33年度最終予算(一般特別会計)
純計実に8億2,800万円にのぼる
富士市では、条例にもとづいて年2回(6月と12月)にわたり市の財政事情を市民に公表しております。今回の公表は、昭和33年10月1日より昭和34年3月31日まで(後期分)にかかる昭和33年度富士市一般会計歳入歳出予算の執行状況を中心にこれに伴う富士市の財政の動向を記したものであります。市財政の重要性については、いまさらここで述べるまでもなく市民の生活に深いつながりをもち、市政は市財政によって支えられるものであります。
いま仮りに富士市内の道路、橋梁、学校、水道、病院施設等を一時につくるとしたら莫大な経費を必要とし不可能なことであります。今日より明日と市民の生活の向上をはかり、高度の文化都市を建設することが、市政の目標であります。市民のみなさんにこの財政事情を見ていただくことにより、市財政の実情をご理解ねがい、今後更に市財政の充実、健全化を念願いたしますと共に市政の推進についても格別のご協力をお願いするものであります。
地方団体の会計は毎年4月1日に始まり翌年3月31日を以て終了いたします。今回の報告では昨年10月1日から本年3月31日までの間における市の財政の動きを説明いたします。
昭和33年度の一般会計予算は昨年9月末現在で3億4,024万9,900円でありましたが、その後昨年10月4日及び本年2月21日の追加更正予算及び2月28日専決処分による追加予算とによって3億9,405万6,500円となり約5,400万円の増加を見て年度末を迎えることになりました。
以上の一般会計予算の追加状況をまとめると第一表のとおりであります。
‐ 図表あり ‐
(図表説明)・・・第1表 昭和33年度一般会計予算の推移
この結果昭和33年度の最終予算は、昭和32年度の最終予算3億6,730万8,680円に比べて約2,700万円の増となったのであり、この内大部分が昭和33年度予算執行における投資的事業費の増加分であります。又この反面消費的経費は出来得る限り切詰め絶対最小限の支出のみに抑制し合理化を図ったあらわれであります。別表の通り昭和33年度一般会計歳入(第2表)歳出(第3表)予算により当初と最終予算を比較しますと、当初予算額28,800万円に対し約10,600万円増で割合にして3.5割余の増となっています。
(図表説明)・・・第2表 昭和33年度一般会計歳入予算
(図表説明)・・・第3表 昭和33年度一般会計歳出予算
この増加の内容を見ると、ここに地方財政の特有さが伺われます。即ち第3表にみられるように増加額の使途の大体過半を占めるのは土木費の4,500万円余であり次いで諸支出金の3,700万円余、社会及び労働施設費の2,000万円余、教育費、保健衛生費の順となっています。これは事業の効果が後年に及ぶ投資的事業について多額の追加が必要であり且つ余儀なくされることを示し、他方第2表に見るように、この増加額に見合う歳入の面では、その約3分の2の6,800万円余の自己財源である市税に依存し以下市債2,500万円、繰越金1,2
次に追加予算の歳出の内容について多少細部に立入って説明いたします。
1 追加額の第一位は土木費の4,518万円であり、追加額全体の42.6%を占めております。この内訳はその大半を占める港湾費の田子浦港整備事業地元負担金2,927万7,000円(公共分525万円、県単独分2,402万7,000円)と都市計画費782万円(浦県道田子加島線拡巾、静岡下田線舗装、加島富士停車場線舗装、沼川橋梁架替、各地元負担金306万円、富士鷹岡線及び蓼原富島線物件移転補償金364万円、富士鷹岡線工事費112万円)及び道路新設改良費497万円(川原宿藤間線、水戸島森島線改良工事200万円、県道富
2 追加額の第二位は諸支出金の3,711万円余であり、追加額全体の35.0%を占めております。この内訳の主なものは繰替金1,115万円(県道富士川大宮線、田子浦加島線、静岡下田線に対する一時立替払金及び県住宅公社分譲住宅分立替払金)と地方振興費の内1,218万円(財団法人富士市体育館へ1,010万円、富士高等学校外交付金208万2,000円)及び市立富士中央病院特別会計へ1,000万円の繰出金(増改築に伴う財源補填のため)身延線西廻り、駅舎改築に伴う鉄道債券引受(額面3,000万円)補填金245万9,00
3 追加額の第三位は社会及び労働施設費の2,000万円であり、追加額全体の19.1%を占めております。この内殆んどが住宅建設促進費1,800万円で、これは厚生年金還元融資により本州、東芝に転貸する住宅建設資金貸付金で当該工場が事業遅延のため昭和32年度よりの繰越に係るものであります。
4 追加額の第四位以下は教育費の670万円、保健衛生費の300万円。財産費79万円。市役所費50万円、議会費36万3,000円、消防費30万円の順であります。
5 次に予算が減額されたものは産業経済費の542万9,000円、公債費270万円、線巨費8万9,000円、計821万8,000円であります。
この内産業経済費については農林水産振興奨励費の部落営農改善奨励補助金1,187万6,000円を追加計上したのでありますが商工振興奨励費の防火建築造成補助金1,932万6,000円を減額更正したためこの様な結果となったのであります。この事業はさきに述べた通り歳入面についても国県の支出金とも関連があり、これらの財源の裏付如何によって事業が左右される可能性が大であります。公債費については当初予定した一時借入金の利子が不用となりこれは歳計現金の調達が円滑に執行出来たためであり選挙費は市長選挙の無投票による経費の節
以上何れにしても、この追加更正予算により新たな事態に即応して重点的に経費の支出を図った外、これに見合う歳入の面では公共事業削減による国、県依存財源を減額するかたわら市勢を中心とする自主的財源を以って新規需要に充填し、市政に対する市民各位の要望に応えたのであります。次に参考迄に最終予算の財源を分析すると、次の図の通りとなります。
‐ 図表あり ‐
(図表説明)・・・第4表 昭和33年度最終予算財源分析図
一般会計のほか本市には特に事業経理のために設けられた6つの特別会計があり、昭和33年度におけるこれらの予算の合算額は一般会計予算に比べてこれを上回ること約1割余の額に達しておりますが、当初予算の合算額に対し最終予算の合算額は約2割4分、8,400万円の増となり総体として4億3,400万円余となりました。その増加状況は第5表にみられるとおりであります。これを各会計別に概略すると、まず病院会計において厚生年金還元融資8,900万円(昭和33年度分7,000万円及び昭和32年度分1,900万円の繰越分)による病
国保会計においては療養給付費の増加分であり、その外質屋、と場会計はおおむね当初予算通りの執行であります。
昭和33年度予算の総体は、この特別会計予算と先に述べた一般会計予算、純計して8億2,800万円余となったわけで、今や市制施行5周年を迎えるに当たり、その予算規模が拡大されつつある事は明らかであり、この事はそのまま新市建設の基礎確立の表れであると共に地方自治の著しい進展拡大財政における経費某膨張の必然性等の事柄を瞭然にしているものといえます。
‐ 図表あり ‐
(図表説明)・・・第5表 昭和33年度特別会計予算
人口総数 4万5,022人
男 2万2,534人
女 2万2,488人
世帯数 8,591世帯
転入 284人
転出 231人
出生 64人
死亡 25人
婚姻 富士25 田子7 岩松6 計38件
離婚 富士1 田子0 岩松0 計1件
死産 富士1 田子0 岩松1 計2件
(昭和34年7月1日現在、住民登録による)