広報ふじ 昭和41年11月に吉原市と鷹岡町と合併した富士市広報紙の全記録

昭和29年 9月25日発行 内容

祝富士市制施行

巻頭言
富士市長 遠藤 脩治
- 写真あり-

 富士市が名乗りをあげて、洋々たる前途を望み、堂々と行進を開始してから最早半年、幸にして挙市一致、和衷協同、本年の予定計画は着々実現しつつあることを、先づ市民各位に申し上げて御安心を願う次第であります。
 此度当市は「広報ふじ」を発行することとなり、茲にその創刊号を皆様のお手許にお届けするわけでありますが、「広報ふじ」の使命は、市は今如何なる方向に進みつつあるか、何をなしつつあるか、市の情勢はどんなか、市民は何をなすべきか等につき市民各位に御知らせしようとするものであります。市の前途につき関心をもって居られる方々は必ずこれを喜んで下さるにちがいありません。
 古来政治は「拠らしむべし、知らしむべからず」と申して来ましたが、それは古い昔のこと、民主政治はそうではありません。市民の皆様が知ることを必要とします。知って意識して目的に合うように実行する、そこに誤りなき進行が遂げられ行うことに活気を生じます。そうして凡てが目的活動となり、行う者も張合いがあり、心から一致協力が出てまいります。
 こういうわけで「広報ふじ」は市民の皆様がよく読んで下さることを期待して、必要に応じ予算の範囲内で発行いたします。発行するのには当事者が材料の選択、表現記載の仕方、編輯、頌布と容易ならぬ苦心と時間と労力とを費やして皆さんのお手許に届けるわけで、これが読まずに終わったり、粗末に取扱はれたりとすると骨折った当事者は泣けてくることでありませう。どうぞ可愛がってやって下さい。
 創刊に当たって一言御挨拶申上げた次第であります。

「広報ふじ」発刊に際し

 富士市議会議長 山田 金吾
‐ 写真あり ‐

 今般「広報ふじ」が発行されますことは誠に機宜に適した企画と存じ欣快に堪えません、殊に我が富士市は去る3月31日住民の総意を以て旧三ヶ町村の合併により市制を施行した関係上、市民が今後の市政運営に寄する関心は特に深いものがあると存じます。
 申すまでもなく民主政治の在り方は萬機公論に決する事が本来でありまして、特に合併市制施行直後の富士市制に於ては私利私情なく、滅死報公的精神を以て明朗にして且円満なる硝子張りの政治でなければならないと存じます。換言すれば市民の納得の行く政治でなければなりません。従って広報活動の使命も茲に重要な意義を見出す訳であります。即ち広報は、市の執行機関議決機関と市民との緊密なる連絡の役目を果たす責任を持つものであり、市民は直接市政に参画することなくも広報を一見することによって、居ながら市政運営の実状を察知する事が出来  かような使命を持つ広報の編集者は細心の注意と不断の努力を以って常に市政運営に対する正確なる報導を平易にして市民に親しまれる編集をモットウとなし、富士市民の為め立派なる報導機関として奉公の誠を尽くされん事を希望する次第であります。

富士市の発足に当たって(総務課)

 富士町、田子浦村、岩松村一町二ヵ村が合併して、面積30、24平方粁人口約4万1千を擁する富士市が誕生いたしましたことは、つい先頃だと思いますが、もうあれから5ヶ月を経過いたしました。
 この間5月7日に市長選挙と教育委員選挙が同時に行われ、又農業委員選挙が7月16日に執行せられ茲に富士市としての体形が整いました。又市誕生と同様に4、5、63ヶ月間の是暫定予算を樹て、その後6月定例市議会に於て昭和29年度予算議決せられました。尚欠員であった助役に遠藤栄氏を収入役に岩間三郎氏を夫々選任せられ市当局の陣容が整ひましたので、今後富士市建設計画を中心として施策が行われることとなりますが、別項「市税の話」にも掲げましたように、市民税の一部を県民税として県に移譲し、尚固定資産税の税率の軽減又は大規模  市当局も市民の皆さんと一丸となっても大富士市の建設に邁進したいと存じます。
 つきましては茲に「広報ふじ」を発刊することとなりました。勿論富士町当時に於いても「町政だより」として刊行せられ、田子浦村、岩松村に於いても再三計画せられたこともありましたが、遂に発行には至りませんでした。今回富士市の広報機関として当局に於いて考へて居ること、現に実施して居ること、今後実施しようとすること等を広く市民の皆さんに知悉して頂くと同時に、皆さんからの御意見御感想なども御伺いしてより良き郷土建設の資となるようにしたいと存じます。何卒御支援下さるよう御願いいたします。

