広報ふじ 昭和41年11月に吉原市と鷹岡町と合併した富士市広報紙の全記録

昭和30年 8月25日発行 内容

新しい米の販売方法(農産課)

米の事前売渡申込制
 いままでは「供出割当」として国から県、県から市町村、市町村から農家へと割当制により米を政府に売渡して来ましたが今年度産米から「予約買付制」とし「事前売渡申込制」という方法で政府に米を売渡すことになりました。
 「事前売渡申込制」になったのですが政府は食糧管理法を改正しないので生産者が米を売るのは政府以外には売る事が出来ないのです。それに農家の事前売渡申込数量」も従来の「供出割当」当時と同様に政府から農家の個人別の売渡可能数量が示されてきていますから生産者は再生産必要数量を「保有量」として確保し残餘のものはこの「事前売渡申込制」により農業共同組合へ申し込んで政府と契約することとなります。
 それで市では「富士市米毅売渡推進協議会」を設置して農業員会で従来の資料を参考として政府からの要請数量に基づき個人別売渡可能数量を決定し推進協議会、部農会長、農業員、市議会農産常任委員農業共同組合の合同協議会を開催して部農会長を通じ米毅事前売渡申込を皆さんにお願いしたいのであります。
 ところが生産農家の皆さんの絶大なる御協力によりまして政府から要請された数量より以上の売渡申込を受けましたので8月17日推進協議会を開催して別記部落別一覧表の通り売渡し数量を決定し直ちに農業共同組合は政府に売渡契約手続きを致しました。
 農家の事前売渡申込数量は収穫期迄で災害其の他理由により減収となり再生産確保に必要な保有量が少なくなった場合は補正することが出来ます。
 最後に本年の米の「事前売渡申込制」により政府に米を売渡した場合は農業所得税に於いて次の通り控除があります。
 9月30日までの出荷分、石当り2,400円、10月15日までの出荷分石当り1,800円、10月31日までの出荷分石当り1,500円、10月1日以降2月末日までの出荷分石当り1,200円です。尚無利息の前渡金が石当り2,000円でありまして皆さんの貯金口座に振り込まれます。以上のような利点があります。
 では富士市米毅売渡推進協議会の規程、委員名簿その他参考表を掲載して尚一層の御協力により、秋の出荷が無事に完逐出来ますよう御願いします。

(一)富士市米毅売渡推進協議会規定(協議会の設置及び目的)
第一条 昭和30年産米の事前売渡申込制度の円滑、且つ能率的な運営を図るため富士市米毅売渡推進協議会(以下「協議会」という)を設置する。
(事務所)
第二条 この協議会の事務所を富士市役所農産課内に置く。
(業務)
第三条
この協議会は第一条の目的を達成するため、市集荷団体が行う指定集荷業者別集荷予定数量の決定、その要請売渡の申込及び集荷の確保、その他、集荷に関する業務につき協力するとともに、その推進を図るものとする。
(組織)
第四条
協議会は市長、助役、市議会、農業委員会、部農会、集荷団体代表者等の中から会長が委嘱したものを持って組織する。
(役員)
第五条
協議会に左の役員を置く。
会長1名
副会長 1名
(役員の選任方法)
第六条
会長、副会長は委員の互選による
(所掌事務)
第七条
会長は会務を総理する。
副会長は会長を補佐し会長事故あるときは、会長があらかじめ指定した順位による副会長がその職務を代理する。
(役員の任期)
第八条
役員の任期は就任の日から昭和30年産米の売渡しが完了するまでとする。
但し役員に欠員を生じたときの任期は前任者の残任期間とする。
(幹事長、感じ及び書記)
第九条
協議会に幹事長1名、幹事若干名を置く。
幹事長、幹事は会長が任免する。
2幹事長は会長の命を受け幹事会を招集し議事を運営する。
3書記は協議会の幹事をあて、この事務に従事する。
(会議)
第十条
会議を分けて委員会及び幹事会とする。
2委員会は会長がこれを招集し会長が会議の議長となる。会長事故あるときはあらかじめ指定した者が会議の議長となる。
3幹事会はこの協議会の事業計画並びに執行、その他必要事項の処理に当たる。
(その他の事項)
第十一条 この規程に定めるもの以外協議会の運営に関し必要な事項は別に会長が定める。
附則
この規程は昭和30年8月1日から施行する。

