っている少年警察について申し上げてみます。

◎任務(目的)
 少年警察は、罪を犯した少年はもとより、犯罪とまでは至らないが不良行為があって、そのままほうっておくと罪を犯す危険があると思われる少年を早いうちに発見して善導するとともに、少年に酒を呑ませたり、煙草を吸わせたり、少年を酷使したり、又は少年を売春宿等の悪いところに世話したりなどして少年の福祉を害する成人の取締を積極的に実施して少年をとりまく悪環境を取り除きその不良化を防止し、少年の健全な育成を期するのが目的であります。
 もとより、犯人を捜査して検挙することは、警察がやらなければならない仕事でありますが、特に少年事件の取扱が大人の場合と違う点は発見した不良性のある少年について、その非行の原因を調査して、その悪いものを取り除いたり、或は少年の事後の指導等について学校、家庭、その他関係機関団体と十分連絡をとって処置するなど、あくまでも少年の非行の防止のために行えあれるのであります。ですから大人の場合は「その人が何をしたか」が問題にされますが少年の場合は「何故その少年がそれをしたか」がより多く問題にされるわけであります。
◎少年係員の配置など
 少年の補導に際して、その取扱の良し悪しは少年の将来の保護更生に影響することが極めて大きいので、すべて少年問題は警察において署長の直接指揮のもとに慎重に取扱っております。
 県下各警察に少年警察の仕事に専ら携わるものとして、それぞれ少年補導の関係の法律や技術などについての特別な教育を身につけたものを配置し、その事件の処理については少年法、児童福祉法の精神に従って適正な取扱をしております。
 警察では少年の取調べとか父兄からの相談を受けた際、他の犯罪者や一般の人となるべく顔を会わすことなく、安心して用件が済ませられるように、少年補導(相談)室を設けてあります。色々の問題についてどうぞ御利用下さい。(富士警察署少年係)

不幸な子供たちに明るい光を
富士市手をつなぐ親の会が誕生

 心身ともにすくすくと伸びる子供たちをよそに「永遠の子供」といわれる知恵のおくれた子供たちがおります。このような精神薄弱の子供は全国で百余万、本県にも3万人と推定され、当富士市に於いては、市内学校教員数(211名)にほぼ近い数の子供たちが在学している実情であります。
 学者の研究や関係機関の調査によりますと、こうした精神薄弱児の出現は、親の責任でもなく勿論子供の責任でもなく、一定の率をもって出現するいわば社会的な必然だといわれておりますこれら不幸な子供たちの大部分は教育の広場ですから忘れ去られて、該当する子供のうち2%にしか保護の手が差しのべられていないのが現状です。この事実を知るにつけ親ごさんのなげき悲しみを見るにつけ、私たちはこれを他人事として座視することはできません。何故ならば児童憲章の通りこの子供たちも人として尊ばれ社会の一員として重んぜられなければならないか  私たちは精神薄弱児を個人的な問題とてではなく、広く大きく社会の力によって保護し育成すべきだと信じ、今回富士第二小学校に特殊学校が開設されましたことを機に、有志相つどい富士市手をつなぐ親の会(精神薄弱児育成会)を結成いたしました。
 ここに結成の趣意を申し上げて、市民各位の御理解と御支援を仰ぎ所期の目的達成のために誠意と努力を傾けて邁進いたしたいと存じます。

会員を募る

 なお会員の募集につきましては、市教育委員会、市福祉事務所、各校のPTA役員、婦人会役員、幼稚園等でその仕事を取扱っております。従ってこの趣旨に賛同し不幸な子供たちに明るい光をお与え下さらんとする方は最寄りの関係者又は機関に御申し出下さい。会費は年間100円でございます。

農耕用軽自動車の申告について

 最近、農業経営の動力化に伴い、農耕・pのテーラー及びトラクターを使用する者が増えていますがこれ等のテーラー、トラクターがけん引をする場合、またはけん引をしないでもその上に搭乗して運転出来る場合は軽自動車として扱われ、軽自動車税の課税対象となるので該当者は必ず申告しなければなりません。すでに244名の申告がありましたが、未だに申告をせず、無届けで使用している者が見受けられます。別図の様な構造を有するテーラー、及びトラクターを無届けで所有している者、或いは使用している者は至急、税務課軽自動車税係まで申し出て  尚、農耕用であっても軽自動車としての構造を有するものであれば当然、道路交通取締法にも関係してくるので運転資格も必要になって来ますから、資格を持たない者は申告の方と併せて解決される様お願いします。(税務課)

