広報ふじ 昭和41年11月に吉原市と鷹岡町と合併した富士市広報紙の全記録

昭和33年 3月25日発行 内容

新年度の施政方針

重点事業は旭化成、田子浦港の完成
総額(一般、特別)6億3,700万円
3月定例富士市議会終わる

3月定例議会は3月4日午前9時招集され会期を12日までの9日間と決定し、第一日目の本会議は昭和33年度富士市一般会計および特別会計歳入歳出予算を上程、当局より関係課長の説明についで翌5日も午前9時開議、前日に引続き関係課長の説明後直ちに総括質問に入り、活発な論戦をくりひろげた。終わって議題24号区域外営造物設置(火葬場を鷹岡町に新設)ほか1件を即決し昭和33年度一般、特別会計予算ほか6件を各常任委員会に付託した。すなわち3月12日の本会議は各常任委員長より付託議案の審査の改築などいづれも原案通り可決された 新年度予算編成に当たり遠藤市長の編成方針演説は大要次の通り。

岩小と二小を鉄筋三階に増改築

本日茲に昭和33年度一般会計並びに特別会計予算提出に当たり予算編成についてその大綱を御説明申し上げます。先ず冒頭申し上げたい点は御承知の通り私は任期余すところ約2か月でありまして、昭和33年度予算を編成致しましてもその執行については殆んど手をつける期間がなく且つ総花的予算であるという誤解を受ける事であってはと考えむしろ必要経費のみを計上し、新首長によってその方針に合致した予算編成を行う事が、現在私の取るべき道ではないかと色々苦慮し、また研究も致しましたが、結局法的に欺様な措置は許されない事を考え敢えてここ 昭和33年度事業中最も重要課題として取り上げましたものは、工場誘致と一体の関係にある田子浦港湾とこれに関連する田子浦地区開発事業を挙げ、次に継続事業、或は建設5か年計画に基く未完成の事業、即ち岩松小学校舎の完成、第二小学校6教室の新築、都市計画の富士鷹岡線事業、火葬場新設事業、消防自動車の購入、富士川用配水事業、公営住宅の建設、防火帯建築の推進並びに海岸砂防工事の推進等を重点として、一般経常費については己むを得ない費用の外は努めてこれを切りつめ、課長の良識に基いて原案を作製し要求書の提出を命じたのでありま ‐ 図表あり ‐
(図表説明)・・・昭和33年度富士市予算総括表
‐ 写真あり ‐
(写真説明)・・・施政方針演説中の遠藤市長

一般会計歳入は2億8,800万円

以上提出されました要求案を査定するに当たりまして・A私は先ず第一に歳入について検討を加えたのであります。御承知の通り昨年度すなわち昭和32年度におきましては、予算外の税の増収によりまして最終予算3億6,730万円余を計上し本市においてかつて見ない多額の財源を得たのであります。斯様な現象は神武景気の最後のしわ寄せが32年度にあらわれたもので、すでに国内財界の情勢は昨年度の金融引締め等の影響によって極度に沈滞状態に陥入っています。現状よりみて何時までも32年度の甘い夢を追うが如き安易な考えは許さるべきではあり

歳出について

つぎに歳出面について申し上げるならばさきほど申し上げました各課長より提出されました要求額3億3,100余万円は誠に良心的な要求で決して過大なものでなく極めて妥当な要求であることを率直に認めたのであります。しかし乍ら国、県等の計画額の判明せざる事業等については当初予算に計上を差し控えました関係上いずれ追加予算として当然計上しなければなりません。従ってこれが財源をも確保し予定して置かなければならない点等を考慮し己むを得ず歳入面とも照らし合わして茲に4,373万6,100円を削減致した次第であります。
すでに議案について御承知の通り私が33年度重点施策と考え指示致しましたものは一応計上致しましたが未計上の富士川用排水事業費、田子浦港湾関係費用は今後国、県の計画確定と相俟って追加予算として計上すべきものであります。斯様に考えますと本年度事業遂行に当たっては誠に苦難な道を予想しなければなりません。いずれに致しましても財源の大半を占める微税の万全を期すると共に税外の収入についても最善の努力を致しまして財源の確保に努め事業の完遂を期すべきことは公僕として当然の責務と存ずる次第であります。幸いに各課長が部下職員と

