広報ふじ 昭和41年11月に吉原市と鷹岡町と合併した富士市広報紙の全記録

昭和33年 2月25日発行 内容

文部省モデルスクール
県下一を誇る白亜の学舎
総工費実に1億5,000万円

富士中竣工式盛況裡に終わる

秀麗富士を背景に偉容堂々とそびえ立つ文部省指定モデルスクール市立富士中学校舎の竣工式は2月9日午前10時半から同校講堂兼体育館で盛大に行われた。この日松永文部大臣代理官、高瀬参議院議員をはじめ斉藤県知事、地元の各種団体代表など500余名が参列した。まず岩間収入役の開会の辞についで遠藤助役の富士中校舎建設工事の経過報告があって続いて遠藤富士市長、漆畑議会議長より「祝竣工」についての祝辞が述べられた。終わって遠藤市長より敷地提供者、設計および工事請負者などに感謝状と記念品がそれぞれ贈呈された。ついで来賓の祝辞 市立富士中学校は6、3制の実施により昭和22年2月当時の凸版印刷富士工場の分室であった施設を買収してこれに改築整備を加え、6、3制の市立富士中学校として開校した。すなわち当時の校舎の一部が現在の富士市役所庁舎として使用しているのであります。当時の学校の敷地面積は僅かに3,506坪の校舎面積782坪(延1,436坪)で敷地、校舎とも甚だ狭隘でしかも逐年生徒数は激増しいずれも拡張の要に迫られていましたが、全くその余地なくあまつさえ学校の位置するところは市の中心繁華街にあって将来市の発展策の面からいってもこれも

第一期工事は28年2月に着工

たまたま昭和26年現遠藤市長が選ばれ町長に就任されるやその要望に応え、これが実現を期することになったのであります。よってこれを議会にはかり全員の協賛を得てここに富士中学校移転改築特別委員会を設け速やかにこれが実現を期し、直ちに学校敷地の選定および買収に着手した。幸い地主をはじめ小作の人たちの積極的な協力を得て、当時の富士町中島天神川原の敷地7,747坪を1,020万3,000円を以て買収を完了、同27年2月に文部省にモデルスクール建築の許可の申請を行った結果、同年5月29日に正式許可を受け同28年2月8日 ‐ 写真あり ‐
(写真説明)・・・富士中校舎全景
(写真説明)・・・遠藤市長の祝辞(会場)

第一期は安藤、石井組は二、三期

第一期工事に続いて昭和28年12月21日、第二期工事として鉄筋2階建特別教室568.7坪の見積入札の結果、これを2,700万円で富士市の石井組が請負い、同29年2月11日に地鎮祭を挙げた。つぎに同年5月4日に電気並びに衛生工事の指名競争入札を行い電気工事を静岡東海電気KKが135万1,000円で衛生工事を静岡市の八木商店が189万円でそれぞれ請負った。
また追加工事として同年8月5日塔屋27坪を石井組が130万円で施行した。

第三期工事は管理室など

第三期工事は昭和30年1月20日に随意契約により鉄筋2階建、一部3階の管理室並びに教室741坪の主体工事と電気衛生工事を石井組において3,750万円で請負い、同年10月15日に定礎式を挙行して11月18日に竣工検査をみたのであります。ここに第一期と二、三期を通じ文字通り県下一を誇るモデルスクール富士中校舎の完成となった。

講堂兼体育館完成

昭和32年10月26日から30日までの5日間にわたり、第12回国民体育大会バドミントン競技が富士市で華々しくくりひろげられました。このため富士市体育協会が主軸となって社団法人体育館を組織、昭和32年4月23日延586、31坪を石井組が工費2,650万円を以て着工、10月12日竣工をみました。ついで社団法人体育館は10月13日教育財産として市に引継がれ、ここに富士中学校講堂兼体育館として教育の振興に市民の体育向上に、あるいは文化の交流の殿堂としてその利用価値はまことに大きいものがあると信じます。

