広報ふじ 昭和41年11月に吉原市と鷹岡町と合併した富士市広報紙の全記録

昭和33年 5月25日発行 内容

若さで築く明るい社会
青少年保護育成 特集号

素直な子供に
青少年育成の12章

富士市青少年保護育成連絡会は市内各種団体の絶大なご協力を得て青少年の保護育成問題と取組み青少年の不良化防止につとめております。
中でも年頃の子を持つ親たちは「どうしたら吾が子が明るくかつ健康的な子供に育てられるだろうか」と常に頭を痛めていることと思います。
そこで今月は特に青少年の保護育成運動の一環として各関係者よりおくられました寄稿文を掲載して「青少年保護育成」の特集としてみました
。 良い子たちを素直に育てるには先ず「親が子供たちに良い手本を示す」ことや「親子が揃ってなごやかに話合う」ことではないでしょうか。試みに青少年育成の12章を掲げてみます…と。
一、丈夫な子供に育てる。
二、家中になごやかに話合う。
三、物事をよく考えて実行する子供に育てる。
四、明るく素直で教養のある子供に育てる。
五、みんなと協力してよい世の中をつくる子供に育てる。
六、親も真剣に勉強する。
七、親が先ず良い手本を示す。
八、男女間の正しい交際を教える。
九、幼いうちに良いシツケをつける。
十、一人立ち出来るたくましい子供に育てる。
十一、必要なお小使い銭を与え費の計画を樹てさせる。
十二、学校の先生といつも連絡し協力し合っていく。
以上の12章をお互いが守りこれを実行に移していったならばやがて次代を背負い青少年たちはこの若き力で明るい郷土の建設は期して待つものがあります。

青少年健全育成について

富士市青少年保護育成連絡会長
富士市長 遠藤脩治

‐ 写真あり ‐

何れの家庭でも、親が子供を愛して立派な人に仕上げようとする努力しているのでありますが、青少年の不良化問題は時々話題に上り、誠に等閑に附すことができない社会問題であると思います。一昨年11月富士市青少年保護育成連絡会を作って各区長様を始め各種団体の代表者、民生委員、保護司は勿論各官公衛学校等と緊密な連繁を図りつつあるのでありまして夫々の地域におきまして区長を中心とした保護育成の態勢が追々充実されつつある事は大変結構のことと慶ぶもので御座います。富士市は将に商工業都市として一大発展をなさんとしておりますが次の

こんな生徒もいる

富士中校長 塩川辰義

‐ 写真あり ‐

学校教育の振興に市民各位が寄せられる関心の深く強いことに対してましては、常々敬意を払い感謝を捧げているものであります。
近時青少年の非行に関する記事が新聞にしばしば報ぜられますことは、誠に残念なことでございまして、その原因が何れにあるとしましても、教職に在る者といたしましては心痛に堪えないところであります。
何れの学校におきましても、生徒の生活指導については、最も力を注いでいるのでありまして、教科指導、ホームルーム、クラブ活動生徒会活動等の時間におきましても、修学旅行、遠足、見学等の校外教育の場におきましても、所謂全機会主義の立場で生徒の品性の淘治、道徳心の涵養に努め、校外生活及び家庭生活面での指導にも学校教育に深い関係を持つPTA婦人会、青年団、警察署、児童委員、社会教育委員会等の心からなる御支援協力を得て非行少年の絶滅を目標として一生懸命努力しているのであります。
非行についての記事は世の視聴をあつめ、世人に警報を発する意味においてはその意義も大なるものがあるのですが、報道された事例を以て一般の中学生も好ましからぬ傾向にあるかと推断されますことは、他の大部分の善意を持った生徒にとっては至極迷惑な感なきを得ないのであります。そこで今の中学生の中にも善行を自ら進んで実践している者も相当数はいるのだということを具体的例で御報告申し上げ、善い行が勇気を持って実行される事例が方々から今後数多く出て参りますよう一層のご協力を煩わしくお願い申し上げる次第です 以下、述べます例は大体昭和32年末頃から昭和33年3月頃迄の間において本校で知りえた本校生徒の善行事例であります。何れもが関係の人から話され又は礼状等によって始めて知り得た資料でありまして、当人が自慢げに人に話した等のものではありません。

