広報ふじ 昭和41年11月に吉原市と鷹岡町と合併した富士市広報紙の全記録

昭和31年 3月25日発行 内容

3月定例市議会にて昭和31年度施政方針

 3月定例市議会は、3月1日召集され昭和31年度富士市歳入歳出予算案の外13議案を提案しました。
 遠藤市長は昭和31年度予算編成の大網とこれに基づく施政方針の説明を行いましたので、次にその大要を記してみます。

 春寒料峭の折柄議員各位には愈々御健祥にて常に事巨細となく市政のため御尽瘁を賜り感銘この上なく茲に第三回議会開会に当り謹んで深甚なる敬意と感謝を表する次第であります。
 さて市制施行第三年目に当たる昨年度即ち昭和30年度予算提出に際し既に申し上げました通り、新市建設の最も重要な基盤確立の年度に当り乍ら、地方税制の改正と、国家の緊縮財政堅持と更に新市建設の、命の綱と頼みたる町村合併促進法の空文にも等しき状態に災され、当市の財政は極めて悲観すべきものが有り市政施行者として私の苦衷は誠に大なるものがある事を率直に申し上げました事は御承知のことを存じます。
 かかる困難なる財政下に有っても市政は一日もこれを忽にする事は出来ないので有ります。私は四万市民より寄せらるる重責を想起し、如何にしてこの負托に答んかと日夜苦悩を続けたのであります。
 幸いにして7,000余万円の追加財源を得て当初企画致しましたる主たる事業完成の見透しを得ました事は私の最も欣快に堪えない所であります。之れ一重に市民各位の御理解と議員諸賢の絶大なる御協賛の賜ものによる事と存じ茲に重ねて御礼を申し上げます。

31年度基本方針
 次に今般提出致し御審議を煩しまする昭和31年度各種予算とこれに付随する諸議案は既にお手許に配布いたしました通りで有りますが、以下その編成の経緯と施政方針について御説明申し上げます。
 御承知の通り現下我国の経済界は、一応の安定を見たと申し乍ら唯手離に楽観する訳にもまいりません、試みに国家予算を見ましても31年度に於いて一兆340億余、僅かに1兆円のわくを切ったに過ぎません。これが地方財政に及ぼす影響は誠に微々たる額であります、飜って地方財政の現状は逐年の赤字累積による財源の不足は根本的な改革を講ぜざる限りその解消は出来得ないまでに窮迫した情勢に来ております。
 従って政府の340億円余の増額予算では31年度地方財政は更に厳しい情勢に有ることを覚悟せねばなりません。
 当市についてこれを見まするに本州製紙の大工場指定2年目による固定資産税の減収、更に大昭和製紙富士工場の新たなる指定も決定的であります。加えて市内有力工場の操業停止の事は既に御承知の通りであります。以上に起因し当節減合理化に努めることを予算立案に当たって、基本方針といたしたのであります。

歳入について
 以上の基本方針に基づき市一般会計予算について申し上ぐるならばまず歳入面については慎重に検討を加えました結果本市財源の大宗たる市税収入に於いて1億4,394万円を見込み、税外に7,121万7,200円を求め合計2億1,515万7,200円を決定した次第であります。
 然し前述の額は30年度当初予算に比較いたしまして1,000余万円の増額となっております。
 前年度より苦しい財源を予想しながら、尚敢えて増額予算を編成しなければならなかった点は次に申し上げる歳出関係に於いて御諒察いただけることと存じますが、この財源を確保する為には税収は勿論税外収入についてもあらゆる努力を傾倒する覚悟であります。