‐ イラストあり ‐
( イラスト説明)・・・8月31日限り 県市民税二期分富士市

(二)
‐ 表あり ‐
( 表説明)・・・事前売渡申込部落別一覧表

(三)
‐ 表あり ‐
( 表説明)・・・富士市米毅売渡推進協議会構成

税務雑感 税務課

 暑さにうだる今日この頃、税の話など暑苦しい。ましてや、数字など並べられては真平御免といわれそうなので雑感二つ三つ書き並べることとする。
 滞納したくはない。課せられた義務はなんとか果たしたいのが社会人としての常識であろう。だから故意に滞納する人は少ないが、皆無とはいえない。理にもいろいろある。
 税そのものに納得できない場合もある。納得できない税は納得できるまで説明もする。不当違反の課税ならば、手続きの方法もあるが、まずそのような例は少ない。不当だ、過重だと思い込んでなかなか諒解してもらえない場合もある。
 また感情の上や市への要望(要求)と、ひとからげにして思うようにならないからと滞納で報復する。これなどどう考えても筋が通らない。
 要望も要求も結構でしょう。だが、それには自ら限度もあり、時期もある。できることなら勿論やる。また感情の上のことなら流していただきたいと思う。
 県や国に対してこのような話は、あまりきかない。ちょっと相手が多きすぎて歯がたたない。してみると市当局は市民の最も身近い存在で個人的な利害関係も密接で、しかも我儘勝手も言い易い。またそれくらい気軽に近親感のもてる市役所でなければなるまい。だが最後にはわかってもらえないものだろうかと情けなくなることもある。
 税はあくまで税であり、感情は感情、要求は要求であると思うのは税を主体として考えた偏見だろうか?
 民主主義発育不全症だという人もあるがこの診断は誤診であって慾しい。
 税金は到底納期あでには納められないし、またそんなあわてなくてもといった調子でいつもいつも滞り勝ちの人もある。手数をかけらせ世話をやかせつつ、滞納の山が高くなる。滞納常習者なぞと面白くないマークがつけられる。
 正当な権利が尊重され市民が福利を享受する権利が保有されるからには、当然納税義務が強要される表裏一体の観念は、われわれの常識であるが、まだ義務履行の面がともすると軽視されがちの場合もある。
 戦前は租税完納を継続することは、醇風美俗として賞掲されてきたが、醇風美俗とは、あまりにも陳腐で時代錯誤といわれるかも知れないが少なくとも義務履行の面が一層協調され、また認識されるべきではなかろうか。「正直者が馬鹿を見た」ということを時折聞くことがあるが善良な市民、真面目な納税者に馬鹿をみさせている筈がない。この意味からも徴税は厳正に行い、納税の秩序はあくまで維持しなくてはならない。
 ヒューマニズムが影をひそめ道義の類撥した終戦後の昏迷状況からようやく脱しつつ今日に至ったのであるが、まだその影響は絶無とはいえない。納税思想が低下し、税の秩序が乱れて滞納が激増するようでは自治体の繁栄はあり得ない。
 差押はされる方もつらいがする方も全くつらい。
 市当局対市民の関係は強権を執行するには、あまりにも近親である。そこに自治行政の難点もあるがそうばかりもいってはいられない。だが双方のためにも出来得る限り処分は避けたい。だから最後の最後まで・閧つくす。
 しばしば足を運んでお願いする。どうしても誠意をみせていだだけなければ仕方なしやりますヨと書面や、口答でも念を押す。それでもそのうちなんとか考えもらえぬものかと内心期待するが、なしのつぶてで音沙汰もない。ここまでくれば、断固執行するよりほかはない。執行した以上完納か公売かであるここまで追いつめられて慌てるより何故それまでに誠意を示していただけなかったかと痛切に感ずる。

日本脳炎が多発しております

 8月16日に1号が発生してから18日の今日までの3日間に四名もの患者が市内に発生し益々増発の傾向にあります。
 脳を冒し死亡率の高いおそろしい此の病気に罹らぬよう特に左のことに注意して下さい。
一、蚊にさされないようにすること。「コガタアカイエ蚊」と云う蚊が病気を感染させますので蚊の駆除を行うと同時に刺されないように注意して下さい。
二、炎天下の無帽、過労、睡眠不足等はこの病気の誘致になると云われておりますので特に注意して下さい。
三、頭痛、全身倦怠、嘔吐、食欲不振などがあって発熱したら直ちに医師の診断を受けて下さい。