モデルスクール完成に際して

富士中学校長 塩川辰義

‐ 写真あり ‐

遠藤市長さんが、畢生の大事業の一つの建設に着手されたモデルスクール富士中学校が、その御熱意と御協力を中核とし、関係方面の方々並びに各界や市民各位の絶大なる御協力支援を得て、見事に工事完了となったのは昨秋10月のことであります。
最良最適の環境に校地を選定され、施設設備に最善の工夫が施された規模壮大にして堂々たる偉容を持つ白亜の教育殿堂富士中学校は、独り遠藤市長さんの御自慢の種なるのみならず、4万富士市民の一つの大きな誇りでもあると思うのであります。
さる2月9日落成祝賀の式が新装なった体育館に於て挙行され御臨席の来賓からも県下第一の校舎だ、全国一の中学校体育館だ、との御祝辞と、生徒も教師も施設に負けぬよう頑張って貰いたいとの激励の辞を賜り、参加の職員生徒一同感銘を新たにしその責任の重大さを痛感したのであります。
環境絶佳、施設完備のモデルスクール富士中学に学ぶ1,600の生徒は、斉しく自分達の幸福を全身に感じ、その名に恥じぬモデル中学生になろうと決意しておりまして、隠れた善行生徒も数々あらわれるようになって参りましたことは全校の喜びとするところであります。
かくてこそ、名実相備わり、形質相伴った真の学園天下の富士中が完成され、市長さんや関係各位並びに市民の皆様の御好意御期待にお応えすることが出来るものと信ずるものであります。

秀麗富岳を背に
環境、施設共に日本一

かくて富士中学校舎は前後6ケ年の歳月を要し、この間敷地買収費を含めて約1億5,000万円の巨費を投じ文部省指定のモデルスクールとしてまことに堂々たる白亜の学舎が秀麗富岳を背景とした環境絶好の地にその偉容を誇ることに至ったのであります。
なお最後にこの竣工の蔭には議会議員をはじめ敷地提供者の方々の御尽力は勿論のこと設計、監督者や各請負業者の犠牲的精神、PTA、一般有志各位の絶大なる御好意が結集してここに大きな成果となったのであります。

建設急ぐ旭化成

多忙の開発特別委員会
連日に亘り地区民と交渉

一月は本会議を開会しなかったが、目下の重要課題である旭化成富士工場用地の問題について年末以降会議は多忙を極め全員協議会田子浦地区開発特別委員会等ひん繁に会議が開催され、慎重にして且真剣にこの問題と取り組んで懸命な努力を続けております。
そして1月23日田子浦小学校に於て田子浦地区関係部落の代表委員と会談し、用地の区画決定につきこれを発表すると共に今後の協定方を懇請し、その後2月1日を期し各関係部落へ全議員を動員し分担して懇請に赴き意見を交換し、又は関係者の率直にして切実な声を聞きつつ殆んど連日に亘り会談し話合いを進めている現状であります。
田子浦港の築港と旭化成の工場建設は当市としては未曾有の大事業であり工場用地も21万5,000坪に・yぶ広大なもので関係地主耕作者も250余名に上り職業転換の止むなきに至る方々も多数にて、その影響するところは極めて重大であります。
故に関係地区民の希望等も充分拝聴し一日も早く双方納得の出来る線を見出して円満裡に妥結することを期待し今後共市議会は当局と共に更に一段の努力を傾注する決意でおります。

◎建設委員会
都市計画富士鷹岡線の国鉄跨線橋建設予定に伴う鉄道南北に亘る用地買収、家屋移転の問題、また都市計画伝法線、県道田子浦線の拡幅改良工事による家屋移転、用地買収等いずれもその交渉は困難を極め意の如く進捗しませんでしたが、建設委員会は佐野委員長初め委員会殆んど連日に亘りその交渉に当たり関係者に懇請に懇請を重ね着々その成果を上げつつあります。
土木事業の成否はこの交渉如何にかかっているのであります。今後共当局と相提携して更に推進する予定であります。

