広報ふじ 昭和41年11月に吉原市と鷹岡町と合併した富士市広報紙の全記録

昭和30年 1月15日発行 内容

1955年の新春を寿ぐ 富士市

年賀
富士市長 遠藤脩治
‐ 写真あり ‐

 昭和30年の年頭に当り、市民の皆様と共に栄えゆく富士市の将来を寿ぎ、且つ過ぎし新市誕生の第1年を顧みます事は誠に意義深き事と感ずる次第であります。殊に私の最も喜びとする処は合併後迎える最初の新年であり、旧田子浦岩松地区の方々と共に希望に満ちた新春を迎える事が出来まして誠に御同慶に堪えません。
 29年は当市にとって輝かしい歴史的の数々を重ねると同時に又一面多事多難の年であったと思います。先づ皆様と共に産み出した富士市全市民と心から祝った7月20日からの市制祭、新生富士市の市旗を後楽園に輝かせた本州チーム憧の天皇杯を郷土に飾った東芝チーム、本州、大興両工場の拡張、商工会議所の堂々たる再発足、信用金庫の新屋舎の建設、3局統合による電報電話局の拡充強化等何れも当市建設の輝かしい記録をとどめたものでありました。建設第2年目を迎え、政府の緊縮政策と不況を打破し、乏した市財政を高度に運営して、市民の生活安
年頭の挨拶
富士市議会議長 山田金吾
‐ 写真あり ‐

 昭和30年即ち富士市誕生第1年の新年を迎えまして、光栄ある新春を祝福し得まする慶びを市民各位とともに感謝するものであります。
 想えば過ぎし昭和29年は当富士市にとって、永久に記憶さるべき年でありました。即ち旧三ケ町村は市民各位の御慧眼と時代の要請に基き人口4万2,000有余岳南の雄都として発足し、その発展を約束付けられました事は、私達にとって忘れ得ない慶びでありました。又、反面、国の内外、市の内外を問わず過ぎし年は度重なる台風、洞爺丸、原水爆被害、経済界の不況、市長・市議選等悲喜交々お互いに想出多い年を送りました。
 本年は、我が新生富士市にとりまして、最も意義ある年であります。即ち新市建設計画の遂行その他諸緊急懸案の解決に、更により一層の努力を傾注し、富士市将来発展の基礎を樹立すべき年であります。
 然し作ら、現下国内の情勢は依然たる経済界の不況、税制の改正、国の金融引締め政策等により、地方財政の前途は必ずしも楽観を許さないものがあります。我々議会人は此の際年頭に当り国内外に於ける政・財界等混迷の中にあって、審さにその情勢を洞察し、あらゆる努力をもってこれに対処するの決意を新たにして、市民各位の総意を結集し、当局と緊密なる連繋を保ち円満なる市政の運営を期し、もって各位の負託に応え、地方自治、富士市発展のため渾心の努力を捧げたいと念願いたす次第であります。
 何卒倍旧の同協力を御願い申し上げます。

年頭に当たって
富士市教育長 涌田隆一

 かっては「危機の年」と言われた昭和29年もインドシナ休戦によって、所謂熱い戦争も一応終止符をうち、平和に向かって両体制が努力を示しながら昭和30年を迎えました。
 こうした体制の言わば、峡谷とも言うべき置位にある我国として今後進むべき道は極めて微妙なものがありますが、その道標として吾々の目指す処は、はっきりと定まって居ります。
 従来とも言われて来た事でありますが、民主主義の完成が之であります。
 戦後既に10年、あらゆる時、あらゆる場所に於いてこれ程言云されて来た言葉はありませんが、果たしてどれだけ各人に於いてそれが認識され、実行されているでしょうか。
 私達は之を唯出来上がった形のままで受取りはしなかったでしょうか。
 新しい年を迎えるに当たって、深く反省してみたいと思います。
 自由に進みながら責任をもって作り上げて行くという態度を、今年こそは作り上げて行き度いものです。そして独立国という額縁に入れる新しい絵を私たちの手で、真に完成にまで絵がいて行かなければなりません。
 即ち、この絵がき手を、民主主義に徹した新しい人間像に求めなければなりません。
 私はこの新しい人間像を教育基本法第一条の「平和的な国家社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値を尊び、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた、心身共に健全な国民」に求めたいと思います。
 教育は、それ自体理想を追求する仕事であります。1日1日と前に向かって伸べるべき性質をもって居ります。新しい人間像の形成という理想に向かって一時も休まないのが教育であります。
 私達はこうした教育の本旨を考える時、一時的な感情或は瞬間的な時の動きから軽々しく影響を受けることなく、凡ゆる階層の世論に静かに耳をかしながら教育の前進の為に慎重な考慮を払い、学校教育に於いても、社会教育に於いても、この理想に向かって驀進したいと思います。

米之宮公園

‐ 写真あり ‐
( 写真説明)・・・新春の神苑

 「つつじ」の名勝として色とりどりの名花が咲き競う私どもの公園であります。金魚も鯉も満水の池でゆうゆうと、正月を迎えました。
 「あひる」や「七面鳥」も立派な鳥舎で大にぎわいで新春を迎えました。大樹に群る小鳥らもお子様連れの皆様の御来園を御待ちいたしております。
 愛嬌者のお猿さんもその内お興入れすることでしょう。

◇1月の暦

1日 元旦
2日 消防出初式
3日 御用初
5日 初えびす
6日 小寒
7日 七草かゆ
10日 えびす
14日 しめなは外し
15日 成人の日
16日 やぶ入り
20日 はつか正月大寒
31日 鈴川毘沙門天