○その一
二年生 鈴木悦子
日頃通学にカバンを用いない生徒は先ずない。その中にいつも風呂敷に教科書を入れて包みをかかえながら通学する一女生徒がいた。服装も余りきれいではない。経済的にも、きっと恵まれない生徒らしい。この気の毒な生徒に心ひそかに同情を寄せていたのは悦子さんである。「あの子にカバンのお古でもあったら贈ってあげよう」こんなことを考えていた時、姉の使ったカバンのあることを思い出した。姉は高校生で新しいカバンを最近買って貰ったばかりだ。早速母に相談してみた。姉にも話してみた。勿論心からの同意を得た。そして12月の末、学校の帰り (近所の一人の奥さんから学校へ感心な生徒があると話してくれて始めてわかった。)

○その二
二年生 牛島克彦
自転車で家の使いの帰り道、国久の路上で、赤ちゃんをだっこし植木を持った老人を追い越そうとした。老人の足どりはたくさんの持物のため、いかにも大変である。克彦君の良心は自転車を止めた。そして老人に植木を家に届けることを約束した。…老人の家は克彦君の家より大分離れた場所にある…老人が帰宅すると玄関わきに植木は届けられていた。数日の後、老人は克彦君の善行を告げるため、校長を訪れた。−いわく、心根のやさしさに胸打たれた。この生徒には一再ならず好意を受けた。イイヨイイヨといっても無理にひったくるようにして家に届けてく ○その三
三年生 内山康一・富岡史郎
1月28日、3年4組内山康一富岡史郎の両君は帰宅途中、東芝社宅近くで自転車に乗って行く女性がカバンを落としたので知らせたがそのまま行ってしまった。
両君はカバンの中の手帳から前田新田東芝勤務、加藤○○子さんらしいので早速前田新田部落に行き加藤さんを訪ねたが判らず、自宅に帰り夕食後再び往復3キロの真暗な田圃道を前田新田へ行き探したが加藤さんを訪ね当てることが出来ず弱っていると、加藤さんを知っているという東芝勤務の人に会いカバンを渡した。
ところが12日、富士中へ女性が訪ね「先日私はカバンを落とし困っているところを富士中の二人の生徒さんの親切により無事戻りました。お礼にこれをあげて下さい」とアルバム2冊をとどけて名もいわず立去った。そこで全校生徒をしらべたところ、富岡、内山両君の行為とわかったもの。(他にも数例あるが都合で割愛いたしました。編集者)

○その四
本市場一、二区 女生徒
昭和25年より始められた米の宮公園の清掃を先輩より引継ぎ、毎日曜日にお互に強制することなく出られる者が自発的に厳寒の朝にも元気良く行った。祭礼の前や、年の暮には臨時に行うなどするので各方面から感謝されている。
本年は一区の生徒が多い。

“青少年に寄する”

富士警察署長 伊賀勇一

‐ 写真あり ‐

地球上の生物は、太陽の光の恵みがなくては生を全うすることは出来ない。私共の社会もこれと同様に、自分一人では、生活は成り立たない。お互いが助け合って行かねばならないのであります。よりよい家庭、明るい日本を築き上げるのも、ここから出発して行かねばならないのであります。立派な日本の国を背負って行くのは、青少年の皆さんに肩にかかっているのであります。私共大人は皆さん方に大きな期待をよせています。皆さんが健やかに、そして明るい人となり、明るい日本の国を築き上げて下さることに!日本の国は、第二次世界大戦に負けたとはい

各家庭のお母さん方へ

富士市婦人会長 秋山てる

‐ 写真あり ‐

日本が戦争に敗れて多くの領土を失った反面、戦後増加したものの中に、犯罪といういまわしいものがあります。殊に犯罪非行の年令が下がって、青少年にこれが多いという事は誠に寒心に堪えません。比較的善良な家庭に非行少年が出る例も少なくありません。一寸した不注意から可愛い子供の将来に拭い切れない汚点を残し、親も泣かなくてはならないことになります。
社会環境が悪いとか、家庭の放任家庭の無理解等問題は種々ありますが、婦人会の本年度主要推進事業として、本問題と取組んで解決の途を開いていき度いと思います。各家庭のお母様方に是非共御協力戴き度くお願い申し上げます。