議会の動き

 市制施行による富士市議会は発足以来5ヶ月を経過いたしました。その間議会の動静につき御知らせする機械が有りませんでしたが、今般「広報ふじ」の発刊により撮りあえず4月以降の動きにつき概略の報告を申し上げます。次号より逐次詳細御報告を申し上げますことを御含み下さい。

第1回 富士市議会
日時 昭和29年4月5日
議事日程
1、臨時議長選任 斉藤菊太郎君
1、議長選挙 山田金吾君
1、議席の決定
1、副議長選挙 漆畑五六君
1、富士市選挙管理委員同補充員選挙
管理委員…花崎年雄 漆畑半次 山田繁太郎
同補充員…大石小十郎 大竹徳次郎 佐藤富士雄
1、寄付受領に関する件
大昭和製紙社長斉藤知一郎氏より学校教育育英基本財産として同社株式 壱萬株 寄附
1、富士市議会条例制定について

第二回 富士市議会
日時 昭和29年4月28日
1、富士市公告式条例専決報告承認を求むる件にて
以下15件市長職務執行者専決に関する報告承認を求むる件
1、市立幼稚園保育料徴収条例制定(田子浦幼稚園、岩松幼稚園)
1、富士市警察を維持しないことについて
1、昭和29年度予算支出充当資金一時借入れ及び償還に関することについて
1、議員辞任について承認を求む 前島包君

第三回 富士市議会
日時 昭和29年5月20日
議事日程
1、富士市教育委員会委員選挙について
(議会選出)時田恒弥君
1、生活保護法による診療報酬の支払い契約締結に関する件

第四回 富士市議会
日時 昭和29年6月20日
6月29日(定例会)
議事日程
1、議員辞職許可について報告(議長)鈴木鶴松君
1、陳情について委員長報告
富士市中小企業相談所補助金交付陳情外6件
1、市税賦課徴収条例の一部改正専決の報告(市長)
1、22日本会議に於いて即議決案12件
1、28日本会議に於いて議決議案15件
以上本議会に於いては新規条例等について市制施行後、最初の重要議案山積のため会期を8日間と定め22日29日の本会議間、連日午前、午後に亘り常任委員会を開催、重要議案について慎重審議の結果、多少字句の修正の後、原案通り決定を見ました。
その中最も重要なるものとして昭和29年度一般歳入歳出予算2億6,561万1,000円、特別会計富士中央病院6,540万100円、富士市水道事業予算2,263万1,000円余り、富士市公益質屋予算482万5,000円余り住民税整理資金予算2,823万円等があります。

4月議会日誌
5日 第1回臨時会
15日 水道委員会、議員運営委員会
16日 商工委員会、衛生委員会、農産委員会
17日 厚生委員会、警察消防委員会、土木委員会
19日 税務委員会、総務委員会
26日 総務委員会
28日 第二回臨時会
5月議会日誌
20日 第三臨時会
27日 水道委員会
6月議会日誌
2日 議会運営委員会
19日 議会運営委員会
22日 第四回定例本会議
23日 税務委員会総務委員会
24日 土木委員会
25日 商工委員会農産委員会
26日 水道委員会衛生委員会
27日 警察消防委員会、厚生委員会
28日 総務委員会
29日 定例本会議
7月議会日誌
13日 全員協議会
15日 水道委員会
8月議会日誌
2日 警察消防委員会
9日 水道委員会
26日 全員協議会

農業委員会について(富士市農業委員会)

 昭和26年3月31日法律88号による農業委員会法は途中委員の任期を1ケ年延期されて3ヵ年間となり其の間三ケ町村合併による富士市制施行に際し農業委員会は法の改正見込みもあり尚委員の任期延長等もありまして4月以来従前の3ケ町村農業委員会は地区農業委員会として7月迄存置してきましたが、昭和29年6月15日法律代185号により農業委員会の一部改正により富士市農業委員会に一本化して7月20日委員19名(公選委員15名市長選任委員4名)を以って新発足致しまして大富士市建設と共に農林行政の確立と農業経営合理化に一大飛
1 農業委員会法の目的
農業委員会法は農業生産力の発展及び農業経営の合理化を図り農民の地位の向上に寄与する為農業委員会の組織及運営を定めることを目的とする。
‐ 図あり ‐

2 農業委員会の組織
農業委員会の組織は市、町村、郡、県及び全国の4段階で図解で示すと次の通りです。

3 富士市農業委員会の運営組織
農業委員会は議事の運営並農業振興確立に必要なる調査研究審議を行う為次の小委員会を設けて専門的に研究する事とした
(イ)農地部小委員会
6名で組織して農地法関係事項土地改良法交換分合等の事務調査研究を行う。
(ロ)経済部小委員会
6名で組織して主要食糧の政府買入計画、農業総合計画等の事務調査研究を行う。
(ハ)普及部小委員会
5名で組織して農業改良法による農業技術の改良計画、農業経営の合理化農民生活改善等の事務調査研究指導を行う。