広報ふじ 昭和41年11月に吉原市と鷹岡町と合併した富士市広報紙の全記録

昭和32年 1月1発行 内容

賀正 1957

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年頭の辞

富士市長 遠藤脩治
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 あけましておめでとうございます。本年も相変わらずよろしく御願いいたします。
 私は、日本人は世界に於いて稀に見る、驚くべき優秀な民族だと信じています。戦後12年間の復興振りが雄弁にこれを物語っています。私は32年の年頭に於いて、先ずこのことを思います。
 考えてみますと、日本の財界は次第に好転しつつありますし、32年の見通しも明るいようであります。政府は1,000億円の減税を決定しましたから尚更各人の懐は暖かになりましょう。併し市町村の財政はこれと一致いたしません。富士市は30年31年と窮乏の淵に追い込まれましたが、それでも議会其の他及事務当局の理解と協力によって相当の事業を成し遂げて来ましたが、32年の財政は昨年の比でありません。国家が所得税を軽減すればする程富士市の歳入は減じます。市税賦課の基準が所得税にあるからであります。又昨年一工場であった大工場 水道事業の推進、踏切問題の解決、国民体育大会の開催、5ヵ年計画の実現、富士市の前途には幾多の難関が横たわって居ります。私は素より満腔の誠意と渾身の努力とを市政運営の上に捧げることを覚悟して居りますけれども、それも無限に可ではありません。財政の状態はこれに峻列に立ち塞がりまして、大きく限度を剥します。32年度富士市を如何にすべきか、私は新市町村建設促進法に基づき、新富士市建設審議会を設置して各界から衆智を挙げ、以って5ヵ年計画の再検討を行い、猪突を避けて、慎重な研究討議によって、富士市永遠の繁栄を策し、その  以上私は、この年頭に当たって私が現に直面している極めて深刻な問題を皆様の前に披露して、全市の御協力を切に御願いした次第であります。
 皆様の御幸福を祈念して年頭の挨拶といたします。

年頭の挨拶

富士市議会議長 漆畑五六
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 永い間国民の待望せる日ソ国交の回復、国連加盟等国際的に輝かしい光明を得、これに加うるに我が地区選出の石橋溝山氏の自民党総裁の実現を見、内閣総理大臣として政権を担当することとなり、茲に光輝ある新春を迎えまことにお目出度うございます。
 年頭に当り過去1年間を静かに回顧いたしまするに、経済界は幾分景気上昇の気運をみせつつ比較的平穏に推移しつつあり、対外的には国民待望の日ソ交渉もようやく妥結いたしまし・ト両国間に正常な国交が回復されようとしており、また日本国際連合への加盟も承認され、わが国の国際的地位も順次苦情しつつあることはまことに喜ばしいことであります。そして歳末に至り政界の変動を見、政局は慌しく新展開をしたのでありました。
 翻って当市に於きましても部分的災害は別として、重大な災害事故等もなく、大体平穏な1年でありましたことは御同慶の至りであります。
 そして市の施策としての主要事業は財政上の理由により相当の制約を受けたことは止むを得ざることとは申しながら、市民各位の要望に充分添い得ず、まことに遺憾に存ずる次第であります。
市制施行以来ここに4年目を迎えたのでありますが、この間市の各種主要事業は順次推進され、市としての形態も逐次整備されつつあるとは申しながら、猶今後に残された懸案は多々あり、むしろ市繁栄の基盤となるべき主要事業は今後にあると申せましょう。
 幸にして、経済界も順次好転しつつあり、経済界の好転は必然的に市財政にも好影響をもたらすものと期待しておる次第でありまして、希望に満ちた佳き年であれかしと心から祈念いたすものであります。
 当市議会は石橋内閣実現を契機として、この好機を逸することなく全議員益々和衷共同、一致団結し、当支局とも一層緊密な連繁の下に両者一丸となって最善の努力をいたし、以て市民各位の御期待に沿うよう努力致す覚悟でございます。
 市民各位におかれましても私共の意のあるところを諒とせられ、市発展のための大局的見地より格段の御協力御支援をお願い致しまして年頭の御挨拶といたします。