建設費に7,000万
市立富士中央病院特別会計

つぎに市立富士中央病院特別会計について申し上げます。御承知の通り中央病院の経営も逐年改善向上し漸く市立病院として名実共に充実の域に達しましたことは担当職員の努力は勿論のこと議員各位の御鞭撻の賜と深く感謝致すところであります。ただ遺憾な点は病舎の老朽且つ狭隘のため充分なる医療成果の得られなかった点でございます。幸い昨年度は本館改築と結核病棟20床の増設の機熟しその緒についた次第であります。
従って本年度は一気にこの多年の懸案を解決致すべくかつてない多額の予算を計上致した次第であります。その額は1億3,793万6000円となり昨年当初予算に比して約倍額であります。この中央病院建設費として7,000万円を計上致しました。

‐ 図表あり ‐
(図表説明)・・・昭和33年度一般会計(100分の比)

1,000万を上廻る
競輪事業の収益金

競輪事業特別会計につきましては開催権獲得以来過去3か年の実績をみまして1,000万円を上廻る収入を得まして税外収入として本市の財源に大きな役割を果たして居りますことは御承知の通りであります。本年度は単独開催1回分を基幹として熱海と共催、その収益を雑入として熱海市より受け入れる事と致しました。従って本年度予算規模は9,738万7,000円を計上致しました。苦難の本年度当市財源としてこの事業の成果に期待するところが大きな訳でございます。
したがって昭和33年度一般会計並に特別会計の当初予算は合計6億3,795万3,900円と相成る次第であります。いずれに致しましても予算に計上致しました以上これが執行に当たっては100%の完遂を期せねばなりません。また財源の確保については微税の完璧を期するは勿論、税外収入についても万全の措置を考えなければなりません。これに市民各位の市政に対する深い理解と議会の絶大なる御協賛に待たねばならないことは申すまでも御座居ません。最後に昭和29年就任以来4年度にわたる予算提出とその執行については終始変わらざる議会の御 ◎国保事業
つぎに国民健康保険事業特別会計について申し上げます。国保の事業は創設以来日なお浅いのに拘らず順調に進展をみて居りますとことは運営委員各位の御指導と担当医師の御協力に加えて加入市民各位の深い理解によるものと存ずるものであります。本年度は昨年度に比して事業の拡大を予想し予算2,485万4,000円を計上致しました。その財源を考えますと当然保険税の増徴にまたねばなりませんがこの際加入者負担を増額するに忍びず、一般会計より昨年度より100万円を増額し計500万円の繰入金を計上致した次第であります。今後加入者各位が ◎水道事業
水道事業につきましては新市発足以来着々その施設の拡充をみましたが本年度は全市域にわたる給水施設の完成並に配水池工事の完成を目標として8,363万4,000円を計上致しました。申し上げるまでもなく水道施設は市民生活に不可欠にして緊急なる事業に鑑みまして起債使用料のみの収入にては到底これが完成は期し難いため本年度も一般会計より1,000万円の繰出を計上致しましたことは御承知の通りであります。これ又5か年計画に基く当市の重大事業でもあります。

◎助産、葬祭費の支給
富士市保険課は被保険者の出産又は死亡した場合には助産費および葬祭費を各1,000円宛支給しております。未だ支給を受けていない方は(1)出産証明書又は死体埋火葬許可証(2)受診証(保険証)(3)印鑑を持って至急保険課までお申し出下さい。 (保険課)

運営は独立採算
と場、公益質屋予算

と畜産についてはその性質から昨年度中途より特別会計として発足したのでありますが、一応設備は完成し使用料の増額も決定致しました関係上、歳入は使用料のみをもってこれに充当し239万4,100円を計上し名実ともに本年度より独立採算制による運営を行うことに致しました。これまたその成果に期待している次第であります。

◎公益質屋
つぎに公益質屋特別会計について申し上げます。公益質屋は唯一の庶民金融機関として順調な営業成績を挙げ年々利用者の増加しておりますことは喜びに堪えません。本年度予算は359万4,000円を計上致しましたが、予算書においても御覧の通り歳入において他会計の繰入金もなく歳出においても公債費の計上なく全く本年度より独立採算制の運営を行うことになりました。

人口の動き

昭和33年3月1日現在
総人口 4万3,092人
男 2万1,488人
女 2万1,604人
世帯数 7,988世帯
(住民登録調)