広報ふじ 昭和41年11月に吉原市と鷹岡町と合併した富士市広報紙の全記録

昭和29年 9月25日発行 内容

市税の話(税務課)

 経済界がデフレの圧力に喘ぐこと既に久しいが、まだ明るい見透しも立たないようである。希望的観測を下すものもあり、悲観論者もあるがいづれにしても現在各種産業が深刻な不況に見舞われていることは申すまでもないが岳南の中枢産業である紙産業が特に重大な打撃を豪り随ってその余地が間接にあらゆる面に及ぼしていることは何としても痛い。
 市税も景気と直結していることは勿論で、景気が悪ければ所得が減少しそれに課せられる市税(法人個人の市民税等)が減収となると同時に徴税の面にもその影響を及ぼしはしないかと憂慮される。
 最近「地方財政の危機」が叫ばれ既に地方団体の財政運営上、重大な支障を来たしているところも少なくないようである。
 なお本年5月地方税法の一部が改正されたのであるがその主要な点は大体次のようである。

(1)市民税の一部は県民税として県税に移譲された
(移譲率法人税割40%、個人28%程度)
(2)固定資産税の税率100分の1.6が本年度100分の1.5に引き下げられた。(昭和30年度以降は100分の1.4となり又大規模償却資産に対する市町村の課税権が一定限度に制限され超過部分は県税として課せられる。
(3)新たに市たばこ消費税が創設され専売益金の一部が市町村へ移譲された。(税率は小売価格の115分の10.)
(1)(2)は減収となり(3)は増収となるわけであるが、当市の場合差引減収となることは明らかであり、殊に明年度以降の減収は一層顕著となるであろう。
タバコを市内で買いましょう

完納の土台は納税組合

 即ち経済界の不況と税制改正は当市としては悪条件の累加であり決して市財政も無条件の楽観は許されないのである。
 反面、財政需要に於いては市制施行に伴い、富士市建設5ヵ年計画に基づく各般の事業を遂行しなければならない。本年度は合併後の初年度であり重要な時である。
 昭和29年度予算もそれを根底として編成されている事は勿論であり、この予算の消化即ち直接市民の福祉となる各種事業遂行に市当局は主力を傾注するであろうし、市民も合併の具体的成果を期待し重要な関心も寄せているであろう。
 このような収入面の悪条件下に新市建設の諸事業を推進するが故に、ここに市税収入確保の重要性が一段と強調される所以である。云い換えるならば市政に対する市民の理解の下に、市税は是非共完納していただきたいということである。
 最近、昭和28年度の旧三ケ町村の決算も大略終了したのであるが、納税成績は非常に良好である。
 旧三ケ町村税調定総額は1億8,000万円であるがその収入歩合は97%である。おそらくこの成績は他市に誇り得るものと思はれると同時に税源に恵まれている点に於いても他市の羨望の的である。
 即ち税収の順位に於いては県下15市中第6位(静岡、浜松、清水、・タ津、熱海に次いで富士)で納税成績に於いてはその筆頭であり先進諸都市をリードしているが今後手放しの楽観は許されなくなったことは前述の通りであり、おそらく昭和28年度を分水嶺として税収は下向線を描くであろう。
 市の勧奨する納税貯蓄組合の設立普及も亦以上の趣旨に外ならない。幸せにして市民の積極的御支援を希ふや切!(税務課長内山正巳)

「納税組合の発展」

 市税の円滑なる期限内完納は、当富士市にとっても特に重大関心事であることは申すまでもありません。同時にこれを如何にしたら最も納め易くて、簡単に処理が出来、得な方法とか考えますと、やっぱり納税組合の組織より他に、手段がありません。そこで当局としては富士市誕生後の急務として納税組合の普及強化を御奨めしてきました。其の第一目標として、納税組合の比較的少ない地区、田子浦の皆様に接して、納税組合の設立方を御願いして廻りました。
中にはこんな雑談もあります。
「どうも納税組合なんて市役所の手伝いみたいなもんだな」「けれども滞納したりして莫大な整理費が掛かれば、それがみんな市民の負担になることだし・・・・そうばかり言っていられないよ」「そうか滞納して困るのは税務課の奴だけだと思っていたが・・・」「冗談じゃないよ、其の書類費用も日当もみんな市民の支出だからね、つまり我々は株主で彼等は公僕だよ、君が滞納すれば間接に俺も迷惑しているんだ」「どの道、納めなければならない税金だからな」「そうさ気持ちよく協力して補助金でも、もらった方が・・・・・自分もよし、人もよしか」「そ  とに角、各部落毎に熱意を持って研究され、次から次へと納税組合の結成を見るに至りました。これは部落の役員方の御尽力も甚大であったが、同時に市民の皆様が愛郷の真心より大乗的に和協一致結果して下さった賜と信じます。
尚この際、富士地区、岩松地区の未加入の方々も至急参加せられて、此の盛り上がる皆様の熱意に華を咲かせて下さる事を切望します。
(註)、納税組合の補助金は10月初旬、規定の算出に依り配布する予定です。