‐ 図表あり ‐
(図表説明)・・・右図上下のように改造したリヤカー等をけん引する場合、或いはけん引をしないでも、搭乗して運転出来るものは全て申告を必要とします

農研の青年の眼

 県社会教育課よりの依頼で、佐賀兵庫2県についで、福島県の農業研修青年8名を受け入れていただきました。中島区では、田中清継氏(新村国夫モミ山健一)古郡敬次郎氏(薄宗則)小林強作氏(松本博文)小林多作氏(大井川完治)高井貴一氏(庄司栄)古郡庸一氏(鈴木勝美)の6軒、本市場で高田行雄氏(安藤勝雄)1軒にお願いいたしました。
 青年たちの研究テーマは、各人各様ですが、まとめますと○イチゴの栽培について○蔬菜の販路について○イチゴと蔬菜の半促成栽培について○蔬菜の促成栽培について○果菜の半促成栽培について○蔬菜と協同経営○経済的な蔬菜栽培について等でした。
 期間は1月25日から2月5日までの12日間。
 6日朝、山梨県の研修地へ向けて出発する前の短い時間に、この青年たちの眼に映じた当市の農業、農家に関する感想を語ってもらいました。
 短期間における見聞、所感ですから或は的を外れていることも混ざっているかも分かりませんが、次に列記して御参考に供します。

1 労働の年間計画を巧みに立て通年平均した労働に従事している点に感心した。
2 資本投下が、福島県に比べて桁外れた巨額なのに驚いた。収入も莫大であろうと想像される。
3 家庭内のフイン気が真に和やかで、子供のシツケにも気を配り、頭から怒鳴りつけるようなことはない。
4 家族の一員として暖かく待遇してもらって嬉しかった。いよいよ最後の日は、別れてくるのがホントに辛かった。
5 家の作りがうまく出来ていて上手に利用しているので、狭さや、不便を感じなかった。福島の農家は、こちらの4倍も大きさだが不便だ。
6 農業研究意欲は旺盛であり、技術も素晴らしく優れ、水準は福島より遥かに上だ。
7 農家の頭の使い方が非常に進んでいる。新聞を読むにも、先ず第一に経済面と天気予報といった具合だ。三面記事など後まわしにしている。
8 僕たちの質問に対しては、懇切に答えてくれて、夜11時過ぎる迄、嫌な顔もせず、よく指導して下さった。
9 味噌汁が一回で物足りなかった。併し味はうまかった。
10 電気機器や農具の機械化は普及進歩が著しいし、塀なども立派だけれど、その割に、台所やWCの改善には注意が払われていないようだ。
11 農機等についても、共同化が考えられてもよいと思った。
12 結婚式のカンソ化への努力はもっとほしいように思った。

以上のような所感を述べていました。
 農家の方がたには、受けいれ願う度に、物心両面に亘って何かと御迷惑をおかけしておりますが、富士市の農家の進んだ経営法が、全国各地の手本となって、その土地土地で生かされて居ることを思いますと、市民としては一つの大きな誇りを感ずるものであります。ここに受け入れの御好意に対し厚く感謝申し上げ、併せて市民各位への御報告といたします。
 なお今後もこの種の依頼が、県教委から参ることが推測されますがその節は該当各位の御協力を仰ぎたくお願い申し上げます。(教育委員会指導課)

公民館だより

ときがくれば 花は開き
その姿は 美しい
その姿は 静かである
我欲にとらわれないものは
まことに爽やかにすがすがしい
過去に生きるものは
老人である
未来に生きるものは
青年である
しかし年令の問題ではない
今日ただいまこのところで
素直に生きるところに
光かがやき 悦びがわきあがる
肉体は年をかさねるにつれて
老いおとろえていく
けれども 心のはたらきは
歳月と ともに育っていく
執着のないものには
若さはいつまでもつづく
我欲は不満をよび
執着は苦悩をまねく
頑固なものは
必ず孤独におちいる
胸をひらき心・や樒げ
力をつくして 生きるものこそ
老いを知らない永遠の若者である

お知らせ

国保の届出は
会社事業場の入退職の時
転入出の時
出産死亡の時
10日以内に忘れずに
‐ イラストあり ‐