広報ふじ 昭和41年11月に吉原市と鷹岡町と合併した富士市広報紙の全記録

昭和30年 6月25日発行 内容

市税近況

 和29年度分市税の賦課徴収の現況は別記の通りでありますが、その収納歩合は当該年度分(昭和29年度に市税として賦課した分)は99%、滞納繰越分(旧三カ町村分の町村税で滞納として市が引き継いだもの)は46%この双方を総合して98%であります。
 市民の皆様の御協力によりこのような優秀な納税成績を収め得たことは当市のまことに喜ばしいことであり富士市の誇りであると確信致します。
 この成果は全市民の愛市の精神の発露であり、富士市建設のための積極的協力の証左であり、納税観念の旺盛さを物語るものであると考えます。
 一面税の徴収に直接関係する特別徴収義務者の方々にも大変御協力を仰いでおりますし、又納税組合の不断の努力が大きく寄与していることも見逃すことは出来ません。
 ここに其の御協力に対し心から謝意を表します。
 昨年の税制改正や経済界の不況の影響による市税の減収にかんがみ、市はあらゆる経費の削減につとめておる反面、富士市建設のための事業面に主力を傾注しております。
 限定された収入の範囲内で遂行すべき幾多の事業の内重点的に且つ効果的に、如何に執行してゆくかは市当局の苦心の存するところであるが、まず以って財源である市税収入を確保することが前提要件であることは申し上げるまでもありません。
 今後とも納税について猶一層の御協力と御理解をいただきますよう御願い致します。
 左に市税収納状況、納税組合の現況、土地、家屋、自転車、荷車等市税に関連あるものを掲記して皆様の御参考に供します。

‐ 図表あり ‐
( 図表説明)・・・昭和29年度市税収納状況 5月14日現在
( 図表説明)・・・納税組合現況並びに奨励金調
( 図表説明)・・・土地家屋現況
( 図表説明)・・・自転車荷車数
‐ イラストあり ‐
( イラスト説明)・・・6月30日限り県市民税一期みんなそろって加入納税組合へ

富士市農業試験地設置について 農産課

 近時当時の農業経営は近郊都市円芸に近い蔬菜円芸で最も主要なる分野を占め、その生涯と対市場取引は農家経済の一大基幹をなしているのであります。
 然し作ら最近に於ける全国の園芸状況は急速に計画化され、該事業に対する普及奨励の積極化と施設の拡充強化によりめざましい発展をなし、為に当市の特産甘藍、玉葱等蔬菜円芸は脅威を与えられつつある現状であります。
 一方産業都市として発展途上にある当市を省みた時、農耕地は一年毎に減反している現在、気候的、土壌的、交通的等自然状況を生じ、農耕地を最大限度の集約高度化することと、水稻栽培の技術的研究等大いに考慮すべき点が多いのであります。
 斯る現況下に於いてどうしても生産技術の基礎条件を整備拡充し、特産園芸地帯としての襟度を堅持し、以って農家経済の確立を図らなければならないので・ります。これがため市は関係農業団体と強調して、県立円芸試験分譲を市内に設置方を強力に陳情して来たのであります。ところが県に於いては其の重要性は認めているが、財政的に困難な状況にあるので、思う様な進展を見得られなかったのであります。
 而るに市は本年度に於いて県の主要円芸試験の委託試験地を兼ねた「富士市農業試験地」として発足する事と致しました次第であります。勿論この試験地は農作物の主なるものについて、試験研究を行うのであって、県の主要円芸試験の委託も受けますので技術的、財政的に多分の援助があるのでありまして、本試験地の運営こそ今後の当市の農業振興に大きく影響すると共に農家の皆さんに御期待願えるわけであります。
 よって本稿に於きまして、発足した「富士市農業試験地」の運営を図る為に」「運営協議会」を設置致しましたので、其の規約と30年度の試験計画について説明致しまして、農家の皆さんのよりよき展示圃として運営できます様御協力御願いたい。

(1)富士市農業試験地運営協議会規約
第一条
この協議会は本事業に関する県委託試験地並に富士市農業試験地運営協議会と称し事務所を農産課内に置く
第二条
この協議会は本事業に関する県委託試験地並に富士市農業試験地の運営に関する重要事項について協議し円滑なる推進を図るものとする
第三条
この協議会は前条の目的を達成するために左の事項を行うものとすう
1.試験地に関する適切なる事業計画並運営
2.試験に関する成績の研鑽
3.其の他必要なる事項
第四条
この協議会は次の委員を以って構成する
1.富士市長、富士市助役
2.富士市議会農産常任委員会代表2名
3.富士市農業委員会代表2名
4.富士市内各農業共同組合長(3名)
5.富士採種組合長
6.学識経験者若干名
第五条
この協議会に左の役員を置く会長1名、副会長1名を置き、会長副会長は委員の互選による
第六条
この協議会の役員及委員の任期は関係機関の在職期間とする
第七条
会長は会を代表し会務を総理し会議の議長となる、副会長は会長を補佐し会長事故ある時はその職務を代理する
第八条
この協議会は会長之を招集する
第九条
この協議会に顧問を置く事が出来る
第十条
この協議会に事務局を置き会務を処理する、局員として農産課技術職員、地区普及員、富士青果連合会主任職員を以て構成し、会長は局員中より事務長を任命する
附則
1.この規約は協議会の決議により変更することが出来る
2.この規約は昭和30年4月1日より施行する