青少年の保護育成

富士地区保護司会長 萩原芳作

‐ 写真あり ‐

現在の青少年は、言うまでもなく次代をになうべき運命を負っている。極めて大切な人達である。だから古聖は、その時代の青少年にあろうと、手をとって礼拝し「どうぞ立派に行動してほしい」と励ましたそうである。この真心に満ちた、しかも謙虚な態度は、青少年をして奮起せしめずにはおかなかった。こうした観点から「青少年育成」ということは、善良にして有為なる人材をつくるにある。つまり青少年保護育成というのは、積極面には、その明るくて正しい面を助長し、その消極面に於いては非社会的行為、つまり非行犯罪を未然に防止するにあると思う こうした事から見て、私は世の父母、兄姉に告げたい。「もう少しその子弟に関心を持っていただきたい」と「うちの子に限って」とのうぬぼれ程、はかないあものはない。世の父母兄姉は、その子弟は善良と盲信し、或いは時にその不良なるを知っても、世間体をはぢ或いは虚栄的にこれを否定して省みない者が往々ある。これはまことになげかわしい。
よろしく悪の芽は、その少時に剪りとるべきであり、善良の材は、いつくしんで之を養育すべきである。私は「青少年保護育成運動期間」にあたって、あえて県下の犯罪状況をのべ、以って善良にして有為なる後継者育成について、努力を惜しまれざらんことを切望するものである。

子供に罪はない

富士市福祉事務所長
滝川隣竜

自分の子供が世間の指弾を受けるようなことがあると、その親は必ず友達が悪いのだと責任を回避する。然しその友達の親も同じことを考えているのが通例である。どの親も誠に無責任で困ります。
近頃大人が子供に対する批判は中々厳しいようであり、又青少年にもこれを否定できない事象も尠なくない。だが青少年を責める前に、彼等を導く責任のある大人達の社会に、反省すべきものが沢山あるように思われます。
新聞の社会面に目をやれば背任、汚職が紙面を賑わしている。日本の指導者というべき人の見悪い行状に唖然とさせられる。
又スト決行であらゆる昨日が止まって了うのではないかとさえ思われる現象が続発する。かと思えば生活に困って生きる希望を失ってしまう暗い出来事も頻繁にある。斯様名大人の社会の有様は未だ社会の複雑さを解さない純真な青少年に何と響くであろうか。
更に社会を見廻せば、競輪、オート、パチンコは射倖心をあおり立て街には大人でも目を覆い度くなるあくどい広告が数知れない。青少年の犯罪や非行を、助長する者は誰か、といい度い。
青少年の実生活に直結する学校のすし詰め教室はともかくとしても先生達が斗争をやる。考えてみれば限りがない。大人達が本当に青少年対策の重要性を考えるならば彼等を責める前に先ず環境浄化に乗り出すべきであろう。

海上航空自衛隊
操縦学生募集

海上自衛隊及び航空自衛隊では優秀な幹部操縦要員を養成するために、操縦学生を次の要領で募集いたします。
○採用予定人数
(1)海上自衛隊 約40名
(2)航空自衛隊 約200名
○応募資格
日本人で心身ともに強健な男子で次の各項に該当する者
(1)昭和33年4月1日現在18才以上20才未満の者(昭和13年4月2日から15年4月1日までの間に出生した者)
(2)高校卒業又はこれと同等以上の学力を有する者
○志願手続
志願者は志願票2通、受験票1通(最近6か月以内の写真3枚)と返信用封筒1通(あて先明記、10円切手をはる)を静岡地方連絡部又は富士市役所総務課で受取り所要事項を正確に記入して下さい。
○試験
第一次 7月13日(国語、社会、英語、数学、理科の筆記試験)
第二次 8月4日(口述試験−身体検査、精密検査、適性検査)
○試験地
第一、二次とも浜松市西山町航空自衛隊浜松基地)
○採否決定と入隊
採用は9月下旬、10月中旬および34年1月入隊の予定
○採用後の階級
二等海(空)士に任用されます

「赤い羽根標語」募集

共同募金運動の理念を強く人々の心に訴え、運動の趣旨徹底とその協力を呼び起こすことを目的として、この意義を強調するにふさわしい「赤い羽根標語」を全国から募集する。
○用紙…官製ハガキ一枚一篇(住所、氏名、年令、職業明記)
○送り先…中央共同募金会(東京都渋谷局区内)
○締切…5月31日(当日到着分まで)
○発表…6月6日頃それぞれ毎日新聞紙上・NHK
○賞金…入選一篇 厚生大臣賞状並に記念品
副賞 14インチテレビ受像器一台
佳作三篇 賞状と記念品
主催 中央共同募金会、全国社会福祉協議会

お知らせ

火災を発見した時は すぐ電話で「火事」と
火災を発見した方は、逸早く電話で「火事」と呼んで下さい。電話局では「火災通報電話」ですぐ消防団へ

若い力でのび行く社会