ネズミの駆除をいたしましょう

 衛生的な文化生活を営むためには蠅蚊等の有害昆虫を駆除することと共に鼠の駆除こそ最も大切なことです。便所下水などどんな汚い処でも平気で歩き廻って、其の足で食物や食器食卓の上を歩き食物に口を附けるのです。考えただけでも「ゾッ」とするではありませんか。鼠の種類は非常に多く約260種に上ると云われ日本に居るものでも50‐60種でその数も人口の3倍及至4倍は居ると云われております。
 鼠もその種類によって純家外、半家内、家内に居住するものがあります。日本で通常住居に見られるものは「くまねずみ」「どぶねずみ」「はつかねずみ」などが主なものです。
 鼠の繁殖力は甚だ旺盛でその種類によって違いますが、普通生後百日位で青春期に入り交尾3週間後にして分娩、分娩後7日に再び発情と云う具合にその繁殖力は非常に旺盛1対の鼠の夫婦は一ケ年後には1,500匹にさえなり得るとさえ云はれまったく驚く外ありません。
 元来「ねずみ」は非常に大食漢で1匹1日平均50瓦食すると云はれこの割合で計算すると日本で1ヵ年間に540萬トンこれを米のみに換算すると産米の半分の量に達する被害とさえ云われて居ります。それのみか鼠は「ペスト」や発疹チブスの弟分の様な発疹熱を媒介し、又令の浜松市の大福餅事件の様な食中毒(サルモネラ中毒)を起こし、又ワイル氏病恙虫病旋毛虫病の伝播にも関係あると云われています。
 此の様に鼠の生態や被害等を改めて考えてみたとき比較的意にも留めずに鼠と同居生活を続けていた今迄の愚かさがつくづく考えさせられ一日も速やかに鼠族の絶滅を期さなければならないと存じます。此の見地に立って衛生課に於いても近く全市一斉に薬品による一斉駆除を計画中で市民各位の絶大な協力を頂きたいと存じます。
 鼠を駆除しようとするときは先ず鼠の生存している数、大きさ、種類、更にその嗜好等を知っておく必要があります。家屋内に通常1匹の鼠が目につく時に約15‐20匹の鼠が居るとされています。通路の状況、穴、活動状況等によりその数を察知することができます。又糞の大小によりその体の大小を推定することが出来るし通路を知るには木材部の処は黒く足跡が残り土の部分は埃がなくなり光って来さえします。鼠の嗜好を知るには数種の餌(毒の入っていないもの)を配置しその喫食状況を見ればわかります。駆除の方法は捕鼠器によるものと薬物による  薬物による駆除の方法は、その薬品により違いますが、普通現在使用されている「猫イラズ」メッソの様な薬物を使用する場合は・A左の様にするとよいと思います。先づ鼠の好む餌を調査しそれにより餌つけ(毒の入っていない餌を2、3日配置し充分食べさせて鼠に安心させる)をしてから其の餌を用い毒餌を作る。毒餌の作り方は毒を団子に錬り込む方法と団子の中へ餡の様に包み込む方法甘藷、馬鈴薯、人参油揚げ、パン等に塗りつけるか中に挟んで作る方法がありますが何れでも良いと思います。団子の大きさは小指頭大が良いと考えます。出来た毒餌は

富士福祉事務所発足(厚生課)

 富士市福祉事務所も御承知の通り去る3月31日富士市制施行と共に発足し、従来各町村の厚生事務其他福祉に関する業務を拡充して其の機構を改め、所長1名、現業員5名、庶務係3名、施設係1名、公益質屋2名、老人ホーム3名にて福祉3法(生活保護法、児童福祉法、身体障害者福祉法)を始め戦傷病者戦残者遺族等援護法、恩給法(一般文官関係を除く)災害救助法等の施行に関する件竝に民生委員、児童委員日本赤十字社に関すること、共同募金に関すること、生業資金、母子福祉資金に関すること、引揚援護に関すること、その他社会福祉事業に関す 高島、藤間、川原宿       川原宿 加藤伊作
五味島、塔ノ木、南本田     南本田 植松清
本州社宅、本市場        本市場 石川金十
国久厚生寮           国久 佐野道江
本市場新田、中島、松本     中島 佐藤恵温
柚ノ木、平垣1金正寺以西    平垣 渡辺三之
平垣2、3、4          平垣 田沢とき
下横割、十平衛北        下横割 佐野好夫
水戸島中(一部)上       水戸島中 渡辺武男
森島、宮下、東芝社宅      森島 八木安一
上横割             上横割 大竹清一
水戸島中 (一部)       水戸島下 大石八重治
本町、中町           中町 塩沢松枝
下横割(一部)東芝社宅     下横割 仲沢 和作
下横割、南十兵衛        南下横割 鳥居ヮ沽Y
船場、四丁川原         船場 井上峰吉
橋下、新町           新町 平野その
裏町、仲町           裏町 清水治作
四ツ家、東田、瀬戸河原     瀬戸河原 海野
下中、坂            坂 佐野
滝戸              滝戸 町田
柳島、川成島          柳島 秋山てる
東宮、新田、助六        助六 大村瑛太郎
西宮、上五貫島、下五貫島    西宮島 佐野文作
三四軒屋            三四軒屋 井上理三郎
新浜              新浜 時田栄作
中丸、小須           中丸 遠藤新作
田子、鮫島           鮫島 加藤ふで
前田新田            前田新田 市川由太郎
前田              前田 船山 まつの

新市紹介

大展覧会の開催(商工課)
 全国150の新しい市が其の特徴を天下に紹介する目的を以って本年9月28日から10月3日まで東京日本橋三越の7階で大展覧会を開催いたしますから御観覧をお勧めいたします。
 展示出品物は全国各市が腕によりをかけて計画したものばかりで勿論私どもの富士市も出してあります。いろいろと珍しい有益な出品が沢山あることと存じます。
概要は次の通りであります。
(1)新市紹介個別展示 自9月28日 至10月3日
全国150の新市が独創的なものを出品いたします。
(2)特産名物即売会 自9月28日 至10月3日
新市を含め全国各市の特産物の展示即売が行われ其の範囲は想像出来ません。
(3)記念行事 自9月28日 至9月30日
ミス新市発表会
郷土芸能発表会
新市紹介写真コンクール発表会
於 三越劇場