(2)富士市農業試験地運営協議会委員構成
会長 遠藤脩治 市長
副会長 三浦三郎 農業委員会副会長
委員 遠藤 栄 助役
同  笠井芳男 富士農協長
同  大村瑛一郎 田子浦同br> 同  常盤鉄三 岩松同
同  時田恒彌 議会農産常任委員長
同  影山辰男 同委員
同  望月源作 農業委員会普及部副部長
同  金刺武夫 富士採種組合長
(以上10名)

(3)顧問
栗田義郎 静岡県農産課長
戸田修一郎 静岡県立農事試験場長
篠原捨喜 同円芸研究室長
(以上3名)

(4)事務局
高沢 武 農産課長(事務長)
後藤龍雄 同課長補佐
福島照巳 同書記
金指信夫 富士地区普及員
藤田知郎 田子浦地区同
落合義孝 岩松地区同
大村正隆 富士青果連合会主事
(以上7名)

(5)試験地管理
管理責任者 遠藤脩治(市長)
場長 常盤鉄三(農業委員会普及部長)
事務長 高沢 武(農産課長)
業務主任 金指信夫(普及員)
管理者 常盤鉄三(土地提供者)
同   中司政男(土地提供者)
業務補助 藤田知郎(普及員)
同  落合義孝(普及員)
同  常盤光雄(橋下)

(6)試験地所在地面積
富士市松岡一、一三七 二反五畝歩
(常盤鉄三氏所有地)
富士市松岡一、一三五 一反歩
(中司政男所有地)
合計 三反五畝歩

(7)試験地試験計画(昭和30年度)
A富士市試験計画
1 水稲試験区 20畝歩
(イ)早稲品種適応試験
(ロ)肥沃地倒伏防止試験
(ハ)肥料施肥試験
2 夏播甘藍試験区 8畝歩
(イ)富士夏播赤系堅質改善試験
(ロ)富士夏播青系型質改善試験
3 秋播甘藍試験区 6畝歩
(イ)富士早生新一号型質改善試験
(ロ)富士早生品質改良試験
4 玉葱試験区 5畝歩
(イ)甘藍跡地忌地対策試験
(ロ)採種原種用母球選抜試験
5 其の他 5畝歩
(イ)果菜類試験育苗(胡瓜、ナス、トマト)
(ロ)苺類(福羽、露地)育苗品種試験

B静岡県委託試験計画
1 水稲土地適応性品種比較試験
2 夏播甘藍品種比較試験
3 夏播甘藍遺伝力試験
4 秋播甘藍品種並生態試験
5 秋播甘藍肥料効果試験
6 玉葱品種比較試験
7 玉葱貯蔵力試験
8 早熟果菜類品種適応試験
9 優良花卉類適応試験

(8)昭和30年度予算
 本年度予算は市費30万円の外に県費補助金28万円、試験作物収入金37,900円で、合計537,900円の収入予算額で、支出予算は土地借料損料、管理雇賃金、其の他肥料、種苗、原材料等である。

 以上が富士市農業試験地の概要でありますが当試地設置について特に御協力賜りました土地提供者であります、常盤鉄三氏と中司政男氏には深く感謝すると共に今後の運営に関して一層の御配慮願う次第であります。

人事 ◇区長(退任)

4月30日 中島新道町区 森野秀松
6月14日 水神区 鈴木孝一
5月 1日 中島新道町区 長谷川潔
6月15日 水神区 鈴木介男

延びゆく富士市

富士市の人口(昭和30年5月30日現在)
総人口 41,359人
男 20,595人
女 20,764人
世帯数 7,472世帯

日赤総会に出席して

 市議会議員日赤有功章社員芝田幸太郎氏は此程日赤総会へ出席されて非常に感激せられ其の模様と希望を別記の通り記録されまして当課へ寄せられましたので市民の方々へお伝え致します。(厚生課)

日赤総会に出席して
 若葉に風薫る5月25日名誉総裁皇后陛下名誉副総裁秩父高松宮両妃殿下の御出席を仰ぎ、東京都日比谷公会堂において日赤関東山静支部連合社員大会並びに有効章及び特別社員章の御親授式が挙行されました。有功章及び特別社員章の御親授式が挙行されました。有功賞304名、特別社員小905名、功労表彰者18名に皇后陛下からの授賞がありました。尚陛下にはいとも御麗しい御声で赤十字社の主旨(ソ連、中共からの引揚促進、日赤病院の設備の充実、貧困者の救済、住宅の緩和)等を御論になられ、今後も尚一層の努力をして欲しいとの御言葉を賜り  この席に静岡県下からは90名の方が出席致しましたが、不肖私もその末席に列するの光栄に俗し、誠に恐れおおく感激に堪えぬものがありました。御親授式終了後、帝国ホテルにおいてお茶の会が催されましたが、陛下にはその席にも親しくお出ましになられ会を共にされました。
 政党の主脳部鳩山一郎、石橋湛山、遠藤三郎の藷氏も出席され盛大でした。この感激の新たなる中に、富士市の皆様に是非一人でも多く会員になって戴き度く、紙上を以て御願い致す次第であります。