歳出について
 次に歳出面について説明前に一言申し上げたい点は、私が常に考え又もうしあげております通り、合併による新市建設については、その本来の目的に即応して極力消費的経費の節減を企図し一方投資的経費にその重点を置いて施策致しまいったのでありまして、合併都市に比して決して遜色のないことを秘に誇りと致すものであります。更に私が申し上げたい点は、少なくとも市政執行者として各種施策について差別的な考えは毛頭なく4万市民の総意に沿い大局的見地に立って感情に支配せらるることなく公平に而も緊急重要度を勘案し、しかも、財源の許す範囲  従いまして建設計画についてもその緊急重要度によって年度の繰上げ或は繰り下げ等これ又止むを得ない点は良識ある各位の御諒解いただけることと存じます。
 私は31年度予算編成に際し前以て各課長に対し歳入の見込み額と重点施策の大綱を示しその線にそって歳出要求書を作製せしめ提出いたさせました。その結果要求総額は約2億7,000万円に達したのであります。これを仔細に検討致しましたがいずれも私の指示に従っての成案であります為、これが取捨については容易に決定致しかねたのであります、しかし作ら財源とのバランスを考え合わせる時、歳入予想を上廻ること7,000万円の額は余りにも均衡を失した額で本年度税外収入総額に匹敵する額であります、私は?にこの歳出総額を歳入面まで減額
重点事業
 かくて私は合併新市発足以来2ヶ年間の施策を省りみ、本年度事業の重点として土木関係において都市計画の早期完成を期するため残余の原型測量の基づく都市計画街路の設定並みに是に基づく主幹道路の新設改良、加島踏切問題解決に主力を注ぎ、社会労働関係については、国民健康保険の実施、住宅建設事業を重点とし保健衛生面については財源に関係ある、と場の完成、火葬場改築の基を主体としたる予算を編成致し、産業経済費については三土地改良区の事業に対し予算外義務負担の決議の線に沿い30年度事業費補助を計上しその完遂を期するものであり  次に富士警察署建設については、県担事業とは申せ本地区住民の治安の万全を期するためには寸時も放任いたすことは許せません。多額の出費も又やむを得ないことは各位の認識せらるる所であり別途予算支出を考えているのであります。特に教育関係については合併以来最も重点的に施策を続けて参ったのでありますが、なお完備の域に達したとは申し上げられません。旧臘議員の各位御視察の結果第二小学校舎、富士中講堂、岩松小学校改築等の要望切なる点は充分諒解致す所で御座います。而し作ら本年度の財源並に緊急重要施策の山積を考え、本年度教育関
(款別の説明略)
水道事業特別会計
 次に上水道事業でありますが、全市域を総合致しました布設計画1月30日付けをもちまして厚生、建設両大臣より認可指令を得ましたことは、誠に同慶にたえない所であります。又布設事業も予期の進捗を見つつありまして30年度末におきましては、給水戸数1,600余戸に達する予定でありますことは各位不断の御協力による成果でありまして、誠に感謝のたえない次第であります。
 つきましては、昭和31年度に於ける布設計画でありますが、各位御承知の如く当市域全般に亘り地下水位は年々低下の一途を辿りつつありまして、最近に於ける井水の過半は枯渇し市民の日常生活を脅しつつある現状に鑑みますとき、水道の布設は誠に喫緊の要務と存じますのでまず以って根田の水源設備を築造いたしまして、これより配水本管を駅南まで延長布設し管路の系統により順次水源に近い富士、鷹岡線路沿線部落と、駅南部落に配水管を布設し、給水の渇望に応えんとする計画でありまして、計上いたしました予算総額は歳入、歳出とも83,170  歳出予算につき申し上げますと、事業費が73,030,000円でありまして、他の10,140,000円が業務費、公債費外であります。
 次に歳入でありますが、事業収入といたしまして、使用料及び手数料が5,050,000円、加入者負担金に於いて3,000,000円、その他120,000円合計8,170,000円を見込みますと、差引75,000,000円の不足財源を一般会計より繰入金10,000,000円と市債(起債)65,000,000円に求めました次第であります。
 繰入金につきましては一般会計において申し上げました財政事情によりまして10,000,000円を限度とせざるを得なかったことを御諒承願いますとともに、市債65,000,000円の獲得につきましても相当至難なものがありますことを予想さる次第でありますが、最善の努力を傾注いたす所存でございます。
 各位におかれましても積極的な御協力を切に御願申し上げる次第でございます。

(公益質屋特別会計説明略)
(中央病院特別会計説明略)

 以上甚だ要を得ませんが、昭和31年度一般会計、特別会計について、予算編成の経緯と施政方針の一端を申し上げたのでありますが、一応予算編成はいたしましたが限られたる財源をもって計画完遂の為には、なお追加財源獲得必至等を考えます時これが運営に当たる私の責任の重大なる事を重ねて痛感致すところであります。
 港間よく聞く事でありますが、十の財源をもって十の仕事をする事は誰でも出来る、即ち無から有を生ぜしめる事、言い換えれば、窮乏せる資力を以って百%の効果を挙げる事が政治の要諦であると言えましょう。誠に御説御もっとも存じます。私は今年こそ大いに政治力を活用し、12分の効果を挙げ以って4万市民の与望に応えた存念でございます。生来政治力に乏しい私の為、各位の御指導と御鞭撻を懇願いたすと共に提出致しました議案について慎重御審議の上何卒御協賛を賜らんことを御願い申し上げ私の説明を終わります。

‐ 写真あり ‐
( 写真説明)・・・施政方針演説中の市長

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