◎厚生委員会
懸案の火葬場移転改築の問題については市内各所に候補地を物色中でありましたが、地元区民の意向等もありその決定は非常に困難でありましたが、その後鷹岡町と共同設置とする方針が両市町に於て諒解が成立したので今後更に具体的の問題につき両市町の合同構成委員会を開催して協議検討を加える予定であるます。(市議会事務局)

保険課の年間行事

明るい家庭はまず健康から…と富士市役所保険課は課員総動員で市民の保健衛生面に力コブを入れ各種事業を行っています。参考までに33年1月から12月までの保健施設月間の実施計画は次の通りであります。
◎1月検便
◎2月(1)一般および歯科検診(血圧測定)(2)育児相談(3)検便、検尿
◎3月(1)母性講座(2)結核家庭訪問
◎4月(1)母性講座(2)結核家庭訪問
◎5月(1)母性講座(2)保健映画、スライドによる保健啓蒙運動
◎6月(1)健康家庭表彰(2)農繁期(梅雨期を含む)疾病発生の防止運動
◎7月(1)育児相談、受胎調節相談(部落単位)(2)保健映画、ニュース映画(夏休み前)
(保険課)

新しく戸籍が作り替えられます

4月1日から、古い戸籍を新しい制度による戸籍に作りかえることについては、既に皆さんも御承知のように、昭和23年1月1日から新戸籍法が実施されて、これまでの日本の戸籍はいわゆる封建的な家族制度、すなわち戸主の下にその家族全員が一つの戸籍におさめられておりましたが、新憲法により家の制度が廃止され、従って戸主もなくなり、戸籍は夫婦とその子を単位として作ることに改められました。新しい制度による戸籍は次のような三つの基準によって作られるのです。
一、一組の夫婦とその夫婦の子ごとに戸籍を作る。
二、戸籍の最初に記載されている者(昔は戸主といいましたが新制度では戸籍の筆頭者といいます。)と、その配偶者以外の者に子が生まれたり、又は養子をもらったりしたときは、その者について必ず新しい戸籍を作ってその子又は養子はこの新しい戸籍に入籍させます。従って親、子、孫という三代にわたる者が一つの戸籍内に入らない事になります。
三、配偶者のある者が、配偶者と共に他の夫婦と養子縁組等によってその戸籍に入籍する場合には、その夫婦を養親の戸籍に入籍させることなく、必ず養子夫婦の新しい戸籍を作り、二組以上の夫婦が同じ戸籍に入ることがありません。
親と子と孫、又はおじ、おば、おい、めい等が一つの戸籍に入っている従前の古い戸籍がこの4月1日から向こう3ケ年の間に全国一斉に作りかえることになったのです。富士市に於ては、33年度中にまず後に記載する区域に本籍のある方の戸籍を作り変えます。なお昭和22年以前、婿養子縁組婚姻で妻の戸籍に入った人は、新戸籍では妻の名を一番先に書き、夫はその次に書くことになっていますが、夫の名を先にしたい時は夫婦から申出があれば夫を筆頭者として作りかえます。希望のある方は早く戸籍課又は岩松、田子浦支所まで申出て下さい。
< ◎戸籍改正予定計画
一、大字本市場新田、長通、松本、中島、加島町、柚木、平垣、本市場、本町、柳島、川成島、宮島、岩本の全戸籍(昭和33年4月から昭和34年3月までに改正の予定)
二、大字蓼原、五味島、水戸島、十兵衛、上横割、五貫島、中丸、鮫島、松岡40番地の甲から1070番地の2まで(昭和34年4月から昭和34年3月までに改正の予定)
三、大字下横割、森島、森下、宮下、前田、田子、松岡1071番地から無番地まで(昭和35年4月から昭和36年3月までに改正の予定)
(戸籍課)

富士市の人口

昭和33年2月1日現在
総人口 4万2,908人
男 2万1,389人
女 2万1,519人
世帯数 7,957世帯
(住民登録調)