広報ふじ 昭和41年11月に吉原市と鷹岡町と合併した富士市広報紙の全記録

昭和30年 8月25日発行 内容

国勢調査

10月1日を期して  国勢調査は5年毎に行うことになって居り前回昭和25年に行われましたので今年10月1日現在で又調査が行われます。市内を135調査区に分けて調査員が漏れなく御伺いして調査致します。
 この国勢調査は全国の人々を調べ政治や行政のための基礎資料となるもので国の消長に最も関係の深い調査であります。限りのある紙面で委しく内容を説明することはできませんので、大略を申上げて見ます。尚詳細は調査員が御伺いしましたとき、よく御尋ね下さい。

一、誰をどこで調査するか
10月1日に国内に住んで居る人で駐留軍や国連軍の軍人、軍属やその家族を除いた全部の人を世帯でまとめて調査します。

二、何をどんな方法で調査するか
1、氏名
2、世帯主との続柄
3、男女の別
4、生年月日
5、配属の関係
6、国籍
7、昭和16年末までに生まれた人について9月24日から30日まで1週間の仕事の状態
8、住居に関する事項

 右のことにつき調査票に書きこんでもらったり、調査員が御尋ねして書きこんだりします。
以上のような方法で調査いたしますが税金とか食糧配給等に全然関係なく行われます。それで調査員も税務関係の職にある者は委嘱しないことと成って居ります。調査票の記入や調査員の御尋ねについては有りの儘を記入され又は御答え下さって調査の支障のないように御協力を下さるように御願いいたします。
 尚調査員は9月24日から10月3日までの間に準備調査と本調査と二度御伺いいたしますので洵に御迷惑ですが、その間はできる丈け御留守をなさらないよう万一止むを得ないときは御留守でも調査員の御尋ねすることに答えられるように御手配をしておいて下さるよう重ねて御願い致します。(総務課)

基本選挙人名簿 富士市選挙管理委員会

 選挙人名簿の調製につきましては機会ある毎に御話致してきましたが「基本選挙人名簿」と「補充選挙人名簿」とあり、基本選挙人名簿は選挙のあるなしに拘らず毎年9月15日現在で調製し、補充選挙人名簿は選挙のある都度新しく選挙権があるようになった人又は基本選挙人名簿に漏れた人を申告によって調製いたします。そこで今回調製する基本選挙人名簿のことについて申上げます。
 先日から係員が各御家庭を訪問して、調査して居ます。この調査を基本として10月末日までに名簿を調製し、11月5日から15日間一般の縦覧に供し12月20日に確定致します。確定後は理由の如何を問わず訂正はできません。
 明年4月は衆議院議員の選挙が行われる予定であり選挙権はあっても名簿に登載せられてなかったために投票することができなかった、と云うようなことのないよう有権者を一人も漏らすまいと各係員は懸命に努力して居ます。万一8月末になっても調査員が御伺いしないようでしたら一応選挙管理委員会へ御連絡下さるよ・、御願い致します。
 一人の漏れもない完全な名簿を調製して、明るい清らかな選挙を行いたいと思いますので、何卒御協力下さるよう御願いします。

富士市観光協会 8月2日発足

 かねて、市民の容貌に依り設立準備中であった、富士市観光協会も、累次にわたる準備会を終て、此処も急速に結成をみました事は、市民の皆様と共に喜びにたえない所であります。
 会員285名、会費314,500名(8月2日発足日現在)629口を算し、入会者は市内あらゆる地区、あらゆる業者に及んでいます。
 名峰富士を背景に、田子浦の景勝を内ふところに抱き、東に伊豆半島の山々、西に三保、日本平の名所を望み、身延線の分岐点、富士登山、五湖廻りの表玄関口として、観光の重要起点であり作ら、今迄は、此の富士市に足をとめる人は少なかったのであります。
 遊歩の人の足を一日半刻でも此の地に止める事は、富士市内発展の為、欠くべからざる点でもあります。
 時、恰も、山麓バスの駐車場の設置の事が決り、富士登山客、五湖廻りの客は、身延線乗換への煩はしさは要しなくなりました。之等の客は自ら此の地に足を印すのであります。之らの客を、一時でも快く過ごさせる事が、その後の客を呼ぶ所以でありましょう。
 当時観光協会も、全力を此の点に傾注し、宣伝に又、サービスに努める所存でありますので、是非大方の絶大なる協力を願う次第であります。
 此処に、富士市内観光協会の本年度に於る事業計画を記してみましょう。

本年度歳入
会費 300,000円
補助金 200,000円
合計 500,000円

歳出
事務費 98,000円
事業費 302,000円
会議費 40,000円
負担金及交付金 40,000円
予備費 20,000円
合計 500,000円
右の通りで、具体的方策としては
1駅前へ案内所設置
2観光写真コンクール実施
3新聞、ラジオへの資料提供
4絵はがき、パンフレット、ポスターなどに依る宣伝
5観光展、物産展、博覧会等へ資料出品
6その他国鉄、県、観光関係との緊密なる連絡の下に観光客誘致宣伝又土産物、名物の開発宣伝
7観光客誘致接待の研究
等を考えております。

 観光協会の仕事そのものが地味な為今回の施策の結果が明日直ちに現れるというものではありません。
 然し、着々と、健全な歩みによって近い将来の発展を望もうではありませんか。
 会長に、市長を戴き、副会長斎藤新作、遠藤助役、小林九十九諸氏、常務理事青木謙二、石井四郎、時田恵造、迎へ、各界代表を理事に網羅、市民の期待に副うべく、種種検討を重ねております。
 市民の皆様の御協力を得て今後の発展を念願致し、未加入の方々の御入会を切望して、筆をおきます。

田子浦樋門について 富士川用排水土地改良区

 入道樋門と竝んで新たに出来た田子浦樋門は、富士川用排水改良事業として築設したものであります。
 この樋門は全市域の五割にも及ぶ広汎な地域の排水を一手に受持って駿河湾に吐出そうとするものでありますが、だがこの樋門だけではその役割を完全に果すことは出来ないのであります。
 それは一朝台風のときはもとより、一寸でも波浪が高いとすぐ河口が塞がれてしまい、早川に流下集水されてくる洪水の吐場がなくなってしまい、田畑宅地までも氾濫し念年蒙る農作物の被害の莫大なものがあることは御存知の通りであります。
 波浪で塞がった河口は潮位の下るのをまって大勢の人が出て切り開いて始めて排水が出来るというのが現状であります。
 そこでこの樋門に接続して波打ぎわまで、浮島沼の昭和放水路と略同じような構造で延長165米の海岸暗渠を構築して、波浪による河口閉塞を防止すると共にこの樋門に注ぐ早川を延長4,607米の間を改修して、沿岸耕地813余地を保全し、冠水被害を軽減して土地の多角的利用を計るとともに潜在生産力を高度に活用し、増産の実を揚げまして、余剰労力を持って営農方式を改善して農家経済の発展に資せんとするものであります。
 この工事は昭和27年に着工し現在樋門と海岸暗渠は略完成いたしましたが、これに費した工事費は、6,086万余円に達しておりますがこの内4分の3は国県が負担し残りの4分の1が地元の負担となっているのであります。
 今年は愈々早川の改修にかかるのでありますが、国の予算の関係で事業費が15,380,000円認められたので、下流から約768メートルの間を秋の収穫をまって施行する予定であります。

‐ 写真あり ‐
( 写真説明上)・・・写真は表より見た田子浦樋門
( 写真説明下)・・・写真は工事中の裏側